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小話1 初めてのバレンタイン(リーナ視点)
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「リーナ、何作ってんの?」
「もう、お兄様、内緒だからこっちに来ちゃだめよ」
「だって匂いでバレバレだよ」
「わかっていても知らないふりをするのが大人なのよ」
「こっちの世界じゃ成人だけど、あっちの世界じゃまだまだ子供」
「しょうがないわねぇ」
お兄様はウキウキした顔で厨房に入って来た。味見をする気満々で顔が緩んでいる。私が作っているのはハート形のチョコレート。そのハートにアイシングでまた小さなハートを飛ばしている。
「あれ、文字は書かないの?」
「文字?」
「アイラブユー」
「もう、お兄様のバカ! そんなの恥ずかしいじゃない」
「いや、俺のチョコはハートでなくて爆弾型でいいけど。沢山食べられるし。でも、殿下にあげるのは《アイラブユー》だろう。殿下、最近ソワソワして楽しみにしているみたいだ」
「お兄様、殿下にばらしたの?」
「いや、両想いになって初めてのバレンタインだからもらえるんじゃないかって、期待してるみたいだから」
「この国にバレンタインはないのよ」
「無いけど、「来週は2月14日か、後6日だな……」って呟いていたから」
「えっ、そうなの?」
「鼻歌歌っていたし。無意識に」
「まぁ、そうなのね。あっ、お兄様、これ上げる」
「えっ、ウソ」
お兄様は食いしんぼうのくせに、ちょっとショックな顔をした。ハートが見事に真ん中からギザギザに割れたチョコレートは失敗作なので溶かして再利用しようかと思ったけど、ちょうどいいからオヤツに半分ずつ食べる事にした。
「リーナ、これ、縁起が悪くない?」
「大丈夫よ。ただのチョコレートだから。さっき、爆弾型のチョコレートが食べたいって言っていたじゃない? これは爆弾でハートブレイクになったチョコよ」
「いや、そっちのほうが酷い」
結局、殿下への初めてのバレンタインチョコは裏側に小さくLOVE♡YOUと描いてみた。だって、恥ずかしかったから。
チョコを渡した時にアルファント殿下が凄く喜んでくれたから、絶対に人に見せないでくださいね、と念押ししてたのに……。
お兄様から
「裏にこっそりLOVE♡YOUと描いてあったんだ。恥ずかしがり屋なリーナらしいよね。愛されてるなぁ」
と殿下が喜んで吹聴していたと言うのを聞いて、口止めするのを忘れたことに気づいて凄く恥ずかしかった。だので、来年はしっかりと口止めする事にしよう、と心に誓った。
でも、アルファント殿下、大好き。
「もう、お兄様、内緒だからこっちに来ちゃだめよ」
「だって匂いでバレバレだよ」
「わかっていても知らないふりをするのが大人なのよ」
「こっちの世界じゃ成人だけど、あっちの世界じゃまだまだ子供」
「しょうがないわねぇ」
お兄様はウキウキした顔で厨房に入って来た。味見をする気満々で顔が緩んでいる。私が作っているのはハート形のチョコレート。そのハートにアイシングでまた小さなハートを飛ばしている。
「あれ、文字は書かないの?」
「文字?」
「アイラブユー」
「もう、お兄様のバカ! そんなの恥ずかしいじゃない」
「いや、俺のチョコはハートでなくて爆弾型でいいけど。沢山食べられるし。でも、殿下にあげるのは《アイラブユー》だろう。殿下、最近ソワソワして楽しみにしているみたいだ」
「お兄様、殿下にばらしたの?」
「いや、両想いになって初めてのバレンタインだからもらえるんじゃないかって、期待してるみたいだから」
「この国にバレンタインはないのよ」
「無いけど、「来週は2月14日か、後6日だな……」って呟いていたから」
「えっ、そうなの?」
「鼻歌歌っていたし。無意識に」
「まぁ、そうなのね。あっ、お兄様、これ上げる」
「えっ、ウソ」
お兄様は食いしんぼうのくせに、ちょっとショックな顔をした。ハートが見事に真ん中からギザギザに割れたチョコレートは失敗作なので溶かして再利用しようかと思ったけど、ちょうどいいからオヤツに半分ずつ食べる事にした。
「リーナ、これ、縁起が悪くない?」
「大丈夫よ。ただのチョコレートだから。さっき、爆弾型のチョコレートが食べたいって言っていたじゃない? これは爆弾でハートブレイクになったチョコよ」
「いや、そっちのほうが酷い」
結局、殿下への初めてのバレンタインチョコは裏側に小さくLOVE♡YOUと描いてみた。だって、恥ずかしかったから。
チョコを渡した時にアルファント殿下が凄く喜んでくれたから、絶対に人に見せないでくださいね、と念押ししてたのに……。
お兄様から
「裏にこっそりLOVE♡YOUと描いてあったんだ。恥ずかしがり屋なリーナらしいよね。愛されてるなぁ」
と殿下が喜んで吹聴していたと言うのを聞いて、口止めするのを忘れたことに気づいて凄く恥ずかしかった。だので、来年はしっかりと口止めする事にしよう、と心に誓った。
でも、アルファント殿下、大好き。
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