【完結】空の青と海の碧

榊咲

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《海の章》

ある漁村の話②

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 漁村の神殿では神託を授かり、神官が大慌てで役所に向かっていました。神官は役人が村人にムチを使っている事を薄々気がついていました。ただ、その現場に遭遇した事が無かった為に対処出来ませんでした。

「お役人様、たった今、神託を授かりました」
「おお、神官様。どんな神託でしょうかな?」
「それが……、【一週間後にムチを使い民を虐げた者達に神罰が落ちるだろう】と言うもので御座います」
「なんだと!」

 役人達は息をのみました。覚えのある者ばかりだからです。役人の中にはそ~とその場を離れようとする者が出ましたが、神官が「神罰は逃げても無駄ですよ。どこまでも追いかけて来ますから逃げられません」と言うとヘナヘナとその場に座り込んでしまう者が続出しました。

 民を虐げた役人達は神託が授けられてからの一週間、生きた心地がしませんでした。日頃から神官に『神が見ておられますよ。民を虐げてはいけません』と言われていたのに、無視をしてムチを使って無理矢理必要以上の税を取り立てていたのです。逃げられないと悟った役人達は息を潜めて一週間を過ごしました。

 そして約束の日がやってきました。
 早朝、神殿に神の代理人の男女が現れました。神官が恭しく問いかけました。

「神の代理人様。本日は神託により伺っております神罰の件でお出で頂いたのでしょうか?」
「そうだ。神罰の執行者だ」

 神官に尋ねられ梓が答えました。そして青がつーと右手を上げると役人達が神殿に集まってきました。

「か、身体が動かない。如何してだ」

 役人達は身体の自由を奪われていました。そして梓が神罰の内容を神官と役人達に伝えました。

「さて、今日は約束の日。今から処罰を行う。まず、滝行を行う。その後、ムチ打ちだ」

 それを聞いた役人達は(神罰もたいした事ないな)と思いました。しかし神官はそのままで受け取ってはいけないと思い、役人達に注意を促しました。そうです、神罰がこの様な内容である筈が無いのです。神官はそれが判っているからこそ、注意を促したのですが役人達は伝わりませんでした。

「では、滝行から始める。姉さん、用意はいい」
「ええ、準備はできてるわ」

 青がまた右手を上げると水が役人達に降りかかりました。およそ一刻程、降りかかっていました。神官も神罰が滞りなく行われる様に祈りを捧げています。滝行が終わりを告げると雷鳴が轟いてきました。
 神官と役人達にが驚いた顔で処罰の執行者を見ています。次のムチ打ちを行う事を梓が告げます。

「では、ムチ打ちを行う。姉さん、よろしくね」

 青は右手にムチを持ち、左手を上げて雷鳴を傍に引き寄せ、イカヅチをムチに纏わせました。

 そして梓が役人達の動きを抑え、青の方に尻を向かせました。

「では、ムチ打ちを始めますわ。一回だけですから我慢してくださいね」

 青が始まりの言葉を役人達に言い、弱い雷を纏わせたムチを役人達の尻に打ちました。役人達は『ギャー』と叫び、雷からの電流が身体を支配してピクピクして気を失っていました。

 民を虐げていた役人達は命はありますが精神的に疲労感が出て仕舞い、今まで通りに税の取り立てが出来なくなっていました。この神罰の為にムチを見るだけで神罰を思い出してしまうのです。

 この神罰を思い出す行為こそが神が民を虐げさせない為の配慮でした。神罰で人を殺しては信仰の妨げになって仕舞います。正しい行いをすれば良い事も神は授けるのです。この役人達は神官の注意を無視した為に神が処罰したのです。この漁村では神官が言う神の言葉を信じて暮らしていくでしょう。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 青と梓は漁村での処罰を終えました。神罰が落ちる事は村人達にも神官が伝えていました。神罰の執行者の二人に村人達は感謝しました。
 青達は達成感を感じながら海の神殿に帰ってきました。碧に遂行した事を報告する為です。

「碧、ただいま。処罰は無事終わったわ」
「おかえりなさい、青、梓。処罰は無事終わったのね。よかったわ」
「碧様、あの処罰では軽いのではありませんか?」
「そんな事は無いわよ、梓。これからはムチを見ただけでこの処罰を思い出すでしょうね。この思い出すと言う行為が大事なのよ」
「そうなんですね。わかりました」
「さあ、あちらでティータイムとしましょう。珍しいお菓子もあるわよ。ほらいきましょう、青、梓」
「そうね。ちょうど飲み物が欲しかったの、梓いきましょう」
「はいはい」

 海の神殿はいつもの静けさを取り戻しました。しかし、神殿の力と神官の言葉が民達に正確に伝わらなくなってきている様です。ほかの地域でも同じ様な事が起こっている可能性がある事がわかりました。
 神の代理人の筆頭として、地域をくまなく調査する必要が出てきたと碧は思いました。
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