家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒

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第7部 妹の終焉と、家族の始まり

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「レオン。」

デュラン夫人が、優雅に手を振って彼を呼んだ。

すると、その呼びかけに応じてレオン・カザリス伯爵は静かにこちらへ歩いてきた。

柔らかい微笑みをたたえたその姿は、気取らず、それでいて洗練されていた。

「レオン、この方がルシアのお姉さんよ。」

紹介されて、彼は私に向かって気さくに手を差し出してきた。

「レオン・カザリスです。お会いできて光栄です。ルシアからお姉さんのこと、よく聞いていますよ。」

「えっ……なんて?」

思わず聞き返すと、彼は口元に笑みを深めながら答えた。

「“社交界の華”だと。」

一瞬、何かの冗談かと思った。でも彼は真剣な顔でそう言っていた。

あのルシアが……そんなふうに、私を語っていたなんて。

「そう言って、あなたを尊敬していました。」

思いがけない言葉に、胸がじんわりと熱くなるのを感じた。

あの妹にも、そんな気持ちがあったのだろうか。

そんな二人の馴れ初めを聞きたいと思った。

「ルシアとは、どう知り合ったの?」

するとレオン・カザリス伯爵は、少し照れくさそうに笑って答えた。

「僕の一方的な手紙から始まりました。」

その姿に、どこか見覚えのある情景がよみがえる。

「もしかして……“どうして公爵令嬢が伯爵を相手にすると思ったの?”って、返事がありました?」

私がそう尋ねると、彼は驚いたように目を見開いた。

「なぜわかったのですか?」

やっぱり! 思わず心の中で叫んだ。

あの時、セドリックに送った手紙に対する返事と、まったく同じ。

ルシアの手紙は、まるで定型文のように冷たかった。

「いえ……少し、心当たりがあって。」

私は曖昧に笑う。

「最初は本当に心を砕かれました。でも、それでも彼女に惹かれたんです。」

彼のまなざしは真剣で、ルシアを本気で想っていることが分かった。

もしかしたら、ルシアは――やっと自分を見てくれる人に出会えたのかもしれない。

「何度も、手紙を送ったんです。王子との婚約破棄の後も、彼女を励ますように。」

「まあ……」

私は思わず感嘆の声を漏らした。

この方の言葉には、偽りがない。

ルシアへの愛は、きっと本物だ。

「すると、だんだん彼女からの返事が、温かいものになってきて。やっと、彼女の本当の気持ちが見えたような気がしたんです。」

カザリス伯爵の目は穏やかで、まるで遠くの希望を見つめているようだった。

「今だと思いました。お父上に婚約の意思があると、正式な通知を出したのです。」

その言葉に、胸がいっぱいになる。

なんて頼もしく、誠実な人なのだろう。

あのルシアがようやく、本当に愛してくれる人に出会えたのかもしれない。

そして――この人が、私とセドリックの親戚になるなんて。

ほんの少し前まで想像もできなかった未来が、優しく、温かく広がっている気がした。
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