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ULTIMATE〜日本防衛戦線

ULTIMATE〜日本防衛戦線第11話

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主要登場人物一覧
登場人物一覧
大石慶敬(24)…4代目主人公 国家保安庁特殊空衛団機動員
豊島敦也(24)…国家保安庁特殊空衛団機動員
新屋智輝(24)…国家保安庁特殊空衛団機動員
甲賀彪馬(25)…国家保安庁特殊空衛団機動員
大野義也(31)…国家保安庁特殊空衛団機動員
日野悠矢(33)…国家保安庁特殊空衛団機動員
香野淳也(30)…国家保安庁特殊空衛団機動員
浦渼祐輝(60)…国家保安庁特殊空衛団管理官
北海遼(39)…国家保安庁特殊空衛団管理官補佐
河内慶六(50)…国家保安庁副長官
松山和也(48)…国家保安庁長官
睦月陸(47)…国家保安庁特殊空衛団長
…………………………………………………………………
「強行突破から4時間が経ちましたが未だこれといった成果は何も上がっていないそうです」
一人の隊員から言われ睦月は目をつぶって俯いた。
「そ俺も行くか」
「いや、それはまずいんじゃ。誰が指揮をとるんですか?」
「現場から指揮を取ってやる。」
そう言うと睦月は防弾チョッキをつけ警棒と拳銃をベルトから吊るした。
その時、一人の隊員が会議室に入ってきた。
「失礼します。隊員1名の死亡が確認されました。」
「なんだと?」
隊員から来た情報に思わずその場にいた指揮担当の隊員らがざわついた。
「名前は?」
「それがまだ。上着についているネームプレートが外されていてそして、顔も原型を留めておらず」
「そうか。少なくとも近畿方面隊員らには待機命令を出している。空衛団員で間違いないだろう。そいつを担架に乗せ医務室に運んどいてくれ。後で俺が挨拶をしに行く」
「わかりました」
数分後
担架に乗せられ一人の死体が医務室に運ばれた。
「医務室にて搬送しました」
「そうか。すぐに向かう」
睦月は険しい表情をしながら医務室に足を運んだ。
医務室に入るとすぐに男の顔が目に入った。
確かに原型は留めていなかった。
睦月は顔をしかめることも無く静かに男の目の前にたった。
「すまなかった。指揮官でありながら俺は何も出来なっかった」
そう言うと睦月は目に涙を浮かべながらその場で敬礼した。
「すぐにお前の仇をうってやる。負ける訳にはいかん。この国の存亡のためにもお前の仇討ちのためにも、必ず倒してやる」
そう言うと睦月はそのまま医務室を後にした。
その後、死亡した隊員がポケットに入れていた1枚の写真から身元がわかった。
その写真には綺麗な顔立ちをした女性と隊員が写っておりその女性は恋人と判明した。
そして、国家保安庁は死亡した隊員を総監本部霊安室に移し、家族とその恋人に連絡を入れた。
遺族が霊安室に来ると立ち会い人として、本人の強い希望もあり空衛団管理官の浦渼が立ち会い人をつとめた。
安らかに眠る隊員を見るなり遺族はその場で泣き崩れてしまった。
そんな中、父親と見られる男性が浦渼に声をかけた。
「あの、うちの息子はなぜこういう姿に?」
「機密情報のためあまり言えませんが、ある任務中に頭部と顔面、腹部に数カ所、鉄状のような物で殴打された後が見つかりました。傷の状態からして少なくとも何らかの影響で抵抗出来ない姿勢を取らされ、1時間以上にわたって殴打されたと思われます。」
「そんな、」
浦渼から真実を告げられ母親とみられる女性がその場で泣き崩れた。
「うちの息子は役にたったんですか?その任務とは恐らく重大なものなんでしょ?うちの息子の死は役にたったんですか?」
「……まだ何も言える状況ではありません。ですが、1つ言えることがあります」
「言えること?」
「彼の死は無駄なものではありません。私は心からそう断言できます。大切な仲間を失った。我々は彼の無念を必ず晴らせるように、これまで以上に任務に全身全霊を尽くしたいと考えています。」
そう言うと浦渼は遺族らに頭を下げた。
霊安室を出ると霊安室前のロビーに一人の女性が座っていた。
「あなたは?」
浦渼が声をかけると女性はすぐに立ち上がった。
「あ、彼が」
「あ、恋人の方ですか?」
「はい」
「なぜ中に入られないのですか?」
「家族では無いので、彼からプロポーズされる予定だったんですけどね笑今日。イタリアンのレストラン予約して、でも今日彼から何も連絡なくてそしたら死んだって連絡が来て」
「そうでしたか。ポケットにこんなものがありました。そして彼の荷物からもこんなものが」
そう言うと浦渼は持っていた指輪と写真を女性に手渡した。
「これは……」
「彼は死ぬ間際まであなたとの写真を持っていました。指輪もきちんと保管されていました。彼にとってあなたは大切な存在だったんですね。私には人を愛するという経験が無かったので分かりませんが、最後まであなたの事を思ってこの世から去っていった、国保隊員としては国を守る者が何をしてると思われるかもしれませんが、一人の人間として、私はとても素晴らしいと思います。彼が本当にあなたを心から愛していたと私は思います。ご冥福をお祈りします」
そう言うと浦渼は頭を下げその場から去っていった。
浦渼の言葉に女性はその場で泣き崩れた。
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