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34. クリスマス
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2学期はあっという間に過ぎていった。
学生会の行事も滞りなく行われ知り合いもお友達も増えた。
学生会もラクアート様とピンクのフレグランス・タチワルーイさんの時折の襲来を除けば平和だった。あの二人は相変わらず仲良く引っ付いているので、そのおかげで私は不憫な婚約者として他の人から優しく扱われる。
同情の目でみられるのはちょっとイヤだけど、ラクアート様に何の感情も持ってないし、むしろバカっぽいこの人に付き合うのは疲れそうだから、このままでも構わないかなと思う。
ピンクさんからの情報収集は相変わらず無駄な知識だけが増えていく……。でも、このままピンクさんが魔王を復活させなければ何も問題はないはず、だよね。
明日はクリスマスだ。学生会の4年生はこのクリスマス会で引退である。
「ねぇ、お兄様。何だかアッという間にクリスマスになってしまったわ。何もできないままに」
「うん。でも魔王はダンジョンのボスらしいってわかったのは収穫だよ。魔王の封印が緩んでダンジョンが形成されるらしいから、魔王の封印後、90年後くらいからダンジョンの調査を始めて新たなダンジョンが現れていないか探して魔王の封印に向けて準備するそうだし」
「そうね。だから魔王の封印は割と簡単にできていたのよね。これまでは」
「そうだよな~。あのピンク頭が余計な事さえしなければ後、40年は平和でいられるし、魔王の封印もそれほど大変じゃないはずなんだよ」
「でも、ピンクさんが聖女にならなければゲームは始まらないから……大丈夫よ。きっと」
「そうだといいなぁ。それにしてもこのケーキ美味い」
「本当に」
私達はイチゴのショートケーキを食べていた。
ホットケーキミックスでスポンジケーキを焼いて生クリームを泡立て、イチゴを乗せたものだ。この世界にも生クリームはあったしイチゴもあった。
けれど、『液体』の加護で得られる牛乳がバターと生クリームに分離、じゃない進化したのでいつでも美味しいクリームが手に入るようになった。
としたらイチゴのクリスマスケーキを食べるしかない。
ちなみに生クリームとイチゴの入ったドラ焼きはアルファント殿下に大変喜ばれた。
まったりと紅茶を飲みながら、次はカフェオレとかウインナコーヒーもいいなと思う。
アルファント殿下は「ピンクが14歳になる前に冤罪をでっち上げて拘束してしまうか、何か適当な理由を付けて3年ほど修道院に幽閉しようか」と物騒な事を言いだしたけれど、まだ、何もしてないのに冤罪はダメだと思う。
それに、そうするとラクアート様が暇になって私にくっ付いてきそうだし。
そう、ラクアート様は決して私が嫌いではないのだ。私の事は便利に使える召使みたいに思っているみたいだし、とりあえず、側妃にして面倒くさい事は全部丸投げしたいと前に言っていたから。
全く、私は都合の良い女じゃない!
実は、夏休み明けからアルファント殿下と侍従のランディ様、殿下の騎士であるトーリスト・ガーター様とついでにお兄様は戦闘訓練を行うようになっていた。かなりマジで戦闘能力も上がってきている。
近場のダンジョンにも出かけて、魔獣との闘いも経験している。そして、そのダンジョン攻略、私も同行しています。仕方なく。
私、一応『水魔法の加護』を持っている事になっているので武器としては水鉄砲とか、霧でかく乱とか。
大きな水球で魔獣の顔を包むと直ぐ魔獣を仕留めてしまうので、「最終兵器はしばらく待機」と言われてしまった。お兄様が「やっぱり、チートだ」と小声で言っていたのでちょっとよろけて足を踏んでみた。
『水魔法の加護』ってダンジョン内での魔獣退治に向いていると思う。本当は『液体の加護』だけどね。
この世界は理の女神様、一神教である。だのに何故かクリスマスはある。この日は女神様とお世話になった方に感謝をささげる日という事になっている。
クリスマスが25日でその日は学生会が中心になってクリスマスパーティーが開かれる。一度に一つの会場に集まるのではなくて各学年ごとに会場が分かれているので、学生会のメンバーは手分けしてあちこちの采配に忙しい。
学生会は色々な行事の中心になっていて忙しかったけど、他の学年の人達とも交流を持てて楽しかった。
魔法学園にいる間は婚約者で、卒業式後の懇親会で婚約破棄とかしてくれないかな、って思う。乙女ゲームだとよく卒業式後のパーティで婚約破棄の宣告とかされるみたいだし、それをしてくれたら本当に嬉しいけど、私は残念ながら悪役令嬢じゃない。
悪役令嬢はフルール様らしいけど、悪役令嬢になるのはアルファント殿下のルートでピンクさんが魔法学園の4年生になってから。
ラクアート様のルートでも些細な嫌がらせはしてくるそうだけど……。
今のところ、フルール様は存在感がなくてこのままだと【悪役令嬢は空気】みたいな感じだし、アルファント殿下の婚約者の第一候補にはなっているみたいだけど、殿下の婚約者はまだ決まっていない。
因みに私とラクアート様の婚約お披露目は成人を迎えたら直ぐ、という事になっていたけど、ラクアート様が「学園にいる内にお披露目をしてしまうと学業の妨げになってしまう。リーナにはきちんと勉学に励んでほしいし、公爵家の事も学んでほしい。婚約者としてお披露目するのは卒業してからでいいんじゃないかと思うんだ」と強く主張してくれたので、お披露目は卒業後になった。
公爵家の人たちもラクアート様がピンクさんに入れあげているのは知っているので、私が卒業するまではラクアート様の行動も多めに見ようとしているのかもしれない。
ラクアート様は単にピンクさんを正妻にするための時間稼ぎをしたいだけと思うけど。
甘い、甘すぎる。
でも、助かった。
そういえば、ピンクさんの誕生日は12月の29日だけど……
何事も起こらないよね。多分。
学生会の行事も滞りなく行われ知り合いもお友達も増えた。
学生会もラクアート様とピンクのフレグランス・タチワルーイさんの時折の襲来を除けば平和だった。あの二人は相変わらず仲良く引っ付いているので、そのおかげで私は不憫な婚約者として他の人から優しく扱われる。
同情の目でみられるのはちょっとイヤだけど、ラクアート様に何の感情も持ってないし、むしろバカっぽいこの人に付き合うのは疲れそうだから、このままでも構わないかなと思う。
ピンクさんからの情報収集は相変わらず無駄な知識だけが増えていく……。でも、このままピンクさんが魔王を復活させなければ何も問題はないはず、だよね。
明日はクリスマスだ。学生会の4年生はこのクリスマス会で引退である。
「ねぇ、お兄様。何だかアッという間にクリスマスになってしまったわ。何もできないままに」
「うん。でも魔王はダンジョンのボスらしいってわかったのは収穫だよ。魔王の封印が緩んでダンジョンが形成されるらしいから、魔王の封印後、90年後くらいからダンジョンの調査を始めて新たなダンジョンが現れていないか探して魔王の封印に向けて準備するそうだし」
「そうね。だから魔王の封印は割と簡単にできていたのよね。これまでは」
「そうだよな~。あのピンク頭が余計な事さえしなければ後、40年は平和でいられるし、魔王の封印もそれほど大変じゃないはずなんだよ」
「でも、ピンクさんが聖女にならなければゲームは始まらないから……大丈夫よ。きっと」
「そうだといいなぁ。それにしてもこのケーキ美味い」
「本当に」
私達はイチゴのショートケーキを食べていた。
ホットケーキミックスでスポンジケーキを焼いて生クリームを泡立て、イチゴを乗せたものだ。この世界にも生クリームはあったしイチゴもあった。
けれど、『液体』の加護で得られる牛乳がバターと生クリームに分離、じゃない進化したのでいつでも美味しいクリームが手に入るようになった。
としたらイチゴのクリスマスケーキを食べるしかない。
ちなみに生クリームとイチゴの入ったドラ焼きはアルファント殿下に大変喜ばれた。
まったりと紅茶を飲みながら、次はカフェオレとかウインナコーヒーもいいなと思う。
アルファント殿下は「ピンクが14歳になる前に冤罪をでっち上げて拘束してしまうか、何か適当な理由を付けて3年ほど修道院に幽閉しようか」と物騒な事を言いだしたけれど、まだ、何もしてないのに冤罪はダメだと思う。
それに、そうするとラクアート様が暇になって私にくっ付いてきそうだし。
そう、ラクアート様は決して私が嫌いではないのだ。私の事は便利に使える召使みたいに思っているみたいだし、とりあえず、側妃にして面倒くさい事は全部丸投げしたいと前に言っていたから。
全く、私は都合の良い女じゃない!
実は、夏休み明けからアルファント殿下と侍従のランディ様、殿下の騎士であるトーリスト・ガーター様とついでにお兄様は戦闘訓練を行うようになっていた。かなりマジで戦闘能力も上がってきている。
近場のダンジョンにも出かけて、魔獣との闘いも経験している。そして、そのダンジョン攻略、私も同行しています。仕方なく。
私、一応『水魔法の加護』を持っている事になっているので武器としては水鉄砲とか、霧でかく乱とか。
大きな水球で魔獣の顔を包むと直ぐ魔獣を仕留めてしまうので、「最終兵器はしばらく待機」と言われてしまった。お兄様が「やっぱり、チートだ」と小声で言っていたのでちょっとよろけて足を踏んでみた。
『水魔法の加護』ってダンジョン内での魔獣退治に向いていると思う。本当は『液体の加護』だけどね。
この世界は理の女神様、一神教である。だのに何故かクリスマスはある。この日は女神様とお世話になった方に感謝をささげる日という事になっている。
クリスマスが25日でその日は学生会が中心になってクリスマスパーティーが開かれる。一度に一つの会場に集まるのではなくて各学年ごとに会場が分かれているので、学生会のメンバーは手分けしてあちこちの采配に忙しい。
学生会は色々な行事の中心になっていて忙しかったけど、他の学年の人達とも交流を持てて楽しかった。
魔法学園にいる間は婚約者で、卒業式後の懇親会で婚約破棄とかしてくれないかな、って思う。乙女ゲームだとよく卒業式後のパーティで婚約破棄の宣告とかされるみたいだし、それをしてくれたら本当に嬉しいけど、私は残念ながら悪役令嬢じゃない。
悪役令嬢はフルール様らしいけど、悪役令嬢になるのはアルファント殿下のルートでピンクさんが魔法学園の4年生になってから。
ラクアート様のルートでも些細な嫌がらせはしてくるそうだけど……。
今のところ、フルール様は存在感がなくてこのままだと【悪役令嬢は空気】みたいな感じだし、アルファント殿下の婚約者の第一候補にはなっているみたいだけど、殿下の婚約者はまだ決まっていない。
因みに私とラクアート様の婚約お披露目は成人を迎えたら直ぐ、という事になっていたけど、ラクアート様が「学園にいる内にお披露目をしてしまうと学業の妨げになってしまう。リーナにはきちんと勉学に励んでほしいし、公爵家の事も学んでほしい。婚約者としてお披露目するのは卒業してからでいいんじゃないかと思うんだ」と強く主張してくれたので、お披露目は卒業後になった。
公爵家の人たちもラクアート様がピンクさんに入れあげているのは知っているので、私が卒業するまではラクアート様の行動も多めに見ようとしているのかもしれない。
ラクアート様は単にピンクさんを正妻にするための時間稼ぎをしたいだけと思うけど。
甘い、甘すぎる。
でも、助かった。
そういえば、ピンクさんの誕生日は12月の29日だけど……
何事も起こらないよね。多分。
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