あなたを瞳にうつす

色無 音恋

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「ん?」


「だから、ダブルデートすることになったの!!」


「何故!?」


「え?何故って言われても…。」


 智は気まずそうに視線を逸らす。
 だが、私には分かるから!!顔がとても笑っている、という事をね!!


「で、あと1人は誰?」


 ついついジト目で親友を見てしまうも、心を落ち着かせ問いかける。
 来る人が知らない人だと嫌だな、なんて考えながら。



「えっとね……ナオトくんだよ。」


「え?誰?」


「ナオトくんだよ。歩都里と同じクラスの直登くん。」



 一瞬だけ時が止まる。
 それが“驚き”からなのは分かっていた。



「どうし「え、歩都里さん?」」





 視線を前に向けると、真っ直ぐな黒髪が見えた。
 サラサラしてそうで、艶のある髪…そして何よりも凛としている瞳が特徴的である人。

 その瞳にうつるのは驚いた顔をした私だった。



「えっと、直登くん…。その、おはよう!」


「あぁ、おはよう。」


 急な事で頭の中はパニック状態。
 なにか会話をしようとするも、言葉は何も浮かんでこなかった。

 連さんはゆっくりとどちらへと近く。
 智はニマニマと私と直登くんをながら交互に見る。


「今日は、どうして…。」


 視線を下にずらし、呟く。



「あー、誘われたんだよ。連に。」


「2人は知り合いなの?」


「知り合いと言うか、悪友と言うか…。」


 いつもの、学校で良く聞くような声とは違った。
 静かな雰囲気で冷静に言葉を紡ぎ、感情等を感じさせないトーンをしているはずの直登くん。

 でも、今日は少し硬く聞こえた。
 ぎこちないような…。



「俺、直登とは悪友という関係だったんだー。」


「うるさい。」


「キャー、言葉の暴力ー。」


「棒読みで話すな。」


 直登くんは鋭い目つきで連さんを見る。
 なんだか、私にはそれがかっこよく映った。


「連、直登くんを揶揄うのはやめて。」


「ごめんって。さぁ、今日はどこに行こうか?」


「歩都里は行きたいところとかある?」


 突然に話題をふられる。
 私の行きたいところ…。



「映画館、かな?」


「いいじゃん!連~、行こうよ~。」


「はいはい。直登もいいだろ?」


「あぁ。」


 私たちは歩いてバス停まで向かった。
 智と連さんが並んで歩いているため、自然と直登くんの隣になる。


「よく遊ぶの?」


「連と、か?」


「うん。」


「まぁな。でも、今日はどうしても行きたかったから。だから、アイツの誘いにのったんだ。」


「え?」


 凛とした瞳が私の目を捕らえた。
 ただただじっと、私を見つめていた。


「あらあら~?」


「直登くんってば、歩都里ちゃんを見つめちゃってぇ~。」


「あっという間に仲良くなってるし、意外と肉食?」


「肉食だったの?直登くんは肉食だった!!」


 これまた息ぴったりの2人。
 さすがカップル。
 …カップル、関係あるのかな?


「智さんはともかく、お前はうるさい。」


「キャー、反抗期よー。直登くんが反抗期ー。」


「直登くんって呼ぶな。お前が“くん”とか言ってるのは気持ちが悪い。」


「…親友が辛辣。」


 シクシクと連さんは智の隣に戻っていった。
 そして智は泣く振りをしている連さんの頭を優しく撫でている。


 なんの芝居だ、これは。


「あ、バスが来てる。」


 わたしは少し離れたバス停を指さした。


「やば!急げ!!」


 4人で流れ込むようにバスに乗車し、後ろ側の方へと動く。
 ここでも、何故だか私の隣に直登くんがやって来た。
 そして無言で腰を下ろす。


 少し…ドキドキするのは_____きっと、走ったからだよね?
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