【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ

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電脳暴君はまだまだ夢の中

対峙

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 ティラノフライトの大鉈が最後の天井をぶち抜く。粉砕された天井の隙間から、淡い光が降り注いだ。私は機体を上昇させ、瓦礫を吹き飛ばしながら最上階へと降り立つ。

 そこには、かつての荘厳な教会の面影がそのまま残っていた。高く伸びるアーチ状の天井。半透明な輝きを放つ女神像が、最奥で穏やかにたたずんでいる。

 そして……。

「そこまでだ、暴君」

 眼前には、ティラノフライトと同サイズの3機の大型武装が待ち構えていた。ティラノフライトの残りMPを確認する。

 ゲージはほぼ空だ。

「私が!」

 ティラノフライトのブースターがうなる。
 大きく振りかぶった右腕、大鉈を一気に振り下ろす。

 ギィィィンッッ!

 瞬間、鋭い衝撃音と共に分厚いシールドが光を弾き飛ばす。火花が散り、衝撃波が教会を歪ませる。

「言って止まる!」

 構わず、左腕の大鉈を横凪に振るう。ゴキャガシャ! 重厚な破裂音がこだまし、敵機の胴体が引き裂かれ、爆発。

「わけないじゃん!」

 すぐに反対側へブースターを噴かし、近くにいたもう1機へ襲いかかる。突き出されたランスが迫る――。

 紙一重で躱し、そのまま胸を蹴り上げる。

「蹴り程度で……!」

 蹴られた機体が何か言いながらバランスを崩し、宙へ浮く。

「レッグ・パイルバンカー!」

 ガシュ! ティラノフライトの足が、獲物を逃さない鷲の様に敵機をとらえる。そして、一瞬の静寂。

 ドンッッ!

 足裏に隠していた必殺のパイルバンカーが音声認識と共に敵機の胴体へと突き刺さる。先端が装甲を貫通し、その内部で炸裂する。

「つぎ……!」

 ピーーーーッ!

 鋭い警告音が響いて、視界の端で赤いアラートが点滅する。ティラノフライトの動きがピタリと止まった。慣性によって前のめりになるのを、コクピットの拘束シートがそれを引き戻す。

「……ッ!」

 MPゲージを確認する。
 残りは、ゼロだ。

「くっそ、動け! 動けよ! ここで負けたら、意味ないんだよ!!」

 ブーストレバーを引く、システムコマンドを入力する。それでも機体は微動だにしない。

 世界が終わろうとしているこの状況で、私たちの配信をみてくれた多くの、世界中の人が、LAFの皆が道を切り開いてくれた。
 ここまで来るのに、どれだけの犠牲があった? どれだけの希望が託された? こんな所で、終わっていいはずがない!

「今度こそ、ここまでだ」

 ティラノフライトの前に、最後に残った敵機が堂々と立ちはだかる。先ほどの戦闘で傷ひとつ負っていない。

 そして、その機体から冷たく響く声が流れる。

「終わりだよ、暴君」

 犯行声明でも聞いた、あの声。
 静かで、何もかも見下した様な響き。

「何で、こんなことするの……!」

「"こんなこと"?」

 あざけるような声色だった。

「お前たちは、何を"こんなこと"だと思っている?」

 その言葉に、私は何を当然な事をと吠える。

「AIを暴走させて、世界中の人間を危険に晒す様な事をして!」

滑稽こっけいだな」

 敵機が一歩、前へと進み出る。
 重厚な金属音が空間にデベロップ引き、威圧感が広がる。

「暴走? 危険? お前がこのゲームでやっていた事と、一体何が違う?」

「それ、は……」

 脳内に、IAFでの日々がフラッシュバックする。

 盗賊団を皆殺しにした。視界移ったって理由だけで、罪のない商人を襲ったこともある。だって、IAFはただのゲームだったから。

「俺は、俺たちは……それが俺たちと同じ"人間"だって言っているんだ!」

 敵機から聞こえる声が、怒気を帯びて響き渡る。ティラノフライトの前まで歩み寄り、巨大なハンマーを振り上げる。

 動かなくなった機体の中で、私はそれを呆然と見上げながら、思考はさっきの言葉に囚われていた。

「だって、この世界はゲームで……」

 そう、それらの行いは全部、ゲームの中での話しだ。

 どれだけ強くなっても"暴君"なんて呼ばれても、所詮は遊びの中の話しだった。現実の私は、ただの女子高生で……。
 それが、呪いだった。だけど同時に……現実では許されない願望を抱く私にとって救いでもあった。

 "人の物は勝手に奪ってはいけません"とか"話し合いで解決しましょう"何て言うのは、語るまでも無い常識で。彼らの目に、AIが1人の人間として見えているなら。

「……」

 私には、彼らの主張を否定する合理的な理由が無い。
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