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白衣の天使編
泊まっていっても良い? 3
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(桜井さんとはこの前まで気まずくなってたし、無事元に戻るまで忘れてたけど……)
雛子はじっとりとした視線を恭平に送る。
(前に真理亜さんのところから朝帰りしてたのは何だったの……? やっぱり付き合ってるのかな?)
付き合っているとしたら、誰もが認める美男美女カップルであるのは間違いない。お似合いの二人のはずだ。
それでも、雛子からすると何となく面白くない。面白くない理由はうまく説明がつかない。
「……」
「……何?」
雛子の視線に気付いた恭平が、そのただならぬ気配に首を傾げる。
「……真理亜さんとは、付き合ってるんです?」
単刀直入な雛子の言葉に、恭平は「はぁ?」と疑問符を頭に浮かべた。
「んなわけないじゃん。見りゃ分かるだろ」
ないない、とまるで小バエでも追い払うかのような仕草の恭平に、雛子が軽蔑した目を向ける。
だいたい、見りゃ分かるというのなら、朝帰りしているのに付き合っていない方がおかしい。
「はぁ~へぇ~、そうですかぁ。不潔です桜井さん~。女なら誰でも良いんですねぇ」
突然管を巻く雛子に、夏帆と悠貴が驚いて雛子の手にあったお冷を取り上げる。
「ってアンタこれ、私の水割りじゃない! 今日はノンアルだけって言ってたでしょ!」
「まぁロリと親より年上の熟女以外はいけるからあながち間違いでもない」
「恭平さんも何言ってるんすか……って、めっちゃ目据わってるし」
既に梯子酒の恭平も、実は相当酔いが回っていたようだ。酔っ払いの二人は額を合わせる勢いで睨み合う。
「なんだその反抗的な目は。飢えてんの? ご無沙汰なの?」
「はぁっ? 桜井さんと一緒にしないでくらさい! 私はまだ未経験ですぅ~」
「ちょ、雛子止めなさい、公衆の面前で」
社会的に死ぬわよ、と窘めるも、酔っ払いの耳に届くはずもない。
「駄目だこれ……。市ヶ谷、とりあえず二人を連れて帰るぞ」
今年の雛子はさしずめ酒の受難とでも言うべきか。
さっさと会計を済ませると、悠貴は恭平を、夏帆は雛子を介抱しながら足早に帰路につく。
二人はまだギャーギャーと何か言い合っているが、己の足で歩いてくれることが救いだ。
「なぁ恭平さんの部屋ってどこだ?」
「さぁ、アンタ同じ階じゃなかった?」
何とか寮のエレベーターに乗り込みながらそんな会話をするも、夜に大声を出す二人をいち早く閉じ込めたい二人の見解は一致した。
「もう纏めて雛子の部屋にぶち込んどきましょ」
「おう。そうだな」
恭平の部屋を調べるよりその方が早い。夏帆は慣れた手つきで雛子のバッグから部屋の鍵を取り出すと、酔っ払いを中に押し込み手早くドアを閉めた。
雛子はじっとりとした視線を恭平に送る。
(前に真理亜さんのところから朝帰りしてたのは何だったの……? やっぱり付き合ってるのかな?)
付き合っているとしたら、誰もが認める美男美女カップルであるのは間違いない。お似合いの二人のはずだ。
それでも、雛子からすると何となく面白くない。面白くない理由はうまく説明がつかない。
「……」
「……何?」
雛子の視線に気付いた恭平が、そのただならぬ気配に首を傾げる。
「……真理亜さんとは、付き合ってるんです?」
単刀直入な雛子の言葉に、恭平は「はぁ?」と疑問符を頭に浮かべた。
「んなわけないじゃん。見りゃ分かるだろ」
ないない、とまるで小バエでも追い払うかのような仕草の恭平に、雛子が軽蔑した目を向ける。
だいたい、見りゃ分かるというのなら、朝帰りしているのに付き合っていない方がおかしい。
「はぁ~へぇ~、そうですかぁ。不潔です桜井さん~。女なら誰でも良いんですねぇ」
突然管を巻く雛子に、夏帆と悠貴が驚いて雛子の手にあったお冷を取り上げる。
「ってアンタこれ、私の水割りじゃない! 今日はノンアルだけって言ってたでしょ!」
「まぁロリと親より年上の熟女以外はいけるからあながち間違いでもない」
「恭平さんも何言ってるんすか……って、めっちゃ目据わってるし」
既に梯子酒の恭平も、実は相当酔いが回っていたようだ。酔っ払いの二人は額を合わせる勢いで睨み合う。
「なんだその反抗的な目は。飢えてんの? ご無沙汰なの?」
「はぁっ? 桜井さんと一緒にしないでくらさい! 私はまだ未経験ですぅ~」
「ちょ、雛子止めなさい、公衆の面前で」
社会的に死ぬわよ、と窘めるも、酔っ払いの耳に届くはずもない。
「駄目だこれ……。市ヶ谷、とりあえず二人を連れて帰るぞ」
今年の雛子はさしずめ酒の受難とでも言うべきか。
さっさと会計を済ませると、悠貴は恭平を、夏帆は雛子を介抱しながら足早に帰路につく。
二人はまだギャーギャーと何か言い合っているが、己の足で歩いてくれることが救いだ。
「なぁ恭平さんの部屋ってどこだ?」
「さぁ、アンタ同じ階じゃなかった?」
何とか寮のエレベーターに乗り込みながらそんな会話をするも、夜に大声を出す二人をいち早く閉じ込めたい二人の見解は一致した。
「もう纏めて雛子の部屋にぶち込んどきましょ」
「おう。そうだな」
恭平の部屋を調べるよりその方が早い。夏帆は慣れた手つきで雛子のバッグから部屋の鍵を取り出すと、酔っ払いを中に押し込み手早くドアを閉めた。
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