リョーマ的Y2K子供文化史考

一刀星リョーマ

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第2部 女児向けアニメ史

ふたりからごにんへ~女王プリキュア・復活への道~

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主人公変更や方向転換が裏目に出て売り上げ歴代最低(当時)の60億円という結果で儚く散ってしまった「ふたりはプリキュアスプラッシュスター」。
その翌年、プリキュアはまたも大きな決断をする。開始以来こだわってきた「ふたり」をタイトルから外し、初期メンバーを5人に増員したのだ。「Yes!プリキュア5」である。
それまで「ふたり」「コンビもの」にこだわってきたプリキュア(マックスハートの時点ですでにルミナス加えて3人だけどさ)が最大のアイデンティティーといえた「ふたり」を捨てて他の変身ヒロインもののような5人組に大きく方向転換したことは当時大きなお友達からは「これじゃあセーラームーンの二番煎じ」「安易な商業主義に走った」などど快く思わない者も少なからずいた。しかしこれがプリキュアにとって息を吹き返すきっかけとなり、以降のシリーズの礎を築くこととなった。

プリキュア以前の集団ヒロインものと言えばだいたい3~5人が主な人数であった。
以下、プリキュア以前の主な集団ヒロイン作品の人数(初期人数)を振り返ってみよう。
セーラームーン…5人
魔法騎士レイアース…3人
おジャ魔女どれみ…3人
東京ミュウミュウ…5人
ぴちぴちピッチ…3人
…もちろんこの中にはどれみのように途中で追加メンバーが登場した作品もあるが、どの作品も3人や5人スタートが基本だ。人数的にも物語が作りやすいちょうどいい人数なのは間違いない。
スーパー戦隊シリーズ第1作「秘密戦隊ゴレンジャー」を5人組にしたのは「3人は少なく4人は縁起が悪い、7人は多すぎる」なんて意見が影響していると言われている。集団ヒロイン作品には上記のように3人スタートの作品が多いが5人がちょうどいいという発想も古くからある。3人・5人の作品が多いのは「3人は少なくてもその分物語が作りやすい」「5人は多すぎず少なすぎずちょうどよく画面を華やかにできる」というメリットがあるからであると僕は考える。
「おかあさんといっしょ」の人形劇コーナーだってどの作品も主人公は3人組もしくは4人組が基本だ。子供向け作品において3~5人組の主人公はテンプレートといえる。
プリキュアとしても「いきなり7人とかは多すぎるからちょうどよく3人増やして5人にしよう」という判断だったに違いない。

プリキュア5における大きな新要素は人数の増加だけではない。「単独技の登場」という後のシリーズの大きなエポックも登場したのだ。
過去3作では基本ふたりで一緒に必殺技を発動しており、マックスハートのシャイニールミナスを除いては単独で必殺技を出すことはなかった。
しかしプリキュア5ではメンバーひとりひとりに独自の技を与え、単独で技を発動するのだ。
単独で技を出せることになったことで、キャラ単独のカットが増え、子供たちの目線からしてみてもキャラクターひとりひとりに感情移入できるようになり、それが衣装などの各キャラ単独の商品の売り上げにつながったのは間違いない。
過去3作でのヒロインへのイメージが「ふたりでひとつのスーパーヒロイン」だったのに対してプリキュア5ではこのような路線変更により「ひとりひとりがヒロインで5人そろえばスーパーヒロイン」といった感じであった。

さらに注目すべきキャラはプリキュアメンバーだけではない。妖精側も新機軸を打ち出した。
過去作ではメンバー1人1人にパートナーの妖精がついていたが、今回は特定のメンバーのパートナーでなくグループ全体に妖精がつく形を初めて採用。ココとナッツである。
さらにふたりには人間体も存在し、その姿はプリキュアたちより少し年上のお兄さんタイプのイケメン。女児の目線から考えても女の子ばっかりじゃなくてイケメンもいたほうが画面が華やかで楽しくなるだろうし、上の年齢層を狙うという目的もあったかと思う。

プリキュア5における大きな路線変更…メンバーを増やしただけでもこれまた大勝負に出た感じではあるが、結果は大成功。プリキュア5におけるバンダイの玩具売り上げは105億円に達し、100億越え復帰。翌年の「GoGo!」においても同じ数字を記録。プリキュアは再びこの業界の絶対女王に返り咲いた。
単独技をはじめとする5で生まれた多くの要素が以降のシリーズにも引き継がれており、今日までのプリキュアのフォーマットの原点は5にありといっても過言ではないのだ。

…一方そのころライバル作品たちはどうであったか?
次回はスプラッシュスター~GoGoと同時期の2006~2008年に放送された作品をいくつか分析してみよう。
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