誰か私を愛してください

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「うっ………」

思い切り蹴られた腹を抱えて床に倒れ込むと、アイリーンはそのまま蹲った。
苦しそうに顔を歪め、ハァハァと浅い呼吸を繰り返している。

アイリーンを蹴り飛ばした超本人である彼女の兄、グレイブはそんな彼女の側までやって来ると伸ばしっぱなしでパサついた彼女の髪を根元から鷲掴んで顔を自分の方へと無理やり向けた。

無理に持ち上げられた彼女の表情は相変わらず苦しそうではあるが、その瞳は虚ろで何も映さない。涙ひとつ零さずされるがままの彼女の姿が癪に触ったのだろう、グレイブは空いている方の手でアイリーンの頬を思いっきり平手打ちした。

バシンッ!!!

という大きな音とともに、打たれた彼女の頬は真っ赤に染まる。

「ハッ…こんだけいたぶっても泣かない、声も出さないなんて気持ち悪い。
あぁ…お前は、声が出ないんだったな」

嘲笑うと、先程とは反対の方をバシンッと打った。それでも彼女の瞳は何も映さない。涙を流すこともなければ声も発さない。

「…もういいや。今日はこれで許してやるけど食餌は抜きだからな。精々痛みと空腹で苦しむがいいさ」

そんな捨て台詞セリフを残して、彼は出て行った。

バタンと扉の閉まる音がして、カツンカツンと廊下を人が歩いている音も聞こえなくなった頃、やっとアイリーンは体を起こした。

壁に手をついてゆっくり立ち上がると、フラフラとベッドまで行きボロボロの体を横たえた。
固くて寝心地の悪い粗末な物ではあるが、床で寝るよりはずっとましだ。
食事として出されるものなどさすがに腐っていることはないが残り物どころの話では無い。そのくらいには酷かった。生きるためには何か食べなくてはならない、それは彼女にもわかっている。けれど生まれてから現在までほぼ全ての日々を監禁とも呼べる閉鎖された空間で送り、使用人以下、下手をすれば家畜以下の生活を強いられてきた彼女は最早生きることに疲れきっていた。

____________________________

2019.6.8
一部の誤字脱字、修正しております。





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