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6、禁断の温泉宿、貸切の夜
貸切風呂、揺れる心
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通されたのは、落ち着いた雰囲気の和室だった。床の間には季節の花、障子の奥には湯けむりがちらちらと見える。
「ここ、貸し切り露天があるんですよ。」
そう言って、冬馬さんが障子を開けて見せてくれた。湯船の縁には灯りがともされていて、幻想的な雰囲気。
「すごい……」
「でしょ? 一人じゃもったいないなって。」
どうして、そんなことまで——。
「何飲みます?」
「ビールがいいです。」
グラスに注がれた泡が、くすぐったいほど柔らかかった。
私たちは並んで座り、湯けむり越しに乾杯した。
「彼氏、いるんですか?」
「いえいえ。いたら一人で旅なんて来ませんよ。」
笑ってごまかしたけれど、内心少しだけ寂しさがよぎった。
「冬馬さんは?」
「俺もいないですよ。……今は。」
沈黙が落ちた。でも、それは気まずさじゃなく、何かが静かに動き出す予感のようだった。
その時、視線が重なる。
お互い、もう“ただの旅の客”ではいられなくなっていた。
ほろ酔いで、体も心もふわふわしていた。
「一緒に入ります?」
突然の誘いに、グラスを持つ手が止まる。
「ん?」
「二人きりで入りましょう。」
いたずらっぽく笑う冬馬さんに導かれ、私はそのまま露天風呂へ。
湯気に包まれながら、湯に足を入れると、思わずため息が漏れた。
「気持ちいいですね……」
隣に座る冬馬さんは、思った以上に引き締まった体をしていた。肩幅もあって、どこか頼もしい。
私は湯に肩まで沈んでいたけれど、のぼせてきたのか、ふいに湯船の縁に腰をかけた。
「ふぅ……」
濡れたタオルを体に巻いてはいたけれど、透けて肌が浮かび上がる。
そんな自分の姿に気づいた時、冬馬さんが言った。
「綺麗だな。」
その言葉に思わず頬が熱くなる。
彼がゆっくりと立ち上がる音がして、私は思わず視線を落とした。
心臓が、どくん、と跳ねた。
冬馬さんが、今、確かに男として近づいてくる。
私のタオルが、するりと落ちた。
その瞬間、冬馬さんの目が真剣な色に変わる。
肌に彼の吐息がかかり、鼓動が跳ねた。
「紗月さん……俺、止まれないかもしれません。」
そっと触れた指先は、まるで大切な宝物に触れるように優しい。
唇が鎖骨を辿り、私は小さく息を漏らした。
「……うん、いいよ。」
そう言った途端、冬馬さんは私を抱きしめ、体を重ねてくる。
ぴたりと合わさった体が熱を帯びて、一気に距離が消えた。
「本当に綺麗です……紗月さん。」
まっすぐな声が胸を打つ。
ゆっくり、でも確かに。彼の体温が私の奥に流れ込んでくる。
思わず爪を立てそうになった肩に、愛しさが募っていく。
「俺、本気だから。」
切ない熱情が伝わってくる。
「もう、我慢できない。」
激しく体をぶつけると、冬馬さんの熱が私の中に届いた。
「ああ……」
私達は、激しく唇を重ね合わせた。
「ここ、貸し切り露天があるんですよ。」
そう言って、冬馬さんが障子を開けて見せてくれた。湯船の縁には灯りがともされていて、幻想的な雰囲気。
「すごい……」
「でしょ? 一人じゃもったいないなって。」
どうして、そんなことまで——。
「何飲みます?」
「ビールがいいです。」
グラスに注がれた泡が、くすぐったいほど柔らかかった。
私たちは並んで座り、湯けむり越しに乾杯した。
「彼氏、いるんですか?」
「いえいえ。いたら一人で旅なんて来ませんよ。」
笑ってごまかしたけれど、内心少しだけ寂しさがよぎった。
「冬馬さんは?」
「俺もいないですよ。……今は。」
沈黙が落ちた。でも、それは気まずさじゃなく、何かが静かに動き出す予感のようだった。
その時、視線が重なる。
お互い、もう“ただの旅の客”ではいられなくなっていた。
ほろ酔いで、体も心もふわふわしていた。
「一緒に入ります?」
突然の誘いに、グラスを持つ手が止まる。
「ん?」
「二人きりで入りましょう。」
いたずらっぽく笑う冬馬さんに導かれ、私はそのまま露天風呂へ。
湯気に包まれながら、湯に足を入れると、思わずため息が漏れた。
「気持ちいいですね……」
隣に座る冬馬さんは、思った以上に引き締まった体をしていた。肩幅もあって、どこか頼もしい。
私は湯に肩まで沈んでいたけれど、のぼせてきたのか、ふいに湯船の縁に腰をかけた。
「ふぅ……」
濡れたタオルを体に巻いてはいたけれど、透けて肌が浮かび上がる。
そんな自分の姿に気づいた時、冬馬さんが言った。
「綺麗だな。」
その言葉に思わず頬が熱くなる。
彼がゆっくりと立ち上がる音がして、私は思わず視線を落とした。
心臓が、どくん、と跳ねた。
冬馬さんが、今、確かに男として近づいてくる。
私のタオルが、するりと落ちた。
その瞬間、冬馬さんの目が真剣な色に変わる。
肌に彼の吐息がかかり、鼓動が跳ねた。
「紗月さん……俺、止まれないかもしれません。」
そっと触れた指先は、まるで大切な宝物に触れるように優しい。
唇が鎖骨を辿り、私は小さく息を漏らした。
「……うん、いいよ。」
そう言った途端、冬馬さんは私を抱きしめ、体を重ねてくる。
ぴたりと合わさった体が熱を帯びて、一気に距離が消えた。
「本当に綺麗です……紗月さん。」
まっすぐな声が胸を打つ。
ゆっくり、でも確かに。彼の体温が私の奥に流れ込んでくる。
思わず爪を立てそうになった肩に、愛しさが募っていく。
「俺、本気だから。」
切ない熱情が伝わってくる。
「もう、我慢できない。」
激しく体をぶつけると、冬馬さんの熱が私の中に届いた。
「ああ……」
私達は、激しく唇を重ね合わせた。
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