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5 __直登side__
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クラスでよく見かける彼女は、よく笑っていたと思う。
友人達と一緒に何かを話しながら、楽しそうに毎日を過ごしている。
「歩都里~、これご馳走さま!とっても美味しかったよ~!!」
「ホント?あんまり自信がなかったんだけど。」
「何いってんの?これはお店を出せるレベルで美味しいしからね?自覚して?」
「そう?」
「そうだよ!」
彼女___歩都里さんはいつもいつも、女子たちに囲まれていた。
「おい、何見てんだー?」
隣の席に腰を下ろした友人が不思議そうにこちらを見る。
「いや、特に何も無い。」
「えー?そんなことなさそーなんだけど。」
「…うるさいぞ。」
「うわぁ…直登が怒るのって珍しー。」
何を言っても聞かないのだろう。
俺はなにかと喋りかけてくる友人たちを無視して、こっそりと彼女をながら盗み見た。
……正直、とても可愛いと思う。
でも、そんな事を言うのは柄じゃない。
何より俺が異性を気にしていると他のやつに知られたらとても面倒だ。
「つーか、歩都里ちゃんってまじ可愛いよね~?」
「お菓子作れて、女子たちに好かれてて~人が良いし。」
「俺さ、1回だけクッキー食べさせてもらったことあるんだけど…。」
「は!?あの歩都里ちゃんに!?」
「バカ!ちげーよ!…クッキーを貰った子から1枚だけってお願いしたんだよ。そん時に食べたの。分かった?」
「へいへーい。」
黙ってじっと友人たちの会話を聞く。
…少し羨ましいと思ったのは、内緒だ。
「でね~…ちょーーーーーーー………美味かったんだよ。売り物みてーに。」
「うわ!羨ましい~!!マジずりぃと思うわ~。」
俺だって食べてみたい。
そう考えると、1枚でもクッキーを食べた事のある友人が恨めかしいと感じた。
いつも笑顔で時には静かに微笑み…表に立つようなことをせず誰かの後ろにいる姿は俺には好ましく映った。
泣いている友人の傍にいてあげる優しさに惹かれた。
気分の悪い友人を背負い、廊下を駆け抜けた姿に興味を持った。
普通はそこまでしないだろう。
良くて「保健室に一緒に行こうか?」や本当にダメそうなら「先生を呼んでくる!」とお手本のような行動をするだろう。
彼女は、そんな事をしなかった。
自分が動けるのなら自分でいち早く保健室へと運ぶ、という意志の強さを持っていた。
「歩都里、重かったでしょ?…ごめんね。」
「何言ってるの?重くなかったし、体調が悪かったなら頼っていいの。“ごめん”っていう言葉より“ありがとう”って言われるのが嬉しいな。」
「…ありがとう!!」
心の底からこんなに綺麗な人は居るのだろうか?と思った。
そんなカッコイイ事を平気でするから、彼女のファンはどんどん増えてゆく。
彼女は知らないだろう。
校内では有名人で、年下の後輩達からは尊敬の眼差しを向けられ、同級生や先輩からはとても可愛がられている_____という事なんて。
「歩都里さんって、いい人だよな…。」
ポツリ…。
上の空で言った事だった。
「だよな!!」
「なんだなんだ?直登もついに!!歩都里ちゃんの良さが分かったかー?」
すぐ騒ぎ立てる友人に蹴りをかます。
「いってぇーーー!!!」
足を抑えながら悶絶する友人へと「ざまぁ。」なんて言う言葉を贈る。
「くそー!!覚えていやがれ~!!」
まるで三下の悪役のようなセリフに笑いが出てきた。
今日も彼女は笑顔だった。
友人達と一緒に何かを話しながら、楽しそうに毎日を過ごしている。
「歩都里~、これご馳走さま!とっても美味しかったよ~!!」
「ホント?あんまり自信がなかったんだけど。」
「何いってんの?これはお店を出せるレベルで美味しいしからね?自覚して?」
「そう?」
「そうだよ!」
彼女___歩都里さんはいつもいつも、女子たちに囲まれていた。
「おい、何見てんだー?」
隣の席に腰を下ろした友人が不思議そうにこちらを見る。
「いや、特に何も無い。」
「えー?そんなことなさそーなんだけど。」
「…うるさいぞ。」
「うわぁ…直登が怒るのって珍しー。」
何を言っても聞かないのだろう。
俺はなにかと喋りかけてくる友人たちを無視して、こっそりと彼女をながら盗み見た。
……正直、とても可愛いと思う。
でも、そんな事を言うのは柄じゃない。
何より俺が異性を気にしていると他のやつに知られたらとても面倒だ。
「つーか、歩都里ちゃんってまじ可愛いよね~?」
「お菓子作れて、女子たちに好かれてて~人が良いし。」
「俺さ、1回だけクッキー食べさせてもらったことあるんだけど…。」
「は!?あの歩都里ちゃんに!?」
「バカ!ちげーよ!…クッキーを貰った子から1枚だけってお願いしたんだよ。そん時に食べたの。分かった?」
「へいへーい。」
黙ってじっと友人たちの会話を聞く。
…少し羨ましいと思ったのは、内緒だ。
「でね~…ちょーーーーーーー………美味かったんだよ。売り物みてーに。」
「うわ!羨ましい~!!マジずりぃと思うわ~。」
俺だって食べてみたい。
そう考えると、1枚でもクッキーを食べた事のある友人が恨めかしいと感じた。
いつも笑顔で時には静かに微笑み…表に立つようなことをせず誰かの後ろにいる姿は俺には好ましく映った。
泣いている友人の傍にいてあげる優しさに惹かれた。
気分の悪い友人を背負い、廊下を駆け抜けた姿に興味を持った。
普通はそこまでしないだろう。
良くて「保健室に一緒に行こうか?」や本当にダメそうなら「先生を呼んでくる!」とお手本のような行動をするだろう。
彼女は、そんな事をしなかった。
自分が動けるのなら自分でいち早く保健室へと運ぶ、という意志の強さを持っていた。
「歩都里、重かったでしょ?…ごめんね。」
「何言ってるの?重くなかったし、体調が悪かったなら頼っていいの。“ごめん”っていう言葉より“ありがとう”って言われるのが嬉しいな。」
「…ありがとう!!」
心の底からこんなに綺麗な人は居るのだろうか?と思った。
そんなカッコイイ事を平気でするから、彼女のファンはどんどん増えてゆく。
彼女は知らないだろう。
校内では有名人で、年下の後輩達からは尊敬の眼差しを向けられ、同級生や先輩からはとても可愛がられている_____という事なんて。
「歩都里さんって、いい人だよな…。」
ポツリ…。
上の空で言った事だった。
「だよな!!」
「なんだなんだ?直登もついに!!歩都里ちゃんの良さが分かったかー?」
すぐ騒ぎ立てる友人に蹴りをかます。
「いってぇーーー!!!」
足を抑えながら悶絶する友人へと「ざまぁ。」なんて言う言葉を贈る。
「くそー!!覚えていやがれ~!!」
まるで三下の悪役のようなセリフに笑いが出てきた。
今日も彼女は笑顔だった。
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