偽りの姿 ===騎士は月光の下で乙女を求める

夢のままで

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10 ダレンの試練   

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食事の用意ができた事を確認したダレンは自分の分を簡単に済ませイーフィの食事を部屋に運んだ。


イーフィはまだ良く寝ていたが軽く食べて寝たほうが力が付くのではないかと思い声を掛けてみる事にした。


起きなければ寝かせておこうと思いながら声を掛ける。


「イーフィ、昼食が出来たぞ。イーフィ、昼食だ。」


声を掛けた後、様子を伺っているとイーフィの目が寝ぼけ眼ながらも開いた。


「イーフィ、昼食があるが食べられるか?」


もう一度尋ねれば、イーフィはボーとしながらもダレンに目を合わせてきた。
ダレンと目を合わせたままイーフィのボヤけた視線がダレンのものとしっかりと合わさって来る。


「ダレン・・・・」


「なんだ?」


名を呼ばれるままに答えるとイーフィはニッコリと微笑んだ。ダレンに向けたイーフィの微笑みは幼い妹が頼りになる兄を信頼して慕っている様なものだ。


ダレンの心臓がドキンと強く打った。それを自覚しながらも それがなんなのか、まるで幼い妹を可愛いと思う兄心の様にしかとらえられないダレンだった。


「イーフィ、お腹は空いていないか?」


イーフィにもう一度確認すれば「お腹空いた」と言うイーフィの身体をお越し背にクッションを当ててやる。


「ダレン、ありがとう」


とイーフィに微笑まれれば胸が暖かくなるダレンだった。


まだ少しボーッとしているイーフィが心配で甲斐甲斐しくご飯を食べさせたり、少しかいた汗をお湯で絞った布で顔や首をぬぐってやる。


イーフィの熱はまた少し上がっているようだった。


「イーフィ、まだ熱がある。ゆっくり休むんだ。夕飯時に声をかけるな。」


そう言うとダレンは食器を持って食堂に戻った。
自分は簡単に済ませたので軽く軽食をとることにした。
サンドイッチとこの辺の者が好む紅茶のような風味のお茶だ。


ダレンは食べながら知らずイーフィの事を思い介していた。先程のイーフィを思い出すと胸が高鳴って顔が何故かにやける。
まるで、可愛い子猫を見た時のようだ。ダレンはどの生き物も好きだが特に猫好きだった。


もうイーフィの事は妹の様に愛おしい。自分は仕事もあり遠くに出かけることもあるから王都に着いたなら安心出来る環境を俺が整えてやらなければと固く誓うのであった。


そんな事を思うダレンは一人っ子だ。
きっと、妹がいたならこんな気持ちなんだろうなどと顔を崩しながら考えていた。


夕飯の時間が近づくと店の女将に頼んでイーフィの身体を拭いてもらった。


丁寧に扱って欲しかったので駄賃を奮発して渡したら喜んだ女将はイーフィに精が出る夕飯を出してくれた。


イーフィを医者に見せたいが隣街まで行かないと居ないらしい。かといって今 動くのは逆効果だ。このまま体調が回復するならこの宿て養生することにしよう。
良くならなければ俺が隣街の医者を連れてくれば良い。と、今後の方針を決めた。


ダレンは夕食を持って部屋に戻るとイーフィに声を掛けた。ちょうどイーフィも目を覚ましていたので夕食もダレンが食べさせてやる。


スプーンを近づけるとまるで雛鳥のように口を開けてスプーンを口に含むイーフィが可愛くてしょうがない。


イーフィは夕食を食べるとうとうととしだし身体を寝かせると直ぐに寝息をたてた。


ダレンもイーフィのベッドがある壁と反対の壁に寄せてあるベッドに寝転ぶと身体を伸ばしてくつろぎ目を閉じた。


ふと何かの声で意識が目覚めた。目をつぶったまま耳を澄ます「さ、むい・・・さむい・・・・」とイーフィの声がする。


ダレンはハッとして起き上がりイーフィの側に駆け寄った。見るとイーフィは身体を小さく丸めてブルブル震えている。額に手を当てると熱かった。(また、熱があがっているな。)


「さむい・・・さ、むいの・・・」


イーフィの小さな声が呟いた。ダレンはその声を聞いたら寒がっているイーフィを温めずにはいられなくなった。


以前のダレンなら女将に頼んで湯タンポなり追加の毛布なりを頼んでいる所だが この時のダレンは自分でイーフィを温める事しか考えられなかった。


さっとイーフィの隣に横になりイーフィの背中から包みこんだ。


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