家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒

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第3部 見捨てられた令嬢、伯爵邸で咲く

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私は静かに問いかけた。

「……ああ。君を失うくらいなら、子供はいらないとさえ思ってる。」

その想いに、私は胸が熱くなった。

愛されている――そう実感した瞬間だった。

「私は死なないわ。」

その言葉に決意を込めて、私はセドリックをぎゅっと抱きしめた。

「私は子供を産んでも、あなたの側にいるわ。あなたをひとりになんてしない。」

一瞬、彼の腕がわずかに震えた気がした。

それから、強く、深く私を抱き返してくれる。

「連日、君を抱いているのに……」

彼の声が、低く、熱を帯びていた。

「まだ足りないんだ。」

私は彼の顔を見上げる。

セドリックの瞳は、私だけを真っすぐに見つめていた。

「君が足りないんだ。もっと欲しくてたまらないんだ。」


その言葉が、体の奥まで染み渡っていく。

私は照れ笑いを浮かべた。

「このままだと……子供ができるのも、早いかもしれないわね。」

「それも悪くない。」

彼は微笑んで、もう一度私をそっと抱きしめた。

この腕の中なら、私は何度でも未来を信じられる。

私はセドリックの腕の中で、そっと目を閉じた。

彼は、毎晩のように私を求めてくれる。

「君が足りない」と言ってくれるその言葉に、私は何度も救われていた。

――でも、私は思った。

妻として、母として、それだけでいいのだろうか。

この屋敷に来て、たくさんの書物を読み、使用人たちや街の人々の話を聞くうちに、知ってしまった。

この街には、食べるものにも困る子供たちがいるということを。

「セドリック……」
私は、ベッドで静かに彼に話しかけた。

「何だい?」

「私、図書室で学んだことで……孤児院のことが気になっているの。街のことを調べていたら、恵まれない子供たちが多いって知って……放っておけない気持ちになったの。」

少しの沈黙が流れる。

父の言葉が頭をよぎった。

『でしゃばるなよ。女は男の後ろを歩け。』

けれど私は、セドリックにどうしても聞いてほしかった。

「勝手なことを言ってるのかもしれない。でも、もし許されるのなら、何か支援ができないかって……考えているの。」

私は不安で、彼の顔を見ることができなかった。

けれど、次の瞬間――

「いいね。ちょうど僕もそれを考えていたところだ。」

彼の言葉は、私の迷いを一瞬で晴らしてくれた。
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