【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ

文字の大きさ
81 / 149
剛輪禍工業革命-1:機関車チェイス

無慈悲なタイプのJK

しおりを挟む
「う、撃て……」

「おそーい!」

 プレイヤーの1人がライフルを構えて引き金を引こうとする。私は一歩で彼の眼前まで移動して、銃口を掴んで上へ向けた。

「やっぱり、近接戦闘を想定したスキルはあまり取って無いみたいだね?」

「や、やめ……!」

「キヒヒッ……パイルバンカー!」

 私はもう片方の手でプレイヤーの頭を掴み、スキルを発動する。魔力で構成されたパイルが手の平から打ち出され、彼の頭部を粉砕した。

「ひぃ!」

「おらぁあ!」

 怯えた様子で私から逃れようとプレイヤーが走り出す。それを私と一緒に乗り込んできたメメントモリのメンバーが背後から斬りつける。

 無抵抗の相手でも容赦なく攻撃するその姿勢、流石は私のクランメンバーだ。道徳とか騎士道精神とか何処に置いて来ちゃったんだろうね。私はお母様のお腹の中に置いて来ちゃったんだろうけど。

「さっきはよくも一方的に攻撃してくれたね、今度は私たちの番だよ!」

「ヒャッハー!」

「逃げる奴は蛆虫だ! 向かってくる奴はよく訓練された蛆虫だ!」

「うわぁぁぁあああ!!」

 立ち向かうプレイヤー、逃げ惑うプレイヤー。区別なく、次々とメメントモリのメンバーが蹂躙じゅうりんしていく。ぶっちゃけ飛び降りに成功したのは半数ぐらいで、数的有利は相手にあるんだけど個々の力量差がそれを覆していた。

「そこまでだ!」

 バァン! 銃声が響き、肩に衝撃が走る。体力ゲージがチロリと削れたのを確認して、射線の方へ視線を向けた。

「ふーん」

 ニヤリ、と思わず上がってしまう口角を何とか抑えつつ、眼前に映し出されたプレイヤーを観察する。

 身長は160cm前後で、シャープな体に軍服を彷彿とさせる黒色の装束を身につけていた。彼女の左手には拳銃が握られいて、私の方へ向けられている。それとは対照的に、右手には日本刀の様な刃物が携えられていた。

「拳銃も作ってたんだ?」

 私の質問に、拳銃を構えた女性が答える。

「まだ試作段階だけどね」

 周囲のプレイヤーとは次元の違う相手だと、あらゆる感覚が伝えてくる。蒸気機関車の振動と駆け抜ける風が彼女の足元と髪をなびかせるものの、彼女の姿勢は全く崩れることがなかった。

「キャハ!」

 バァン! 再び、彼女の拳銃が火をく。引き金が弾かれるより一瞬早く、私は移動を開始する。弾頭が顔の真横を通り抜ける風圧を感じながら、彼女の元へと突撃する。

「そこ!」

 私が移動した先に、待ち構える様に振るわれた日本刀がキラリときらめく。私はそこへ捩じ切る様に右腕を突き出した。

「なんっ……!」

 久々の登場、風間流裏秘技其乃六かざまりゅううらひぎそのろく……白刃流し。インパクトの瞬間に拳の回転ベクトルによって刃の腹を弾き、切先を逸らしつつ拳を繰り出す攻防一体のカウンター攻撃だ。

「これが、暴君……!」

 私の右腕は彼女の顎を掴み上げる。

「パイルバンカー!」

 発声によってスキルが発動し、魔力によって構成された釘が拳銃と日本刀を携えたプレイヤーの頭部を破壊する。系が切れた人形の様に彼女の全身から力が抜けて両腕がダラリと垂れ下がった。

 それを列車の外へ投げ捨てる。

「さて、と……」

 周囲を見渡すと、私に付いて来た悪逆非道のクランメンバー達が一方的なPKを繰り広げていた。

*「帰りたい人は一緒に帰るぞー! この場で好き放題したい人はそのまま残ってよーし!」*

 私がクランチャットで呼びかけると、各々が返事を返して来た。残りたい人、帰れると思って来ていない人、私の内心を察している人、様々だ。

*「俺はここに残るぞー!」*

*「えっこれ帰れるの!?」*

*「どう考えてもお前以外は帰れる訳ないだろ馬鹿!」*
 
*「面白そうだし俺は一緒に帰るぞー!」*

 帰る前に、この機関車を完全に壊しておこう。私は屋上から降りて動力炉がある車両へと入る。

 やっぱり、配置や構造は同じみたいだね。

「「セット・リボルビングパイル」」

 発声をキーにスキルが発動して、トリガーの付いたトンファーの様な形状をしたパイルバンカー釘打ちきが生成される。射出機構しゃしゅつきこうの後方にはリボルバー式拳銃のシリンダー回転弾倉の様なパーツが付いていた。

 トリガーを引く事でシリンダー内部に生成されたパイルが射出され、一々スキルの発声をしなくても釘打ち攻撃ができる。

「フル・バースト!」

 次の始動キーによってパイルバンカーが変形する。後方にあったシリンダーが前方へ競り上がり、固定された。"フル・バースト"は合計12本のパイルを同時に発射するモードだ。

 腕を突き出すと同時に両腕のトリガーを引く。12本のパイルが動力炉へ深々と突き刺さり、その構造に決定的な破滅をもたらす。

*「ゴングマンさん! 車両の切り離し初めてー!」*

 一瞬、体が前に押し出される様な感覚を覚える。機関車の速度が一気に低下するのを感じながら、クランメンバーの中で数少ない"ちゃんとお願いを遂行してくれる確証がある人"に声をかける。

*「おう、任せろ!」*

 チャット欄から返事と共に、ゴングマンさんを彷彿とさせる様な筋肉隆々スキンヘットの男性がサムズアップしているスタンプが送られて来たのを確認して、私は再び屋上に戻った。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

処理中です...