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第7部 本気の夜、ふたりの距離
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「いって……まあ、いいけどさ」
部長は笑いながらグラスを置いた。その仕草がやけに静かで、真面目な話を切り出す前の“間”のように感じた。
「結婚のことって、急にだな。」
「でも、考えたことくらいはあるでしょ?」
上林さんがぐいっと詰め寄る。
「……あるよ、最近特に。」
その一言に、私の心臓がドクンと跳ねた。
「それって……年齢も年齢だから、ですか?」
なるべく軽い口調を装って聞いたつもりだったけれど、自分の声がわずかに震えているのがわかった。
「年齢って……俺、まだ三十三ですよ?」
「十分じゃないですか?」
「何が?」
部長が、少しだけ眉を上げる。
「結婚適齢期として。」
「はは。そうかもね。」
すると、隣の上林さんが身を乗り出してきた。
「で、篠原さんは今、彼氏いるの?」
「えっ!? 急にそっちですか?」
「急にじゃないでしょ?流れよ、流れ。」
私は慌てて笑ってごまかした。
「いるような、いないような……」
「どっちなのよ!」
上林さんの追撃に、私はもう逃げられない。
「いない……です」
「ほら!だったらもう、桐生部長と結婚しちゃえばいいじゃない!」
「なっ……!?」
私は口をあんぐりと開けたまま固まってしまった。
グラスの氷がカランと音を立てる。
視線を動かせないでいると、ふと、横から桐生部長の低い声が聞こえた。
横から桐生部長の低く落ち着いた声が響いた。
「俺じゃ、ダメなの?……これでも年収あるよ?」
えっ、なに?
急にそんなこと言われたら、返し方がわからない。
しかも周囲に人がいる居酒屋で。どうして私に答えさせるの?
思わず目を泳がせていると、隣の上林さんが割って入った。
「桐生部長、篠原さんのこと本気なんでしょ?だったらいいじゃないのよ、言っちゃえば!」
「……いや、俺はずっと前からそのつもりだけど?」
さらっと言われて、心の中で叫んだ。
そんなの、初耳ですから。
「そうだわ。」と上林さんがバッグをごそごそと探り始めた。
「今夜の二人のために、これあげる。」
テーブルの上にポンと置かれたのは、――コンドームの小さなパッケージ。
「ちょ、ちょっと!なにしてるんですか!」
私は声をひそめて叫ぶように言った。
店員さんがこちらを一瞬ちらりと見る。
「え?だってさ、使うでしょ? この流れなら。」
「使いません!」
部長は笑いながらグラスを置いた。その仕草がやけに静かで、真面目な話を切り出す前の“間”のように感じた。
「結婚のことって、急にだな。」
「でも、考えたことくらいはあるでしょ?」
上林さんがぐいっと詰め寄る。
「……あるよ、最近特に。」
その一言に、私の心臓がドクンと跳ねた。
「それって……年齢も年齢だから、ですか?」
なるべく軽い口調を装って聞いたつもりだったけれど、自分の声がわずかに震えているのがわかった。
「年齢って……俺、まだ三十三ですよ?」
「十分じゃないですか?」
「何が?」
部長が、少しだけ眉を上げる。
「結婚適齢期として。」
「はは。そうかもね。」
すると、隣の上林さんが身を乗り出してきた。
「で、篠原さんは今、彼氏いるの?」
「えっ!? 急にそっちですか?」
「急にじゃないでしょ?流れよ、流れ。」
私は慌てて笑ってごまかした。
「いるような、いないような……」
「どっちなのよ!」
上林さんの追撃に、私はもう逃げられない。
「いない……です」
「ほら!だったらもう、桐生部長と結婚しちゃえばいいじゃない!」
「なっ……!?」
私は口をあんぐりと開けたまま固まってしまった。
グラスの氷がカランと音を立てる。
視線を動かせないでいると、ふと、横から桐生部長の低い声が聞こえた。
横から桐生部長の低く落ち着いた声が響いた。
「俺じゃ、ダメなの?……これでも年収あるよ?」
えっ、なに?
急にそんなこと言われたら、返し方がわからない。
しかも周囲に人がいる居酒屋で。どうして私に答えさせるの?
思わず目を泳がせていると、隣の上林さんが割って入った。
「桐生部長、篠原さんのこと本気なんでしょ?だったらいいじゃないのよ、言っちゃえば!」
「……いや、俺はずっと前からそのつもりだけど?」
さらっと言われて、心の中で叫んだ。
そんなの、初耳ですから。
「そうだわ。」と上林さんがバッグをごそごそと探り始めた。
「今夜の二人のために、これあげる。」
テーブルの上にポンと置かれたのは、――コンドームの小さなパッケージ。
「ちょ、ちょっと!なにしてるんですか!」
私は声をひそめて叫ぶように言った。
店員さんがこちらを一瞬ちらりと見る。
「え?だってさ、使うでしょ? この流れなら。」
「使いません!」
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