10 / 18
幸せとは
②
しおりを挟む
圭也さんの部下が、家を訪れてから、1か月後。
私は、カレンダーを見て、ふと思った。
「あれ?今月、生理来た?」
いつも28日周期で、遅れた事もない。
でも……
「まあ、1日くらい遅れるか。」
そんな風に、軽く考えていた。
でも、次の日になっても、次の日になっても、生理は来ない。
ストレス⁉
結婚生活へのストレスが、こんなところにきているの?
そんな時、妹の理良から電話がきた。
『これから、お茶しない?』
「うーん。どうしようかな。」
もし、ストレスで生理が遅れているのであれば、理良に愚痴を言って、ストレス解消してこようかな。
『どうしたの?いつもは直ぐにノッテくるのに。』
「うん。実は、生理が遅れていて。」
『なにそれ、妊娠?』
妊娠⁉
えっ、妊娠⁉
「ええっ!?」
『何、驚いてんの?そういう事してれば、子供できたって、おかしくないでしょ。』
頭の中が真っ白になった。
まさか、あのソファーでの事?
「ごめん、理良。また、連絡する。」
そう言って、電話を切った。
まさか、まさか、まさか!
私は、以前行った事のある、女医の産婦人科に行った。
妊娠検査薬と、内診を受けて、ドキドキで結果を待った。
「妊娠されていますね。」
「はああああ!」
心臓の鼓動が、全身に伝わってくる。
「エコーでは、まだ小さくて見えないのですが、妊娠検査薬で陽性です。」
「子供が……できたんですか。」
「ええ。間違いないでしょう。」
口を開けて、ポカーンとしてしまった。
私が、母親になる。
息を何度も飲んだ。
それからの、先生の説明は、よく聞いてなかった。
また1か月後に、妊婦健診に来て下さいだけで。
そして、帰り道。
不思議な気持ちで、足元がふわふわした。
このお腹の中に、新しい命が宿っている。
「ふふふ。」
ニヤついたら、すれ違う人に可笑しな目で見られた。
圭也さんはどうせ、今日も帰りが遅いだろう。
メールで知らせておけばいいか。
「何て、入れようかな。」
笑っちゃあ、いけないんだけど。
笑みを隠せない。
【圭也さん。来年には、パパになるよ。】
送信ボタンを押して、ふふふと笑った。
その時、突然電話が鳴った。
圭也さんからだ。
「はい、圭也さん?」
『本当に?俺、父親になるの?』
圭也さんも、喜んでくれている。
「そうだよ。今日、病院行って来て、間違いないでしょうって。」
『やった……やったあ!』
電話の奥で、圭也さんが声を上げている。
よかった。
「男の子がいいんだよね。」
『ああ、跡継ぎの件?いいよ、元気で産まれてくれればどちらでも。』
「あれ?跡継ぎが欲しくて、お見合いしたんじゃなかった?」
こんな皮肉を言えるのも、幸せだからだ。
『最初はそうだけど、紗良を見たら、そんな考え吹き飛んだよ。』
「じゃあ、何でそんな事言ったの?」
『そう言わないと、結婚してくれないと思ったから。』
幸せって、やってくるものじゃなくて、内側からじんわり感じるものなんだね。
この歳になって、ようやく分かった。
「家族にも、言っておくね。」
『ああ、俺も両親に、報告しておくよ。』
きっと圭也さんの両親も、喜ぶだろうなぁ。
私はこの時、幸せの絶頂にあった。
数日後。
我が家に、圭也さんのお母さんが、訪ねて来た。
「まずは、妊娠おめでとう。」
「ありがとうございます。」
この日は、圭也さんのお休みで、一緒にお母さんを出迎えた。
「はい、これ。ベビー服に、おむつに、沐浴セット。」
「そんなに買って来たのか?早いんじゃない?」
圭也さんはそう言いながら、お母さんからのプレゼントを開けた。
すると、中身は全部青色ばかりだ。
「他の色はないの?」
「ないわよ。どうせ、男の子でしょ。」
私と圭也さんは、顔を見合わせた。
「まだ、男の子だって、決まったわけじゃないよ。」
「いいえ、男の子です!」
お母さんは、そう言い張った。
「もし、女の子だったら?」
「気合で、男の子にするのよ。」
「はあ?」
圭也さんは、呆れていた。
「私の時だって、お姑さんにそう言われたんだから。気合を入れて男の子!って願ったら、圭也が産まれたのよ。」
静かにお茶を飲むお母さんに、私は半分顔が引きつっていた。
私は、カレンダーを見て、ふと思った。
「あれ?今月、生理来た?」
いつも28日周期で、遅れた事もない。
でも……
「まあ、1日くらい遅れるか。」
そんな風に、軽く考えていた。
でも、次の日になっても、次の日になっても、生理は来ない。
ストレス⁉
結婚生活へのストレスが、こんなところにきているの?
そんな時、妹の理良から電話がきた。
『これから、お茶しない?』
「うーん。どうしようかな。」
もし、ストレスで生理が遅れているのであれば、理良に愚痴を言って、ストレス解消してこようかな。
『どうしたの?いつもは直ぐにノッテくるのに。』
「うん。実は、生理が遅れていて。」
『なにそれ、妊娠?』
妊娠⁉
えっ、妊娠⁉
「ええっ!?」
『何、驚いてんの?そういう事してれば、子供できたって、おかしくないでしょ。』
頭の中が真っ白になった。
まさか、あのソファーでの事?
「ごめん、理良。また、連絡する。」
そう言って、電話を切った。
まさか、まさか、まさか!
私は、以前行った事のある、女医の産婦人科に行った。
妊娠検査薬と、内診を受けて、ドキドキで結果を待った。
「妊娠されていますね。」
「はああああ!」
心臓の鼓動が、全身に伝わってくる。
「エコーでは、まだ小さくて見えないのですが、妊娠検査薬で陽性です。」
「子供が……できたんですか。」
「ええ。間違いないでしょう。」
口を開けて、ポカーンとしてしまった。
私が、母親になる。
息を何度も飲んだ。
それからの、先生の説明は、よく聞いてなかった。
また1か月後に、妊婦健診に来て下さいだけで。
そして、帰り道。
不思議な気持ちで、足元がふわふわした。
このお腹の中に、新しい命が宿っている。
「ふふふ。」
ニヤついたら、すれ違う人に可笑しな目で見られた。
圭也さんはどうせ、今日も帰りが遅いだろう。
メールで知らせておけばいいか。
「何て、入れようかな。」
笑っちゃあ、いけないんだけど。
笑みを隠せない。
【圭也さん。来年には、パパになるよ。】
送信ボタンを押して、ふふふと笑った。
その時、突然電話が鳴った。
圭也さんからだ。
「はい、圭也さん?」
『本当に?俺、父親になるの?』
圭也さんも、喜んでくれている。
「そうだよ。今日、病院行って来て、間違いないでしょうって。」
『やった……やったあ!』
電話の奥で、圭也さんが声を上げている。
よかった。
「男の子がいいんだよね。」
『ああ、跡継ぎの件?いいよ、元気で産まれてくれればどちらでも。』
「あれ?跡継ぎが欲しくて、お見合いしたんじゃなかった?」
こんな皮肉を言えるのも、幸せだからだ。
『最初はそうだけど、紗良を見たら、そんな考え吹き飛んだよ。』
「じゃあ、何でそんな事言ったの?」
『そう言わないと、結婚してくれないと思ったから。』
幸せって、やってくるものじゃなくて、内側からじんわり感じるものなんだね。
この歳になって、ようやく分かった。
「家族にも、言っておくね。」
『ああ、俺も両親に、報告しておくよ。』
きっと圭也さんの両親も、喜ぶだろうなぁ。
私はこの時、幸せの絶頂にあった。
数日後。
我が家に、圭也さんのお母さんが、訪ねて来た。
「まずは、妊娠おめでとう。」
「ありがとうございます。」
この日は、圭也さんのお休みで、一緒にお母さんを出迎えた。
「はい、これ。ベビー服に、おむつに、沐浴セット。」
「そんなに買って来たのか?早いんじゃない?」
圭也さんはそう言いながら、お母さんからのプレゼントを開けた。
すると、中身は全部青色ばかりだ。
「他の色はないの?」
「ないわよ。どうせ、男の子でしょ。」
私と圭也さんは、顔を見合わせた。
「まだ、男の子だって、決まったわけじゃないよ。」
「いいえ、男の子です!」
お母さんは、そう言い張った。
「もし、女の子だったら?」
「気合で、男の子にするのよ。」
「はあ?」
圭也さんは、呆れていた。
「私の時だって、お姑さんにそう言われたんだから。気合を入れて男の子!って願ったら、圭也が産まれたのよ。」
静かにお茶を飲むお母さんに、私は半分顔が引きつっていた。
45
あなたにおすすめの小説
私と彼の恋愛攻防戦
真麻一花
恋愛
大好きな彼に告白し続けて一ヶ月。
「好きです」「だが断る」相変わらず彼は素っ気ない。
でもめげない。嫌われてはいないと思っていたから。
だから鬱陶しいと邪険にされても気にせずアタックし続けた。
彼がほんとに私の事が嫌いだったと知るまでは……。嫌われていないなんて言うのは私の思い込みでしかなかった。
密会~合コン相手はドS社長~
日下奈緒
恋愛
デザイナーとして働く冬佳は、社長である綾斗にこっぴどくしばかれる毎日。そんな中、合コンに行った冬佳の前の席に座ったのは、誰でもない綾斗。誰かどうにかして。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
社長は身代わり婚約者を溺愛する
日下奈緒
恋愛
ある日礼奈は、社長令嬢で友人の芹香から「お見合いを断って欲しい」と頼まれる。
引き受ける礼奈だが、お見合いの相手は、優しくて素敵な人。
そして礼奈は、芹香だと偽りお見合いを受けるのだが……
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
定時で帰りたい私と、残業常習犯の美形部長。秘密の夜食がきっかけで、胃袋も心も掴みました
藤森瑠璃香
恋愛
「お先に失礼しまーす!」がモットーの私、中堅社員の結城志穂。
そんな私の天敵は、仕事の鬼で社内では氷の王子と恐れられる完璧美男子・一条部長だ。
ある夜、忘れ物を取りに戻ったオフィスで、デスクで倒れるように眠る部長を発見してしまう。差し入れた温かいスープを、彼は疲れ切った顔で、でも少しだけ嬉しそうに飲んでくれた。
その日を境に、誰もいないオフィスでの「秘密の夜食」が始まった。
仕事では見せない、少しだけ抜けた素顔、美味しそうにご飯を食べる姿、ふとした時に見せる優しい笑顔。
会社での厳しい上司と、二人きりの時の可愛い人。そのギャップを知ってしまったら、もう、ただの上司だなんて思えない。
これは、美味しいご飯から始まる、少し大人で、甘くて温かいオフィスラブ。
ワイルド・プロポーズ
藤谷 郁
恋愛
北見瑤子。もうすぐ30歳。
総合ショッピングセンター『ウイステリア』財務部経理課主任。
生真面目で細かくて、その上、女の魅力ゼロ。男いらずの独身主義者と噂される枯れ女に、ある日突然見合い話が舞い込んだ。
私は決して独身主義者ではない。ただ、怖いだけ――
見合い写真を開くと、理想どおりの男性が微笑んでいた。
ドキドキしながら、紳士で穏やかで優しそうな彼、嶺倉京史に会いに行くが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる