男女比1:10000の異世界に転生、『絶倫』スキルで世界を救う~金と女とダンジョン配信~

ハムうさ

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第2章

第9話 初めてのダンジョン

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 ダンジョンに入ると、そこは見渡す限りの草原とみ切った青空が広がっている場所だった。時折さわやかな風が頬をでる。洞窟どうくつの中だというのに、明らかに広さも景観けいかんもおかしいが、ダンジョンはそういうものらしい。

「天城さん! あそこに――」
「凜音くーん! 一角ウサギだよ!」
「がんばれがんばれ~!」
 了承した(守るとは言ってない)とはまさにこのこと。確かに邪魔はしてないし少しだけ離れてるけども。
 ということで、初めてのダンジョン挑戦は十数人のギャラリーに囲まれたものとなってしまった。

「ウサギさんも凜音くんもかぁいいねぇ~!」
「ウサギさんの角は精力剤になるんだって! ウサギさんも私も倒しちゃおー!」
「あ、あはは……」

 非常にやりにくい……。
 これは立派な邪魔ではないだろうか……?

「天城さん、いついかなる状況でも敵から目をらしてはいけません! 常在じょうざい戦場ですよ!」
「……その通りだ」
 そう考えると、周囲の雑音も訓練の一環として悪くないのかも知れないし、そうではないかも――いかんいかん、集中だ!

「では行きます! “こうべを垂れろ!”『ウィンドカッター!』」
 聖句を唱え、魔法名を叫ぶ。使用するのも固有スキルではなく基本的な魔法。

 一応第2覚醒についてはしばらく伏せておこうとフランと話していたので、第1の聖句だ。
 第2覚醒している人はかなり少ないらしいからね。

 聖句は、段階が上がるほど出力が増す。まるで水流を押し止める門を開くかのように。
 弱々第1覚醒の魔法の威力でもウサギは真っ二つになった。

「お見事――」
「んぎゃあああ! かっこいいよぉぉぉ!」
「やだ、濡れてきちゃった……♡」
「あああん! その魔法で私も切り裂いてーっ!」
 さすがにそんな趣味はないです……。

 周囲の声を聞き流し、仕留しとめたウサギを持ち上げる。
 血が垂れ、内臓は飛び出し……よく同じ目にあおうとしたね。

「今回ダンジョンで捕れた物は私の『収納袋』で預かりますよ。中の空間が見た目より大きくなっている袋でダンジョン探索にはかかせない魔道具です!」
「あ、ありがとうございます!」
 そう言ってウサギを新谷さんに渡す。便利な魔道具……いつか自分のが欲しい。

「ん、バッチリ」
「ん? 初代さん、それは何ですか?」
 初代さんを見ると、彼女の背後に謎の球体が浮かんでいた。どことなく、今日は持ってきていないけど、ペンギン型ドローンのランチョンに似ている。

「気にしないで。それよりも常在戦場だよ」
「あ、はい」
 気になるけども、あからさまに誤魔化ごまかされたので聞くに聞けない。きっと何かしらの魔道具なんだろうけど。

「天城さん、見てください。あの泉の近くには――」
「凜音くん! あそこには薬草になる植物がいっぱい生えてるんだよ!」
「見分け方を教えてあげる!」
「あ、ありがとうございます」

 見知らぬお姉さんに手を引かれて泉の方へと向かう。
 そこには色とりどりの植物や、それを目当てにしているであろう小さなモンスターたちが集まっていた。

「これはね、きれいなお花だけど軽い毒性があるからポイだよっ!」
「こっちの地味だけど匂いがきつい葉っぱが薬草で~、こっちの実がついてるのは――」

 そんな感じで色々教えてくれるお姉さんたち。
 最初っからこういう感じできてくれたら嬉しかったんですけど!



 ◆◇◆◇◆◇

 その後もウサギなどの弱いモンスターを倒したり、植物などの採取をしながら進み、気がつけば目の前に大きな扉がある部屋へとたどり着いた。

「天城さん、次はいよいよこのダンジョンの最奥、通称ボス部屋です」
「ボス部屋、ですか……」
「はい。これまで出てきたモンスターよりも1ランク上の強さをほこり、よりよい報酬となる宝を守っています」
「なるほど。それで、ここのボスはどんなやつなんですか?」
「それは――行ってからのお楽しみです!」
 そう言ってボス部屋の扉を勢いよく開け放つ新谷さん。

「ギギィ?」
「ギヤッギャッ!」
「グルル?」
 緑色の肌、人間の子ども程度の大きさ。ギョロッとした目によだれを垂らした大きな口。
 ゴブリンだ! 3匹もいる!

「先手必勝! “こうべを垂れろ!”『身体強化!』」
 身体能力を向上させる魔法を用い、手に持った剣でゴブリンに斬りかかる!
 正直魔法を打つよりもこっちの方が戦いやすい!

「いっけー凜音くーん!」
「気を付けて!」
 声援を受け、一層強く勢いを剣に乗せて1体のゴブリンの首筋を斬りつける。

「ギャッ!?」
「もう1匹!」
「ギィィッ!?」
 返す剣でもう1匹も同様に斬り伏せ、残る1匹は――!

「 “こうべを垂れろ!”ファイヤーボール!」
「ギヤァァァァ!?」
 みにくいい顔を更に醜く――顔面に火球をぶつけ、ひるんだところに剣を一閃いっせん
 
「ふぅ……討伐完了です!」
「すば――」
「すごいすごい! あっという間だったね!」
「私ボス部屋なんて言ったことないから緊張したぁ~……」
「かっこよかったよ!」
 どこか神妙な顔持ちだったギャラリーのみなさんも、緊張が解けたのか先程までの元気を取り戻した様子。

「……コホン、まだ終わってませんよ。ボスを倒すと部屋の中央に宝箱が出現します。これがダンジョン踏破報酬ですね」 
「……宝箱、ね」
 これが、宝箱。目的の宝箱……!
 我慢して箱に手を伸ばし、開けてみると――。

「……花?」
「それは……ふふ。残念、ただの花ですね」
 箱の中に入っていたのは、10本ほどの真っ赤な花の束だった。

「カーネーションかな? ちょうどいいや、母さんにあげよっと」
 初給料は家族への贈り物だと相場が決まっているし、きっと喜んでくれるだろう。
 えての母さん呼びは……周りへのパフォーマンス――ゲフンゲフン。

「――っ」
「……天使かな?」
「そんな男性実在する訳……あるの?」
よこしまな目で見てごめんなさい……」
 今までの下品――元気さが嘘のように、涙を流しだす女性たち。うん、いい感じの反応。ちょっと行き過ぎてる感あるけど。

 そして、これでダンジョン探索は終わり。この人たちともお別れだ。
 初めての探索も彼女らのおかげで楽しく過ごせた気がするし、ここまで付き合ってくれた彼女らにも何かお返しができればいいんだけど――そうだ!

「俺が道中で得た物は皆さんにおゆずりしたいと思います! 今日は訓練に付き合ってくれてありがとうございました! おかげさまで楽しかったです!」

 みんな、稼ぐためにダンジョンに来てるはずなのにずっと一緒にいて何の成果も得られてなかったからね。
 俺としてもスッキリするし、彼女らも困ることはないだろう。

「「「……」」」
 そう思っていたのだが、予想に反して静まり返っているギャラリーの皆さん。
 しかし耳をすますと何やら呟くような声が聞こえる。

「……イッた……」
「ぐすん……やっぱり……これは夢だったのね……」
「凜音くんだと思って一生大事にするぅ……」
「ハーレムに加わりたい犯したいはらみたい好き好き好き好き――」

 虚ろな目をした人、ガクガクと足が震えている人、泣いている人……。
 ……もしかしてやりすぎてしまったか……いや、まだギリセーフ……。 

「……さぁ、今日のダンジョン探索はここまでです。地上へと戻れるワープゲートが出現してますので……行きましょう」
 そうしよう……取り返しがつかなくなる前に。
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