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幻夢境街戦略バトル
専用メニューを作るタイプのJK
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「辛く、無いもの……?」
シュクレちゃんは詠唱を自分で作れると言うリアル知性チートによって魔法職なのに魔法スキルを取得する必要が無い。
あらゆるリソースをMPと魔法攻撃力に注ぎ込んだ彼女のビルドは広域戦闘においてMAP兵器並みの超パワーを発揮する反面、近接戦闘に放り込めばレベル1の初心者プレイヤーにもボロ負けする。
何なら既に過剰火力すぎて魔法攻撃力も必要無さそうな次元なのに、辛い物以外を求める理由が何1つ思いつかない。
アニー混乱!
「アニーちゃんがまるで宇宙猫みたいな表情をしている……」
「ううっやっぱりダメでしょうか……」
宇宙はどこから生まれたのだろうか。
人間の生きる意味とは……。
「よしわかったアニー、状況設定だ」
「はにゃん?」
混乱のあまり哲学的な領域に片足を突っ込んでいると、ヨイニがパンッと手を叩いて気を取り直した。
「じゃかじゃんっ。今からお料理コンテストです。審査員はシュクレ、ただし、シュクレの種族は日本人とします」
カチリ。
脳のスイッチが切り替わる。
「……」
「できそうか?」
無言でシュクレを見つめる私にヨイニが話しかけてくる。
「うん、ちょっと待ってね」
そう言って、私は2階の調理室へと向かった。
「お待たせー」
皆の元へ戻ると、トレイに乗せた料理をシュクレちゃんの前へ提供する。
目の前の料理を見て、彼女は首を傾げた。
「これは……何ですか?」
「辣子鶏定食!」
辣子鶏とは、鶏肉と唐辛子が主役の四川料理だ。ふんだんに散りばめられた唐辛子とネギが鮮やかな赤と緑の色彩。それらの中に黒胡椒と共にパラパラと散らばった花椒が、唐辛子の辛さにアクセントを加えている。
そして、それらのスパイスの海に浮かぶ様に見えるのが、香ばしく炒められた鶏肉の塊だ。
「ひぅっ……」
眼前に広がる真っ赤な唐辛子の山にシュクレちゃんが箸を持ったまま小さな悲鳴をあげる。
「あっ唐辛子は食べなくて良いよ。中の唐揚げとネギを食べれば良いの。ライスはお変わり自由、ドリンクは特製ヨーグルトドリンクね」
「はっはい……」
シュクレちゃんが震える箸で唐揚げとネギを掴んで口へ運ぶ。
鶏肉は彼女の口のサイズに合わせて平均より更に小さくカットして、外側はパリッとあげて、中はジューシーに仕上げている。
「ンッ!!」
すぐにライスを口に運び、最後にヨーグルトドリンク。そこで箸が止まるかと思ったけど、そのまま更に皿へと伸びる。
「……ハムッ」
再び鶏肉とネギ。
同じ順序を繰り返す。
「……ひっく」
やがてシュクレちゃんの瞳には大物の涙がたまり、溢れかえる。
「うっうわぁぁぁぁああああんんん!!!」
「おっおい! シュクレ! 大丈夫か? 辛すぎたのか?」
シマーズさんが心配そうにシュクレちゃんへ近寄る。
だけど彼女は顔を大きく左右に振った。
「ちっちがっ。美味しっ美味しいぃぃぃぃいいいよぉぉぉぉおおおお!!!!!」
シュクレは大泣きしながら一心不乱に料理を口に運ぶ。
「アニー、説明してくれるか?」
そんなシュクレの様子に困惑しつつ、シマーズさんが私に問いかける。
「良いよ? でも何処から説明すればいーい?」
「なんていうかもう色々と理解が追いついてないんだが……」
「じゃあまずは前提の確認、シュクレは"辛く無い物が食べたい"って言ったよね。これはなんで?」
「そりゃ……まだ子供だし、今のMP回復料理は激辛で辛いから……あっ!」
私の質問に答えながら、シマーズさんが何かに気付いたようだ。
「そう、ここはゲームの世界。食事を取らなくてもデメリットは無いから"辛い物を食べたく無い"だけなら食べなければ良い。じゃあ何でシュクレちゃんは食事がしたいのか? それはシュクレちゃんが本当に欲しているのは"MP回復効果がある辛く無い料理"だからだよね」
「でも、それでどうして辣子鶏なんだ? 本来は激辛料理だろ?」
シマーズさん言う通り、私の作った辣子鶏は何なら灼熱フランクフルトより辛い。
「今の所、料理にMP回復効果を持たせるなら絶対に辛味がは必要。でも実は抜け道があって、料理に含まれる辛味の量さえ確保すれば香辛料を全て食べなくてもMP回復効果としては加算されるみたいなんだよね」
「そうか! 辣子鶏は唐辛子を食べなくても良い料理。元々辛い料理だけど、辛味とMP回復効果の比率で言えば抑えられるってことか!」
私の説明にシマーズさんが納得した様に頷く。
「それに唐辛子の辛味はカプサイシンっていう成分なんだけど、コレは油に溶ける性質があるじゃん?」
「あっ! それで鶏肉が唐揚げになっているのか!」
「そのとーり。あと飲み物のヨーグルトジュースは乳製品に含まれるタンパク質のカゼインが唐辛子のカプサイシンと結合する性質があるから舌がヒリヒリする感覚を抑えてくれるし、一緒に入れてるレモンの酸が辛味の抜けを早くする効果がある」
「ううっ……ひっく」
シマーズさんと話していると、シュクレが定食を食べ切る。
「わっ私、このゲームが大好きで……でも、辛い物がどうしてもダメで、もう、もうっやめようかなって……ひっく」
「これなら食べられるし、MP回復効果も十分だし持続時間も結構あるでしょ?」
「ううっ……はいっ。アニーさん、ありがとうございます!!」
シュクレちゃんは詠唱を自分で作れると言うリアル知性チートによって魔法職なのに魔法スキルを取得する必要が無い。
あらゆるリソースをMPと魔法攻撃力に注ぎ込んだ彼女のビルドは広域戦闘においてMAP兵器並みの超パワーを発揮する反面、近接戦闘に放り込めばレベル1の初心者プレイヤーにもボロ負けする。
何なら既に過剰火力すぎて魔法攻撃力も必要無さそうな次元なのに、辛い物以外を求める理由が何1つ思いつかない。
アニー混乱!
「アニーちゃんがまるで宇宙猫みたいな表情をしている……」
「ううっやっぱりダメでしょうか……」
宇宙はどこから生まれたのだろうか。
人間の生きる意味とは……。
「よしわかったアニー、状況設定だ」
「はにゃん?」
混乱のあまり哲学的な領域に片足を突っ込んでいると、ヨイニがパンッと手を叩いて気を取り直した。
「じゃかじゃんっ。今からお料理コンテストです。審査員はシュクレ、ただし、シュクレの種族は日本人とします」
カチリ。
脳のスイッチが切り替わる。
「……」
「できそうか?」
無言でシュクレを見つめる私にヨイニが話しかけてくる。
「うん、ちょっと待ってね」
そう言って、私は2階の調理室へと向かった。
「お待たせー」
皆の元へ戻ると、トレイに乗せた料理をシュクレちゃんの前へ提供する。
目の前の料理を見て、彼女は首を傾げた。
「これは……何ですか?」
「辣子鶏定食!」
辣子鶏とは、鶏肉と唐辛子が主役の四川料理だ。ふんだんに散りばめられた唐辛子とネギが鮮やかな赤と緑の色彩。それらの中に黒胡椒と共にパラパラと散らばった花椒が、唐辛子の辛さにアクセントを加えている。
そして、それらのスパイスの海に浮かぶ様に見えるのが、香ばしく炒められた鶏肉の塊だ。
「ひぅっ……」
眼前に広がる真っ赤な唐辛子の山にシュクレちゃんが箸を持ったまま小さな悲鳴をあげる。
「あっ唐辛子は食べなくて良いよ。中の唐揚げとネギを食べれば良いの。ライスはお変わり自由、ドリンクは特製ヨーグルトドリンクね」
「はっはい……」
シュクレちゃんが震える箸で唐揚げとネギを掴んで口へ運ぶ。
鶏肉は彼女の口のサイズに合わせて平均より更に小さくカットして、外側はパリッとあげて、中はジューシーに仕上げている。
「ンッ!!」
すぐにライスを口に運び、最後にヨーグルトドリンク。そこで箸が止まるかと思ったけど、そのまま更に皿へと伸びる。
「……ハムッ」
再び鶏肉とネギ。
同じ順序を繰り返す。
「……ひっく」
やがてシュクレちゃんの瞳には大物の涙がたまり、溢れかえる。
「うっうわぁぁぁぁああああんんん!!!」
「おっおい! シュクレ! 大丈夫か? 辛すぎたのか?」
シマーズさんが心配そうにシュクレちゃんへ近寄る。
だけど彼女は顔を大きく左右に振った。
「ちっちがっ。美味しっ美味しいぃぃぃぃいいいよぉぉぉぉおおおお!!!!!」
シュクレは大泣きしながら一心不乱に料理を口に運ぶ。
「アニー、説明してくれるか?」
そんなシュクレの様子に困惑しつつ、シマーズさんが私に問いかける。
「良いよ? でも何処から説明すればいーい?」
「なんていうかもう色々と理解が追いついてないんだが……」
「じゃあまずは前提の確認、シュクレは"辛く無い物が食べたい"って言ったよね。これはなんで?」
「そりゃ……まだ子供だし、今のMP回復料理は激辛で辛いから……あっ!」
私の質問に答えながら、シマーズさんが何かに気付いたようだ。
「そう、ここはゲームの世界。食事を取らなくてもデメリットは無いから"辛い物を食べたく無い"だけなら食べなければ良い。じゃあ何でシュクレちゃんは食事がしたいのか? それはシュクレちゃんが本当に欲しているのは"MP回復効果がある辛く無い料理"だからだよね」
「でも、それでどうして辣子鶏なんだ? 本来は激辛料理だろ?」
シマーズさん言う通り、私の作った辣子鶏は何なら灼熱フランクフルトより辛い。
「今の所、料理にMP回復効果を持たせるなら絶対に辛味がは必要。でも実は抜け道があって、料理に含まれる辛味の量さえ確保すれば香辛料を全て食べなくてもMP回復効果としては加算されるみたいなんだよね」
「そうか! 辣子鶏は唐辛子を食べなくても良い料理。元々辛い料理だけど、辛味とMP回復効果の比率で言えば抑えられるってことか!」
私の説明にシマーズさんが納得した様に頷く。
「それに唐辛子の辛味はカプサイシンっていう成分なんだけど、コレは油に溶ける性質があるじゃん?」
「あっ! それで鶏肉が唐揚げになっているのか!」
「そのとーり。あと飲み物のヨーグルトジュースは乳製品に含まれるタンパク質のカゼインが唐辛子のカプサイシンと結合する性質があるから舌がヒリヒリする感覚を抑えてくれるし、一緒に入れてるレモンの酸が辛味の抜けを早くする効果がある」
「ううっ……ひっく」
シマーズさんと話していると、シュクレが定食を食べ切る。
「わっ私、このゲームが大好きで……でも、辛い物がどうしてもダメで、もう、もうっやめようかなって……ひっく」
「これなら食べられるし、MP回復効果も十分だし持続時間も結構あるでしょ?」
「ううっ……はいっ。アニーさん、ありがとうございます!!」
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