23 / 31
19
しおりを挟む
「さて、そろそろ時間になるので、わたしから一言。夢中になってつきあってるのに、ある日突然別れがやってくる。恋は突然始まることがあるが、唐突に終わることもある。『100年の恋も冷める』ってやつかな。恋に恋してた。幻滅した。相手が変わった。いろいろなケースがあるだろう。ひとつのケースを例に出そう。
ミステリアスな異性に惹かれるというのはよく聞く話だ。では、そのミステリアスとは何だ。ああ、言っておくが、時々勘違いして、モテるためには黙ってればいいという人間がいるが、ちがうからな。はき違えないように。
ミステリアスとは物語りだ。誰しも自分の世界観を持っている。ああ、これも言っておくが、キミたちは現在構築中だ。
その人特有の世界観。つむいできたノンフィクションの物語り、ストーリーだ。生まれ、育ち、友人関係、恋愛、仕事、趣味。感情の起伏。ヒトは一生に一度は自分の話を書けると言われる。それくらい誰の人生にも膨大な情報量がつまっている。まったく同じものはない。文字通り唯一無二。
さて、それがにじみ出るのは外見の雰囲気だ。わずか数分のCMでも人物設定を詳細に決めるという。CMの流れにはまったく関係ないのに、年齢や職業とかな。そうすることで切り取った映像に立体感がでるということだ。
物語りのあるヒトはカリスマ性を感じるね。むろん色気もふんだんにある。自分の中のストーリーを大切にすることだ。
その物語の世界、自分の知らない世界、それを知りたくなるとヒトは扉を開けたくなるんだ。運よく入れた。他の誰かが入ってこれないように後ろ手に扉を閉める。そしてその世界を隅々まで探索する。
さて、ここに問題がある。閉鎖された空間はやがて息苦しくなる。そこに同化するには無理がある。養分として干からびて消滅することもあれば、異物と認識されて排除されることもある。臓器移植患者が拒絶反応を抑えるために生涯にわたり薬を飲むように、同化を望むのであれば何らかのケアが必要だ。
これは恋愛にもとどまらない。就活の際定着率を参考にすると思うが、ホワイト企業ですら人材流動化はある。むしろ企業を活性化させるといわれている。程度にもよるがな。
若者の閉塞感、息苦しさも、前世代がつくりあげた社会の中で、まあ、生け簀にたくさん放り込まれた稚魚が大きくなり、酸素不足であっぷあっぷしている状態ともいえる。
前世代だけを非難するのは簡単だ。生け簀にいなかったら、生きていられなかったんだから。
だからキミタチも空気が薄くなったと感じたら、他の空気を吸い込むことだ。物理的な変化、旅行や運動。見聞を広めたり、本を読んだり、心の旅にでるのもいい」
扉が閉じる。
相手の世界に入ってみたくて扉を開ける。だが悲しいかな、背後で扉がパタンと閉まったとたん、終わりが近づいてくる。少しずつ、ゆっくりと、蝕まれるように息苦しくなる。閉塞感にとらわれる。飲み込まれなかったとしても倦んできたりする。
同化のプロセスはどうなっているか。己れは、自我はどうなる。意識下で喰うか喰われるかの攻防にドーパミンはドクドク流れ、自分を見失っていく。個と個の激しいぶつかりあいは陣地争いのように熾烈を極める。その異常な精神状態を愛と呼ぶものもいる。
ふくらみすぎた感情は性愛にてはじけ、やがて収束する。そういう意味では惹かれあった者どうしは、必ずセックスしなければならない。いや、した方が健全なのだ。
伸は黒板にサークルをいくつか描いた。「先ほどの恋愛における関係性を図で描いてみた。異論もあるだろうが、とりあえず考えてみた」
小さな円を内側に抱えた大きな円を指し、「これが同化だ。従来の価値観だ。夫唱婦随、メンヘラ、ヤンデレ等、要するに愛は惜しみなく奪う、という奴だな。まあ、共同作業でどんどん部屋を大きくするのも手だ。ヒトの細胞に取り込まれたミトコンドリアのような共生という形もある」
続いて、円と円の一部がくっついているものを指す。「これは友達カップルだろう。個々の世界は自立しているが、お互い伴奏しあってる。ある意味理想的かもしれない。とはいえ、どこでジョイントするかだな。物理的に身体の一部なのか、」
教室からクスクスと笑い声が漏れる。こういうのは男女ともに反応がいい。真面目に話しているのだが。
「キミたちが何を想像しているかよくわかるが、そうだな、セフレなんかもこれに該当するか。お互いが個を確立しているという意味では健全なんだが、心の距離感を重視する現在の価値観においてはイレギュラー扱いだろう。心だけでジョイントした場合、レスになる可能性もある。
壁のように広い範囲、金属の溶接のように結合した場合は、うまく行くパターンかもしれない。とは言え、互いに互いをリスペクトする姿勢がなければ長続きしない。結合する範囲が広いからといって同化ではない。独立する存在だ。察する文化はこの際、捨てることだ」
次が離れた円同士。「まあ、これはかなりフレキシブルなパターンだな。お互いに、時々訪問しあうようなものだ。ポリアモリータイプかもしれない。ポリアモリーは関係者全員の同意が必要とされているが、個人的には、自分がポリアモリーと公言するだけでいいんじゃないかと思う」
伸はぐるりと教室を見渡し、「何でもそうだが、正解はひとつではない。願わくばキミたちが同じパターンの人とご縁があることを祈ってる」
柏木と別れた後、菜穂は雄太との問題にケリをつけようと思っていた。従来の価値観。前世代が連綿とつないできた家族のかたち。それは今後も残っていくだろう。そういうもんだと思っていた。
でも、と思う。菜穂はどうしてもそれを許容できない。
なぜ女が合わせなきゃいけないの?女でなくても、なぜ相手に合わせなきゃいけないの?合わせることが愛なの?自分がすり減っていくのがホントの愛なの?
自分は本当に雄太を愛しているのだろうか。好きだと思う。大事な人だと思う。それは愛なのか。ただ、熱量のちがいに戸惑っているだけなのか。
愛がわからない。
仮に愛していたとして、裏切った自分の気持ちはどう説明できるのだろう。
雄太が浮気した過去があるから。
少しずつ結婚に向けて外堀を固めていく雄太が重く感じるから。
若い時は過ちを犯しがちだから。
まだ本当の愛を知らないから。
ポリアモリーなのか。雄太の世界で物足りなかったから。窒息しそうだったから。
遊びと本気の境界とは?
複数愛でありながら、夫婦の絆がしっかりある人がいる。絆とは何なんだ。絆をつくりあげる過程こそがユニーク化の絶対条件なのだろうか。
愛という言葉に踊らされている。
『愛おしいと思えるかどうか』
柏木の言葉がふと浮かんだ。自分のどこが良かったのだろう。いくら愛の言葉をささやかれても、素直に受け取れなかった。
恐らく言葉通りの自分は、自分でないと感じているからなのだろう。女神なんかじゃない!!
ただの人を女神に見せてしまう恋愛マジックとは、愛とはいったい何なのだ。
自分に向き合うことも大事だが、相手にも誠実に向き合わねばならない。
どこまで話し、何を話さなくていいのか。引かれるのはヤダ。罵倒されるのも憎まれるのも哀しい。
いい女と思われたくて体裁を取り繕うとする自分にも呆れる。ダブスタだ。
これを乗り越えたら、雄太との絆が深まる?
強固な絆ができるまで、いったい何回踏み絵を踏めばいいのだろう。
ミステリアスな異性に惹かれるというのはよく聞く話だ。では、そのミステリアスとは何だ。ああ、言っておくが、時々勘違いして、モテるためには黙ってればいいという人間がいるが、ちがうからな。はき違えないように。
ミステリアスとは物語りだ。誰しも自分の世界観を持っている。ああ、これも言っておくが、キミたちは現在構築中だ。
その人特有の世界観。つむいできたノンフィクションの物語り、ストーリーだ。生まれ、育ち、友人関係、恋愛、仕事、趣味。感情の起伏。ヒトは一生に一度は自分の話を書けると言われる。それくらい誰の人生にも膨大な情報量がつまっている。まったく同じものはない。文字通り唯一無二。
さて、それがにじみ出るのは外見の雰囲気だ。わずか数分のCMでも人物設定を詳細に決めるという。CMの流れにはまったく関係ないのに、年齢や職業とかな。そうすることで切り取った映像に立体感がでるということだ。
物語りのあるヒトはカリスマ性を感じるね。むろん色気もふんだんにある。自分の中のストーリーを大切にすることだ。
その物語の世界、自分の知らない世界、それを知りたくなるとヒトは扉を開けたくなるんだ。運よく入れた。他の誰かが入ってこれないように後ろ手に扉を閉める。そしてその世界を隅々まで探索する。
さて、ここに問題がある。閉鎖された空間はやがて息苦しくなる。そこに同化するには無理がある。養分として干からびて消滅することもあれば、異物と認識されて排除されることもある。臓器移植患者が拒絶反応を抑えるために生涯にわたり薬を飲むように、同化を望むのであれば何らかのケアが必要だ。
これは恋愛にもとどまらない。就活の際定着率を参考にすると思うが、ホワイト企業ですら人材流動化はある。むしろ企業を活性化させるといわれている。程度にもよるがな。
若者の閉塞感、息苦しさも、前世代がつくりあげた社会の中で、まあ、生け簀にたくさん放り込まれた稚魚が大きくなり、酸素不足であっぷあっぷしている状態ともいえる。
前世代だけを非難するのは簡単だ。生け簀にいなかったら、生きていられなかったんだから。
だからキミタチも空気が薄くなったと感じたら、他の空気を吸い込むことだ。物理的な変化、旅行や運動。見聞を広めたり、本を読んだり、心の旅にでるのもいい」
扉が閉じる。
相手の世界に入ってみたくて扉を開ける。だが悲しいかな、背後で扉がパタンと閉まったとたん、終わりが近づいてくる。少しずつ、ゆっくりと、蝕まれるように息苦しくなる。閉塞感にとらわれる。飲み込まれなかったとしても倦んできたりする。
同化のプロセスはどうなっているか。己れは、自我はどうなる。意識下で喰うか喰われるかの攻防にドーパミンはドクドク流れ、自分を見失っていく。個と個の激しいぶつかりあいは陣地争いのように熾烈を極める。その異常な精神状態を愛と呼ぶものもいる。
ふくらみすぎた感情は性愛にてはじけ、やがて収束する。そういう意味では惹かれあった者どうしは、必ずセックスしなければならない。いや、した方が健全なのだ。
伸は黒板にサークルをいくつか描いた。「先ほどの恋愛における関係性を図で描いてみた。異論もあるだろうが、とりあえず考えてみた」
小さな円を内側に抱えた大きな円を指し、「これが同化だ。従来の価値観だ。夫唱婦随、メンヘラ、ヤンデレ等、要するに愛は惜しみなく奪う、という奴だな。まあ、共同作業でどんどん部屋を大きくするのも手だ。ヒトの細胞に取り込まれたミトコンドリアのような共生という形もある」
続いて、円と円の一部がくっついているものを指す。「これは友達カップルだろう。個々の世界は自立しているが、お互い伴奏しあってる。ある意味理想的かもしれない。とはいえ、どこでジョイントするかだな。物理的に身体の一部なのか、」
教室からクスクスと笑い声が漏れる。こういうのは男女ともに反応がいい。真面目に話しているのだが。
「キミたちが何を想像しているかよくわかるが、そうだな、セフレなんかもこれに該当するか。お互いが個を確立しているという意味では健全なんだが、心の距離感を重視する現在の価値観においてはイレギュラー扱いだろう。心だけでジョイントした場合、レスになる可能性もある。
壁のように広い範囲、金属の溶接のように結合した場合は、うまく行くパターンかもしれない。とは言え、互いに互いをリスペクトする姿勢がなければ長続きしない。結合する範囲が広いからといって同化ではない。独立する存在だ。察する文化はこの際、捨てることだ」
次が離れた円同士。「まあ、これはかなりフレキシブルなパターンだな。お互いに、時々訪問しあうようなものだ。ポリアモリータイプかもしれない。ポリアモリーは関係者全員の同意が必要とされているが、個人的には、自分がポリアモリーと公言するだけでいいんじゃないかと思う」
伸はぐるりと教室を見渡し、「何でもそうだが、正解はひとつではない。願わくばキミたちが同じパターンの人とご縁があることを祈ってる」
柏木と別れた後、菜穂は雄太との問題にケリをつけようと思っていた。従来の価値観。前世代が連綿とつないできた家族のかたち。それは今後も残っていくだろう。そういうもんだと思っていた。
でも、と思う。菜穂はどうしてもそれを許容できない。
なぜ女が合わせなきゃいけないの?女でなくても、なぜ相手に合わせなきゃいけないの?合わせることが愛なの?自分がすり減っていくのがホントの愛なの?
自分は本当に雄太を愛しているのだろうか。好きだと思う。大事な人だと思う。それは愛なのか。ただ、熱量のちがいに戸惑っているだけなのか。
愛がわからない。
仮に愛していたとして、裏切った自分の気持ちはどう説明できるのだろう。
雄太が浮気した過去があるから。
少しずつ結婚に向けて外堀を固めていく雄太が重く感じるから。
若い時は過ちを犯しがちだから。
まだ本当の愛を知らないから。
ポリアモリーなのか。雄太の世界で物足りなかったから。窒息しそうだったから。
遊びと本気の境界とは?
複数愛でありながら、夫婦の絆がしっかりある人がいる。絆とは何なんだ。絆をつくりあげる過程こそがユニーク化の絶対条件なのだろうか。
愛という言葉に踊らされている。
『愛おしいと思えるかどうか』
柏木の言葉がふと浮かんだ。自分のどこが良かったのだろう。いくら愛の言葉をささやかれても、素直に受け取れなかった。
恐らく言葉通りの自分は、自分でないと感じているからなのだろう。女神なんかじゃない!!
ただの人を女神に見せてしまう恋愛マジックとは、愛とはいったい何なのだ。
自分に向き合うことも大事だが、相手にも誠実に向き合わねばならない。
どこまで話し、何を話さなくていいのか。引かれるのはヤダ。罵倒されるのも憎まれるのも哀しい。
いい女と思われたくて体裁を取り繕うとする自分にも呆れる。ダブスタだ。
これを乗り越えたら、雄太との絆が深まる?
強固な絆ができるまで、いったい何回踏み絵を踏めばいいのだろう。
10
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる