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幸せとは
③
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お義母さんが帰った後、圭也さんが私の疲れた顔を見て、慰めてくれた。
「ごめんな。母親があんな事を言って。」
「ううん。お義母さんも、産まれたら分かってくれるよ。」
けれど、お義母さんの気持ちは、これで終わらなかった。
数日後、郵便で届いた安産のお守り。
それも、色はブルーだった。
私は、頭を掻いた。
嬉しいんだか、嬉しくないんだか、分からない。
普通もっと、お姑さんから安産のお守りを貰ったら、嬉しいのでは?
そして、また数日後。
今度は、お義母さんの手書きのノートが送られてきた。
「何だろう、これ。」
ペラペラと捲ってみると、ぎっしりと何かが書いてあった。
読んでみると、寝る時にこういう体位で寝ると男の子になる、と書いてあったり。
早々に男の子らしい名前を付けて、お腹に向かって呼び続けるとか。
そこには、まだ胎児のわが子を、何とか男の子にさせようとする方法が書かれていた。
「ウチの母親、また何か送ってきたの?」
私は、お義母さんの手書きのノートを、無言で渡した。
それを読んで、同じように引いていた圭也さん。
「気にするなって。捨てようか、こんなノート。」
「いいよ。せっかく書いてくれたノートだもん。」
それに捨てたら、また面倒くさい事になりそうだ。
「紗良。」
圭也さんは、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「ごめんな。こんな気を遣わせてしまって。」
「ううん。」
それしか言えない。
もし、産まれてみて女の子だったら?
きっと、圭也さんのご両親には、歓迎されないだろう。
でも女の子だって、私達の子供に変わりはないんだし。
私達で大切に育てていくしかない。
「うん。腹が座った。」
「ん?」
私の顔を覗き込んだ圭也さんに、笑顔を見せた。
そして、その日はやってきた。
「紗良さん。今から神社にお参りに行かない?」
お義母さんから連絡があり、私はせっかくだからと準備した。
圭也さんには、メールで連絡しておいた。
待ち合わせは、近くの喫茶店だった。
「お義母さん。」
「ああ、紗良さん。」
お義母さんが、私に手を振っている。
相変わらず、いいところの奥さんって感じだ。
「すみません、お待たせしちゃって。」
「いいのよ。私こそ、突然呼び出してごめんなさいね。」
こうしていると、いいお姑さんなのだが。
「それで、どんな神社ですか?」
「ふふふ。楽しみにしていて。」
私達はお店を出ると、一緒に神社に向かった。
途中でバスに乗ったり、歩いたり、どうやら大変な場所にあるらしい。
「私ね、娘もいるんだけど。お嫁さんって言うのは、また格別なものね。」
「そう言って頂けると、嬉しいです。」
私は、お義母さんと仲良くやっていけるような、そんな気がした。
「さあ、着いたわ。」
見上げて見ると、大きな鳥居があった。
でも、派手でもないし。
人が大勢いる訳でもない。
そこいら辺にある神社と同じだ。
「ここは、何の神様なんですか?」
鳥居を抜けながら、キョロキョロと周りを見る。
「安産の神様よ。」
「へえ。」
「そして、圭也を授かった神社。」
私は、言葉が出なかった。
まさか。
「ここで紗良さんも、男の子を祈願しましょう。」
にっこりと笑ったお義母さんの顔が、鬼に見えた。
その瞬間だった。
急に、お腹が痛くなった。
「大丈夫?紗良さん?」
「お義母さん、タクシーで、産婦人科にお願いします。」
お義母さんが早めにタクシーを呼んでくれたお陰で、直ぐに産婦人科に着く事ができた。
「流産しかかってますね。しばらく病院で、安静にしてください。」
「そんな……」
私よりもお義母さんの方が、ショックを受けていた。
そして連絡を聞いて、圭也さんが病院に駆けつけてくれた。
「お腹の子は?」
「ああ、圭也。無事だけど、安静にしてくださいって。」
全部お義母さんが、圭也さんに伝える。
私の出る幕なし?
「私が神社に連れて行ったのが、悪かったのかしら。」
「だから何で急に、神社なんて。」
するとお義母さんは、喚き始めた。
「男の子が欲しいのよ!」
「まだそんな事言ってるのか!どっちだって、構わないだろ!」
圭也さんは、お義母さんにはっきり言ってくれた。
「何言ってるのよ!もし、女の子だったら!孫だと認めませんからね!」
その瞬間、お腹からサーっと、何かが降りていった気がした。
「一条さん?一条さん?先生、一条さんから出血です!」
看護師さんが早めに気づいてくれたけれど、私の赤ちゃんは、お腹から旅立って行ってしまった。
「ごめんな。母親があんな事を言って。」
「ううん。お義母さんも、産まれたら分かってくれるよ。」
けれど、お義母さんの気持ちは、これで終わらなかった。
数日後、郵便で届いた安産のお守り。
それも、色はブルーだった。
私は、頭を掻いた。
嬉しいんだか、嬉しくないんだか、分からない。
普通もっと、お姑さんから安産のお守りを貰ったら、嬉しいのでは?
そして、また数日後。
今度は、お義母さんの手書きのノートが送られてきた。
「何だろう、これ。」
ペラペラと捲ってみると、ぎっしりと何かが書いてあった。
読んでみると、寝る時にこういう体位で寝ると男の子になる、と書いてあったり。
早々に男の子らしい名前を付けて、お腹に向かって呼び続けるとか。
そこには、まだ胎児のわが子を、何とか男の子にさせようとする方法が書かれていた。
「ウチの母親、また何か送ってきたの?」
私は、お義母さんの手書きのノートを、無言で渡した。
それを読んで、同じように引いていた圭也さん。
「気にするなって。捨てようか、こんなノート。」
「いいよ。せっかく書いてくれたノートだもん。」
それに捨てたら、また面倒くさい事になりそうだ。
「紗良。」
圭也さんは、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「ごめんな。こんな気を遣わせてしまって。」
「ううん。」
それしか言えない。
もし、産まれてみて女の子だったら?
きっと、圭也さんのご両親には、歓迎されないだろう。
でも女の子だって、私達の子供に変わりはないんだし。
私達で大切に育てていくしかない。
「うん。腹が座った。」
「ん?」
私の顔を覗き込んだ圭也さんに、笑顔を見せた。
そして、その日はやってきた。
「紗良さん。今から神社にお参りに行かない?」
お義母さんから連絡があり、私はせっかくだからと準備した。
圭也さんには、メールで連絡しておいた。
待ち合わせは、近くの喫茶店だった。
「お義母さん。」
「ああ、紗良さん。」
お義母さんが、私に手を振っている。
相変わらず、いいところの奥さんって感じだ。
「すみません、お待たせしちゃって。」
「いいのよ。私こそ、突然呼び出してごめんなさいね。」
こうしていると、いいお姑さんなのだが。
「それで、どんな神社ですか?」
「ふふふ。楽しみにしていて。」
私達はお店を出ると、一緒に神社に向かった。
途中でバスに乗ったり、歩いたり、どうやら大変な場所にあるらしい。
「私ね、娘もいるんだけど。お嫁さんって言うのは、また格別なものね。」
「そう言って頂けると、嬉しいです。」
私は、お義母さんと仲良くやっていけるような、そんな気がした。
「さあ、着いたわ。」
見上げて見ると、大きな鳥居があった。
でも、派手でもないし。
人が大勢いる訳でもない。
そこいら辺にある神社と同じだ。
「ここは、何の神様なんですか?」
鳥居を抜けながら、キョロキョロと周りを見る。
「安産の神様よ。」
「へえ。」
「そして、圭也を授かった神社。」
私は、言葉が出なかった。
まさか。
「ここで紗良さんも、男の子を祈願しましょう。」
にっこりと笑ったお義母さんの顔が、鬼に見えた。
その瞬間だった。
急に、お腹が痛くなった。
「大丈夫?紗良さん?」
「お義母さん、タクシーで、産婦人科にお願いします。」
お義母さんが早めにタクシーを呼んでくれたお陰で、直ぐに産婦人科に着く事ができた。
「流産しかかってますね。しばらく病院で、安静にしてください。」
「そんな……」
私よりもお義母さんの方が、ショックを受けていた。
そして連絡を聞いて、圭也さんが病院に駆けつけてくれた。
「お腹の子は?」
「ああ、圭也。無事だけど、安静にしてくださいって。」
全部お義母さんが、圭也さんに伝える。
私の出る幕なし?
「私が神社に連れて行ったのが、悪かったのかしら。」
「だから何で急に、神社なんて。」
するとお義母さんは、喚き始めた。
「男の子が欲しいのよ!」
「まだそんな事言ってるのか!どっちだって、構わないだろ!」
圭也さんは、お義母さんにはっきり言ってくれた。
「何言ってるのよ!もし、女の子だったら!孫だと認めませんからね!」
その瞬間、お腹からサーっと、何かが降りていった気がした。
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