半グレ銀行マンの復讐と野望

愛国文恵

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大いなる復讐

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翌日、立夫は二人を支店長室に呼んだ。
 
机の上には、すでに新しいファイルが置かれている。

 分厚い、茶色のファイルだった。

 表紙には黒いマジックで大きく書かれている。

 【播磨興産】

 二人は自然に背筋を伸ばした。

 立夫はファイルの上に手を置き、ゆっくり言った。

「今度は、このクソ会社や」

 声は低いが、感情はない。

「建売の大手や。 たたき上げの社長でな、羽振りはええ」

 指でファイルを軽く叩く。

「こういう会社はな、叩けばホコリはいくらでも出てくる」

 明美と純子は黙って聞いている。

「特に――」   立夫は目を上げた。

「土地買収を巡る話に注意して調べてこい」

 純子が小さく頷く。

「はい」

「銀行の信用調査とは別や」  立夫は続けた。

「表に出てこん部分を探るんや」

 明美が静かに言う。

「裏ですね」

「そうや」

 立夫は短く答えた。

「なんでもええ。社長の評判、幹部の関係、下請けの声、 過去の揉め事、土地の履歴――」

 一瞬だけ笑う。

「アラを探ってこい」

 二人の目が、少しだけ鋭くなる。

「今回も二人一緒やぞ」

「はい」

 そして立夫は、少しだけ声を緩めた。

「色や媚びはええ」

 二人は顔を上げる。

「けどな――」

 短い間。

「エロはしたらあかん」

 一瞬の沈黙のあと、純子が吹き出した。

「分かってます」

 明美も笑う。

「そこまで落ちません」

 立夫は軽く頷いた。

「それでええ」

 そして椅子にもたれた。

「これは調査やない。“次の一手”の準備や 
会社の大きさは この播磨地域ではトップクラスや 本気でつぶすつもりや 気張ってやってくれ」

 その言葉で、空気が変わった。

 二人はファイルを手に取り、立ち上がる。

「行ってきます」

「頼んだぞ」

 ドアが閉まると、支店長室は静かになった。

 立夫は窓の外を見ながら、小さく呟いた。

播磨興産・・

立夫が融資係やってた時 クソ生意気な社長に 罵倒された 
「あんた なにも知らんな それでそこに よく座ってられるな・・」

あのときの蔑んだ目つきは記憶に刻まれている
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