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24. 小話 失敗 (メリー神官視点)
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私の野望が~、失敗してしまった、残念。
こうなったら知らん顔して枢機卿から教皇を狙うしかない。聖女付きという事で成り上がりを試みてもいいかもしれない。
『切り裂くナイフ』には私の魔力を纏わせていたけど、魔力の違いはその属性しか他人にはわからないから私がナイフに魔力を纏わせていたというのはみつからないと思う。
それにしても、ひょっとして、ウンデの魔力と私の魔力が反発しあって威力が落ちたという事も考えられる。私が水の属性でウンデは火の属性だから打ち消し合った可能性もあるし。
影の話ではウンデがどうも魔力を『切り裂くナイフ』に纏わせようとしていたみたいだから、すんでのとこで魔力の事を思い出したという事か……。
まったく使えない。ウンデが余計な事をしなければ何とかなったかもしれないのに。
「あの女はやはり偽物でした。それに、何度も諫めたのにリリアージュ様の額に十字を入れようとしましたから困りました」
「そう。前世の事があるから念のために確認だけはしておかないといけない、と思って計画した事だけどウンデさんは私の記憶にある聖女とは違う人格を持っていたのね。彼女たちは見た目と中身が入れ替わってしまったのかもしれないわ」
「そのようですね」
「ともあれ、確認が取れた事は良かったわ。貴方達には大変迷惑をかけました」
「いいえ。お役に立てて何よりです」
「カンジーン様たちにバレると不味いですからどうぞ、しばらくは潜伏、いいえこの国からは離れたほうが良さそうですね。あの方はかなり有能ですから」
「そのようですね。では、またいずれ」
「ええ、有り難う」
リリアージュは聖女としての力を思いのほか使いこなしているみたいで、守りの力で自分自身を守ってしまった。
念には念を入れる為に私の野望は誰にもいう事なく、表向きにはウンデが自分こそ聖女と言い張るのを確認だけしておきたい、という事にしておいたから特に問題はないと思う。
私の前世の知識とゲームの事は私の信奉者には伝えている。この世界がゲームの世界と酷似しているから、ゲームで聖女に成っていた主人公であるウンデとリリアージュが入れ替わっているけど、ウンデが言うようにもしかしてリリアージュが魔女の可能性もあるかもしれないから、この世界の平穏の為に確認だけはしておきたい。
という私の話を信奉者たちは真剣に聞いてくれた。
『切り裂くナイフ』はなんとカンジーンが持っていた。何故それが分かったかというと、カンジーンの館に忍ばせておいた私の手駒の侍女が『切り裂くナイフ』を見つけたから。
「主様。カンジーン様が以前主様から見せていただいたナイフを手に持たれて、ジッと見ていらっしゃいました」
「カンジーン様はそのナイフを隠したりはされなかったのですか?」
「はい。見た目は装飾の綺麗な普通のナイフですから。私も主様からこのナイフ、と拝見する事がなかったらただのナイフだと思って見過ごしたかもしれません」
「カンジーン様はそのナイフをどこに仕舞われていましたか?」
「金庫の中です」
「そうですか」
『切り裂くナイフ』が何処にあるのかが分かったのは僥倖だった。これでカンジーンが留守の間を狙ってリリアージュを攫って、ウンデに試しをさせる事ができる。もちろん、その前に『切り裂くナイフ』には私の魔力を纏わせておくけど。
そして『切り裂くナイフ』は今、私の手元にある。最初にウンデがナイフを取り落とした時に偽物のナイフと取り換えてあるから、特に問題はない。今頃、ウンデは捕まってある事ない事話していると思うけど、リリアージュが誘拐される前から私は神殿関係の集まりにずっと出ていて夜も神殿関係者と共に宿泊しているから、アリバイもバッチリある。
ウンデに会いに行っている時もしっかりと変装して、声も聞かせてないから大丈夫だと思う。最初の時だけは姿を見せたけど、次からはフードを被っていたし髪の色も変えている。フードから覗く薄い金髪は長い髪だったから、記憶に残りやすいと思う。本当の私の髪は黒に近い茶髪だし。
リリアージュの誘拐は伏せられているので、騒ぎになる事もない。私は何も知らないし、無関係な善意の第三者である。
こうなったら知らん顔して枢機卿から教皇を狙うしかない。聖女付きという事で成り上がりを試みてもいいかもしれない。
『切り裂くナイフ』には私の魔力を纏わせていたけど、魔力の違いはその属性しか他人にはわからないから私がナイフに魔力を纏わせていたというのはみつからないと思う。
それにしても、ひょっとして、ウンデの魔力と私の魔力が反発しあって威力が落ちたという事も考えられる。私が水の属性でウンデは火の属性だから打ち消し合った可能性もあるし。
影の話ではウンデがどうも魔力を『切り裂くナイフ』に纏わせようとしていたみたいだから、すんでのとこで魔力の事を思い出したという事か……。
まったく使えない。ウンデが余計な事をしなければ何とかなったかもしれないのに。
「あの女はやはり偽物でした。それに、何度も諫めたのにリリアージュ様の額に十字を入れようとしましたから困りました」
「そう。前世の事があるから念のために確認だけはしておかないといけない、と思って計画した事だけどウンデさんは私の記憶にある聖女とは違う人格を持っていたのね。彼女たちは見た目と中身が入れ替わってしまったのかもしれないわ」
「そのようですね」
「ともあれ、確認が取れた事は良かったわ。貴方達には大変迷惑をかけました」
「いいえ。お役に立てて何よりです」
「カンジーン様たちにバレると不味いですからどうぞ、しばらくは潜伏、いいえこの国からは離れたほうが良さそうですね。あの方はかなり有能ですから」
「そのようですね。では、またいずれ」
「ええ、有り難う」
リリアージュは聖女としての力を思いのほか使いこなしているみたいで、守りの力で自分自身を守ってしまった。
念には念を入れる為に私の野望は誰にもいう事なく、表向きにはウンデが自分こそ聖女と言い張るのを確認だけしておきたい、という事にしておいたから特に問題はないと思う。
私の前世の知識とゲームの事は私の信奉者には伝えている。この世界がゲームの世界と酷似しているから、ゲームで聖女に成っていた主人公であるウンデとリリアージュが入れ替わっているけど、ウンデが言うようにもしかしてリリアージュが魔女の可能性もあるかもしれないから、この世界の平穏の為に確認だけはしておきたい。
という私の話を信奉者たちは真剣に聞いてくれた。
『切り裂くナイフ』はなんとカンジーンが持っていた。何故それが分かったかというと、カンジーンの館に忍ばせておいた私の手駒の侍女が『切り裂くナイフ』を見つけたから。
「主様。カンジーン様が以前主様から見せていただいたナイフを手に持たれて、ジッと見ていらっしゃいました」
「カンジーン様はそのナイフを隠したりはされなかったのですか?」
「はい。見た目は装飾の綺麗な普通のナイフですから。私も主様からこのナイフ、と拝見する事がなかったらただのナイフだと思って見過ごしたかもしれません」
「カンジーン様はそのナイフをどこに仕舞われていましたか?」
「金庫の中です」
「そうですか」
『切り裂くナイフ』が何処にあるのかが分かったのは僥倖だった。これでカンジーンが留守の間を狙ってリリアージュを攫って、ウンデに試しをさせる事ができる。もちろん、その前に『切り裂くナイフ』には私の魔力を纏わせておくけど。
そして『切り裂くナイフ』は今、私の手元にある。最初にウンデがナイフを取り落とした時に偽物のナイフと取り換えてあるから、特に問題はない。今頃、ウンデは捕まってある事ない事話していると思うけど、リリアージュが誘拐される前から私は神殿関係の集まりにずっと出ていて夜も神殿関係者と共に宿泊しているから、アリバイもバッチリある。
ウンデに会いに行っている時もしっかりと変装して、声も聞かせてないから大丈夫だと思う。最初の時だけは姿を見せたけど、次からはフードを被っていたし髪の色も変えている。フードから覗く薄い金髪は長い髪だったから、記憶に残りやすいと思う。本当の私の髪は黒に近い茶髪だし。
リリアージュの誘拐は伏せられているので、騒ぎになる事もない。私は何も知らないし、無関係な善意の第三者である。
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