愛しの My Buddy --イケメン准教授に知らぬ間に溺愛されてました--

せせらぎバッタ

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 抱き寄せられたままタクシーに乗り込んだ。車内ではずっと口をふさがれている。ホテルの部屋に入るまでどちらも口を開かなかった。

 服をむかれるたびに素肌を指と舌が転がっていく。全身をキスの雨で降らすというのは本当のようだ。指がヴァギナを捉えた時、柏木が口を開いた。

「ああ、すごい濡れてるな。もう、俺のがすぐ入っちゃうよ」

 菜穂は言葉を返すこともせず、ただ己れの押し寄せる快楽にまどろんでいた。
「ああ、あ、もう、」

 膣の中に入った指がGスポットを突いてきた。唇は優しくクリトリスをついばむ。ドロッとした蜜があふれてきた。それを指の腹で太腿にこすりつけながら、柏木が愛液をすすりあげた。
 ああ、なんでこんなことしているんだろう。でも抗えない。尽きることなく欲望がはいあがってくる。

「ああ、もう挿れるね。たまらない」

 ぐいと脚を広げられ、柏木が腰を落としてきた。膣内がキューンと喜びを伝えてきた。

「ああ、すごい。すごい、締まる。引きちぎられそうだ。若い子の身体に溺れるヤツの気持ちがわかるな」

 柏木の声が遠くに聞こえる。何か言ってるようだが、頭に入らない。
 お互いに果てた時、菜穂はシーツを胸の前まで引き上げた。興奮は徐々に落ち着き、素の菜穂が戻ってきた。満足そうに微笑む柏木と目があった。

「手放したくないなぁ。彼と別れて俺とつきあいなよ」

 菜穂は天井を見たまま考える。雄太を裏切ってしまった。今さながら後悔がこみあげる。次に会った時、どんな顔をすればいいのだろう。「弱かったから」そんな言い訳が通用するのだろうか。そもそも、バレないかぎり、自分から言うことはないだろうけど。

「柏木さん、イケオジだから、モテるでしょう」
「あれ、菜穂ちゃんとつきあいたいって言っているのに、予防線かな」
「純粋に訊きたいからです。女性に不自由してなさそうなのに、会ったばかりの小娘とつきあいたいなんて、若い身体が目的なんですか」

 柏木は菜穂の肩を優しくなでながら「若いだけじゃないよ。そうだな。菜穂ちゃんは身体を取引に使わないと思ったからかな」

「取引?」

「広告代理店の時からそうだったんだけど、華のある業界って女性に人気があるんだよね。結婚願望のある子やスポンサーさがし、就職や芸能界への口利きとか。いろんな動機で集まってくる。
 昔ならいざ知らず、今や女性の身体は菓子折りレベル。セックスしたからといって、もうそれで仕事の便宜をはかってもらえる時代じゃないんだよな。女性はまだまだセックスしてあげれば男を操れると思ってる子多いけど。

 そういう子がいっぱいいたら、結局本人の資質と努力だろう。もっとも、華やかとは言え古い業界だから、まだそういう慣習はかなり残っているけどね。
 街を歩けば愛い子いっぱいいるじゃないか。もう「可愛い」は特権階級じゃないんだよ。容姿を問わないアスリート、政治家、学者さえも美しい。整形でいくらでも美人になれて、人気がでる時代だ」

「わたしは取引しないと、」

「そう、セックスに邪心がないというのか、純粋に人と人のつながりの延長で身体を合わせられると思ったんだ。俺、菜穂ちゃんとのこと遊びじゃないから」

 うなじに唇をおしつけながら乳首をいじる。
「ああ、キスマークつけたいなぁ。俺の女だっていうしるし、いっぱいつけたい」
「だめです。わたしには彼氏がいるんですから」

 そう、彼氏がいるのに他の男とこんなことしている。軽いな、わたし。やだ、やだ。

「妬けちゃうなあ、俺がやり捨てられるなんて」
「いっぱい遊んだ人のセリフですね。もう、この遊び人」
「菜穂ちゃあん、俺、本気だから。大事にするから。女の子とする時は遊びと思ったことない。たとえ1回こっきりでもね」
「そういうのを遊び人って言うんです!最初は遊びで声かけたんですか。遊びと本気のちがいって何なんですか」

 菜穂はだんだん腹がたってくる。男って奴は!

「そうだな。最初はおっぱいの大きい子だなと思って、触りたいなぁと。セックスする時どんな顔でイクんだろうとか」
「いやらしい。最初からそんな目で見てたんですか」
「男なら誰だってそうさ。性的魅力を感じたらスイッチが入っちゃう。女の人はちがうのかなぁ」

 乳房は直接的なセックスアピールのパーツである。形状が服の上からでもわかってしまうから、男女ともに関心がいってしまうのは否めない。


 菜穂は第二次性徴を早く迎え、胸が同級生より早く大きくなった。どんどん大きくなる胸に泣きそうになったこともある。あえてサイズの小さいスポーツブラをつけごまかそうとしたが、動くとズレてしまうから、結局フィットしたものにならざるを得なかった。

「君島ってさあ、胸でかいよな」

 誰かが自分のことを噂している。
 高校一年の衣替えの季節。学校にもずいぶん慣れてきた頃だ。あちこちでグループ分けもできてきていた。

 放課後、日誌を書き終え、教室のドアをガラッとあけた瞬間だった。どうしていいかわからず思わず後ずさったが、耳は必至で音を拾おうとしていた。
 こっそりのぞくと、廊下で男子学生が数人立ち話をしていた。

「えー、でも垂れてるぞぉ。俺は巨乳はパスだな」
「大きければしょうがないんじゃないか」
「おっぱいでかい女はあれが好きっていうけど、ホントかな。そんなふうには見えないけど」
「まだ開発されてないんだろう。俺、声かけよっかな。顔も好みだし」
「あとさ、巨乳って頭悪いっていうじゃないか。セックス抜群で俺のいうなりになるなんて、最高じゃね」

 菜穂は悔しさで真っ赤になる。胸が大きいだけで、何でこんなこと言われなきゃならないんだろう。わたしのせいじゃないのに。
 体育の時間が苦痛だった。どんどん猫背になる。姿勢も悪くなる。がり勉と言われようが勉強は必死で取り組んだ。

 おっぱい大きい女はバカ!そんなこと言わせない。
 そのかいあって、学年末の模擬試験で9番に入った時は、嬉し涙が頬を伝った。

 高2になると新卒の養護の先生が赴任してきた。風変わりなあまり先生っぽくない女性だった。
 朝から調子が悪かったが、案の定、5限は何とか凌いだが、6限になるともうダメだった。明らかに顔が青白くなり、先生が保健室に行くよう勧めてきた。

「保健委員は誰だったか。連れてってやれ」
「はーい、俺です」
 上野という男子が手を挙げた。

 ヒヤッとした。以前「おっぱいが大きい女はあれが好き」といってた男子だ。確か女子の保健委員もいたはずだ。

「あの、一人で大丈夫です」
 立ち上がろうとして立ち眩みに襲われた。脂汗も浮いてくる。

「上野じゃなくて、女子は、女子の方がいいかな」

 年配の男性の先生が心配そうに席までやってくる。
 保健委員の女子は本日病欠ということがわかると「上野、支えて連れてってやれ。それと君島さんの隣りの女子も付き添ってやれ。

 二人に付き添われ、菜穂はベッドに横たわった。ちょうど養護の先生が不在だったので、付き添い女子を先に帰らせ、上野が事情説明に残った。
 菜穂の唇はからからだ。

「大丈夫?」

 心配そうにのぞき込んだ顔だが、ひっぱたいてやりたい。気力も体力もないので横を向く。返事なんかしてやらない。

「あのさ、こんな時にいうのもなんだけど、俺、嫌われてる?」

 菜穂は狸寝入りをした。意識ももうろうとするし、具合悪いのに話しかけないでよ。
 ベッドのきしむ音がしてあせった。何が起ころうとしている?
 人の動く気配がし、髪が触れられたことに気づいた。狸寝入りを決めた手前、動くに動けない。寝返りを打った方がいいんだろうか。早く先生、戻ってくれないかな。

「もう寝ちゃったのか」

 消え入りそうなせつなげな声に、菜穂はビクッとする。いけない、いけない寝息、寝息。
 そしてそのまま本当に寝入ってしまった。
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