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第4部 漫画・出版史
わざぼーは都合の良い武器じゃない。
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今回は少しマニアックな作品の話となる。コロコロの姉妹紙である「コロコロイチバン」にて2005年の創刊号からシリーズ通算でおよそ10年にわたって連載された曽山一寿先生の「わざぼー」。技々みみみを主人公としたでんぢゃらすじーさんとは180度違ったアクション満載の笑いと戦いのストーリーだ。
タイトルである「わざぼー」はこの作品に登場する武器にしてキーアイテムのこと。
テキトーに技名を叫べばその通りの技が出るという一見都合がよすぎる武器(1話に登場した敵からも「なんて都合のいいおもちゃだ」といわしめている)。これさえあればみみみは無敵なのでは?とお思いだろうが、いくら何でも都合がよすぎるようにはできていない。わざぼーにはいくつかの欠点がある。
ひとつは「技をくらわせたい相手に直接わざぼーが触れている状態でないと技が発動できない」こと。すなわちビームとかの飛び道具・遠距離攻撃系の技は出せない。相手が素早かろうが、空をとんていようが、直接ぼーを当てないとダメージを与えることはできない。
もうひとつは「わざぼーの技は生き物にしか効果がない」こと。相手が飛び道具を使ってきたところでわざぼーの技でそれを直接跳ね返したりはできないのだ。
これもおジャ魔女どれみにおける魔法玉の存在のように「都合の良い力を都合よくしない」法則と言えよう。
いくら好きな技が使えようとも、自由に使えすぎても当然ダメである。読者は一瞬でも苦戦する主人公を望んでいるのだから。
曽山先生はわざぼーは「わざぼーの技が効かない」か「届かない」かの2パターンのみの作品と後年自負されていた。実際主な敵はわざぼーの技を防ぐ術を持ってるヤツや空を飛んでいるなどでみみみが直接わざぼーを当てることができないヤツが基本である。
「効かない」パターンを例に挙げると2話のアーマン戦。アーマンはその名の通りどんな攻撃も防ぐアーマー(作中ではヨロイと呼称)を身につけており、炎であろうが電撃であろうがどんな攻撃も無効化してしまうという2話にしてはいきなりの強敵。例えるならマリオの最初のステージで1体目のクリボーを踏んだ直後にすぐクッパと戦うようなものか(たとえわかりにくかったらごめん)。
だがみみみは「ヨロイがある限り無敵」とのアーマンのセリフをヒントに「ぬぎぬぎストリッ波ー」なる技でアーマンのヨロイを脱がせたのち、無力化した本体(ガリガリの宇宙人みたいな見た目)に「さいなら倍倍弾」でふっとばした。
「届かない」パターンの例は3話のレイザー戦。常にジェットパックで飛行しながら名前通りレーザーを撃ってくる相手だが、前述の通りわざぼーは生き物にしか効果を発揮しないので生き物ではないレーザーを跳ね返せないし、直接相手にわざぼーを当てる必要があるのでその相手に空を飛ばれてはみみみにはレイザーに攻撃する術はない。だがみみみは「生き物にしか効かない」のならば「自分には効果がある」とひらめいて自らの頭にわざぼーを当て、「人間ロケット閃光弾」で自らをロケットのようにふっ飛ばしてレイザーに近づいたのち、「めんたまぶっとびだしアタック」でレイザーを倒した。
こうやって「どうあがいても絶望」の状態からどうやってピンチを這い上がって敵を倒すかも魅力のひとつである。
そんなわざぼーだが、コロコロイチバン誌上では看板だったものの、単行本の売り上げはでんぢゃらすじーさん作中でじーさんが「おっそろしいほど売れてない」と暴露し、「どうやったら売れるのか考えよう」とする異色の回が作られるほど芳しくなかった模様。
コロコロの読者は単行本派より雑誌派が多かったりする(あくまで僕の感覚だが)のもその理由のひとつだろう。コロコロ読者の多くは小学生。当然彼らはジャンプやサンデーの読者層より少ない小遣いでやりくりしており、単行本よりもゲームやホビーなどにその貴重な小遣いを使いたい、漫画はコロコロで読んでるからわざわざ単行本を買わなくてもいい、その分ゲームやホビーに回したい。という子も多いはずだ。
さらに言えばわざぼーの掲載誌であるコロコロイチバンは月刊コロコロよりも年齢が低い(月刊コロコロはとくに小学校中~高学年が多いとされる)小学校低学年向けの雑誌。当然上の年齢より特に小遣いが低い子がほとんどだから上の子よりもゲームやホビーに回したいだろう。個人的にわざぼー自体は曽山センスが光るギャグとバトルを織り交ぜた独特の作風のため、そこそこ人を選ぶ作品であるとは思うが、子供たちのハートはばっちりつかめる作品だとは思うし、決してつまらなくはないと思っている。ある意味わざぼーはイチバン読者の懐事情に泣いたというべきか。
タイトルである「わざぼー」はこの作品に登場する武器にしてキーアイテムのこと。
テキトーに技名を叫べばその通りの技が出るという一見都合がよすぎる武器(1話に登場した敵からも「なんて都合のいいおもちゃだ」といわしめている)。これさえあればみみみは無敵なのでは?とお思いだろうが、いくら何でも都合がよすぎるようにはできていない。わざぼーにはいくつかの欠点がある。
ひとつは「技をくらわせたい相手に直接わざぼーが触れている状態でないと技が発動できない」こと。すなわちビームとかの飛び道具・遠距離攻撃系の技は出せない。相手が素早かろうが、空をとんていようが、直接ぼーを当てないとダメージを与えることはできない。
もうひとつは「わざぼーの技は生き物にしか効果がない」こと。相手が飛び道具を使ってきたところでわざぼーの技でそれを直接跳ね返したりはできないのだ。
これもおジャ魔女どれみにおける魔法玉の存在のように「都合の良い力を都合よくしない」法則と言えよう。
いくら好きな技が使えようとも、自由に使えすぎても当然ダメである。読者は一瞬でも苦戦する主人公を望んでいるのだから。
曽山先生はわざぼーは「わざぼーの技が効かない」か「届かない」かの2パターンのみの作品と後年自負されていた。実際主な敵はわざぼーの技を防ぐ術を持ってるヤツや空を飛んでいるなどでみみみが直接わざぼーを当てることができないヤツが基本である。
「効かない」パターンを例に挙げると2話のアーマン戦。アーマンはその名の通りどんな攻撃も防ぐアーマー(作中ではヨロイと呼称)を身につけており、炎であろうが電撃であろうがどんな攻撃も無効化してしまうという2話にしてはいきなりの強敵。例えるならマリオの最初のステージで1体目のクリボーを踏んだ直後にすぐクッパと戦うようなものか(たとえわかりにくかったらごめん)。
だがみみみは「ヨロイがある限り無敵」とのアーマンのセリフをヒントに「ぬぎぬぎストリッ波ー」なる技でアーマンのヨロイを脱がせたのち、無力化した本体(ガリガリの宇宙人みたいな見た目)に「さいなら倍倍弾」でふっとばした。
「届かない」パターンの例は3話のレイザー戦。常にジェットパックで飛行しながら名前通りレーザーを撃ってくる相手だが、前述の通りわざぼーは生き物にしか効果を発揮しないので生き物ではないレーザーを跳ね返せないし、直接相手にわざぼーを当てる必要があるのでその相手に空を飛ばれてはみみみにはレイザーに攻撃する術はない。だがみみみは「生き物にしか効かない」のならば「自分には効果がある」とひらめいて自らの頭にわざぼーを当て、「人間ロケット閃光弾」で自らをロケットのようにふっ飛ばしてレイザーに近づいたのち、「めんたまぶっとびだしアタック」でレイザーを倒した。
こうやって「どうあがいても絶望」の状態からどうやってピンチを這い上がって敵を倒すかも魅力のひとつである。
そんなわざぼーだが、コロコロイチバン誌上では看板だったものの、単行本の売り上げはでんぢゃらすじーさん作中でじーさんが「おっそろしいほど売れてない」と暴露し、「どうやったら売れるのか考えよう」とする異色の回が作られるほど芳しくなかった模様。
コロコロの読者は単行本派より雑誌派が多かったりする(あくまで僕の感覚だが)のもその理由のひとつだろう。コロコロ読者の多くは小学生。当然彼らはジャンプやサンデーの読者層より少ない小遣いでやりくりしており、単行本よりもゲームやホビーなどにその貴重な小遣いを使いたい、漫画はコロコロで読んでるからわざわざ単行本を買わなくてもいい、その分ゲームやホビーに回したい。という子も多いはずだ。
さらに言えばわざぼーの掲載誌であるコロコロイチバンは月刊コロコロよりも年齢が低い(月刊コロコロはとくに小学校中~高学年が多いとされる)小学校低学年向けの雑誌。当然上の年齢より特に小遣いが低い子がほとんどだから上の子よりもゲームやホビーに回したいだろう。個人的にわざぼー自体は曽山センスが光るギャグとバトルを織り交ぜた独特の作風のため、そこそこ人を選ぶ作品であるとは思うが、子供たちのハートはばっちりつかめる作品だとは思うし、決してつまらなくはないと思っている。ある意味わざぼーはイチバン読者の懐事情に泣いたというべきか。
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