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第2章
第8話 『アヘ顔ダブルピース』
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「『アヘ顔ダブルピース』、リーダーの新谷星奈と申します!」
こんなに堂々としたアヘ顔ダブルピース発言、聞いたことがない。
どういうことかと言うと……話は少し前に遡る。
◆◇◆◇◆◇
卒業式を終え、その足で俺はとある場所へと向かった。
そこは住んでいる場所から数駅離れた町の人気のない公園。
ここまで車を運転してくれた理事長が、周囲に人がいないことを確認してから少しだけスマホを弄り、こちらに振り向いた。
「先方はすぐに来てくれるようだ」
「ありがとうございます。今日とはいえ、もう卒業した俺のためにいろいろと手配してくれて」
これから会う人――俺の今後の活動をサポートしてくれる熟練探索者のチームを手配してくれたのは理事長だった。
やはり探索者になることは認められたが、監視役のようなものが必要らしい。
実際の探索でも現場でサポートしてもらえるのでありがたいっちゃありがたい。
「当たり前だ。男性が探索者になるなど……それに私の代で男性の死亡事故などあってはたまらない」
澄ました顔で、それ以上のことは何もないと言うように顔を逸らす。
それもそうか。卒業生が数日後に死亡……なんてことになったら責任を問われる可能性だってあるんだ。
「それでも、ありがとうございます」
「礼を言うくらいなら抱いて――」
「あ、あの方たちですかね?」
理事長が何かを言いかけていたが、こちらに小走りで駆けてくる3人の女性が目に入ったので思わず声を上げる。
特に真ん中の人は只者ではないオーラを放っている。
白い鎧を着込み、大きな盾を背負いながらも重そうにしている様子はなく、相当鍛えているのがわかる。
しかし、胸はなかった。
「こんにちは、天城凜音です! あなた方が俺をサポートしてくれる方々ですか?」
車から降り、こちらから声をかける。
「こ、これはご丁寧にありがとうございます! お初にお目にかかります! 私は――」
まるで太い芯のようにまっすぐな立ち姿、堂々とはっきりとした声。胸はないけど。
「私は探索者チーム『アヘ顔ダブルピース』、リーダーの新谷星奈と申します!」
「……」
こんなに堂々としたアヘ顔ダブルピース発言、聞いたことがない。
しかし、まるでその言葉に一切恥ずべきことがないとでも言うように堂々と――あ、顔がだんだん赤くなってきてるわ。ついでに体がプルプル震えてきてるし、涙目になってる。
「……私は初代雪。それとこっちは十六夜ミコ」
「リーダーの名誉のために言っておくと、パーティ名は前リーダーが付けて星奈さんはその意味を後から知ったんだって! だからさ、その……ね!」
「う、うん!」
後の2人も自己紹介と新谷さんのフォローをしてくれる。いいチームワークじゃないか!
というか思い出した。
めちゃくちゃな名前のチーム名で活動してる人たちだ。動画をチラッと見たことあるけど……前リーダーさんもなかなか強烈だったのもあって1度っきりで見なくなったんだよね。
「彼女たちは……下品な名前ではあるけど、S級の探索者パーティで頼りになる方々だ。下品な名前だけれども」
「はは、つい先日なったばかりですよ。お恥ずかしい」
お恥ずかしいのはそのパーティ名のことかな?
というのは置いといて、S級とは探索者の功績や実力に応じて定められるランクとして最上位のもの。
そんな方々がサポートに回ってくれるといのだから、ありがたい。名前はひどいけど。
「では早速ですが……言葉で語るよりも、まずは実戦を見させて頂きましょうか」
お?
◆◇◆◇◆◇
車で移動すること十数分。目の前には街中にポツンと存在している洞窟。日常の中に明らかな異物感。
先日こっそり行ったダンジョンもだったけど、ダンジョンは洞窟を模しているのが多いらしい。
ちなみに、理事長はここに来る途中で用事があると言ってどこかに行ったので運転は初代雪さん。
「お降りください。ここは――」
「ねぇねぇ! アレってさ……」
「男の人……だよね?」
車を降りた後、新谷星奈さんがここについて説明してくれようとするが……あっという間に周囲に人集りができ、そちらの声の方が大きくなる。
「――っ、ここはっ! 駆け出し探索者でも安全なっ!」
「うっそ! 男性なんて、私初めて生で見たんだけど!」
「いやん、思ってたよりかわいい!」
「前見かけた男性よりも優しそう……」
一層声を張り上げる新谷さんだが、周囲の様子もそれにも増してさらにヒートアップしていく。
「初心者向けダンジョンですっ!!!」
「どうにかお近づきになれないかな……? 濃密な関係で♡」
「何だかお股がウズウズしてきちゃった♡」
「薄着だから気をつけないと……」
ひどい。
いや俺も隔離生活だったし、前世でも恋人はいなかったから異性に飢える気持ちはわかるけども。
「私我慢できないかもぉ♡ 襲っちゃってもいいかな? いいよね!」
「いいわけあるかぁぁっ!」
人集りの中から1人の女性が飛び出し、そしてあっという間にその女性を組み伏せる新谷さん。強い。
「……このように! 危険は常に側に在ります! 常在戦場の精神を忘れずに!」
「あ、うん」
まさか(一部の)女性の衝動がこんなにも激しいものだとは……予想以上だ。
呆気にとられて1歩も動けなかった。気をつけよう。
「今から我々はこのダンジョンに挑戦するが! 彼自身の挑戦したいという気持ちに免じてできれば離れていて欲しい!」
新谷さんが周囲に向かって大声で叫ぶ。
ダンジョンは公共の場だから占領するのは禁止されているけど、お願いくらいならできるだろう。
俺自身もお願いしておくべきだね。
「みなさん、よろしくお願いします!」
「「「はぁーい!」」」
その甲斐あってか、周囲の人たちも了承してくれたようだ。
こんなに堂々としたアヘ顔ダブルピース発言、聞いたことがない。
どういうことかと言うと……話は少し前に遡る。
◆◇◆◇◆◇
卒業式を終え、その足で俺はとある場所へと向かった。
そこは住んでいる場所から数駅離れた町の人気のない公園。
ここまで車を運転してくれた理事長が、周囲に人がいないことを確認してから少しだけスマホを弄り、こちらに振り向いた。
「先方はすぐに来てくれるようだ」
「ありがとうございます。今日とはいえ、もう卒業した俺のためにいろいろと手配してくれて」
これから会う人――俺の今後の活動をサポートしてくれる熟練探索者のチームを手配してくれたのは理事長だった。
やはり探索者になることは認められたが、監視役のようなものが必要らしい。
実際の探索でも現場でサポートしてもらえるのでありがたいっちゃありがたい。
「当たり前だ。男性が探索者になるなど……それに私の代で男性の死亡事故などあってはたまらない」
澄ました顔で、それ以上のことは何もないと言うように顔を逸らす。
それもそうか。卒業生が数日後に死亡……なんてことになったら責任を問われる可能性だってあるんだ。
「それでも、ありがとうございます」
「礼を言うくらいなら抱いて――」
「あ、あの方たちですかね?」
理事長が何かを言いかけていたが、こちらに小走りで駆けてくる3人の女性が目に入ったので思わず声を上げる。
特に真ん中の人は只者ではないオーラを放っている。
白い鎧を着込み、大きな盾を背負いながらも重そうにしている様子はなく、相当鍛えているのがわかる。
しかし、胸はなかった。
「こんにちは、天城凜音です! あなた方が俺をサポートしてくれる方々ですか?」
車から降り、こちらから声をかける。
「こ、これはご丁寧にありがとうございます! お初にお目にかかります! 私は――」
まるで太い芯のようにまっすぐな立ち姿、堂々とはっきりとした声。胸はないけど。
「私は探索者チーム『アヘ顔ダブルピース』、リーダーの新谷星奈と申します!」
「……」
こんなに堂々としたアヘ顔ダブルピース発言、聞いたことがない。
しかし、まるでその言葉に一切恥ずべきことがないとでも言うように堂々と――あ、顔がだんだん赤くなってきてるわ。ついでに体がプルプル震えてきてるし、涙目になってる。
「……私は初代雪。それとこっちは十六夜ミコ」
「リーダーの名誉のために言っておくと、パーティ名は前リーダーが付けて星奈さんはその意味を後から知ったんだって! だからさ、その……ね!」
「う、うん!」
後の2人も自己紹介と新谷さんのフォローをしてくれる。いいチームワークじゃないか!
というか思い出した。
めちゃくちゃな名前のチーム名で活動してる人たちだ。動画をチラッと見たことあるけど……前リーダーさんもなかなか強烈だったのもあって1度っきりで見なくなったんだよね。
「彼女たちは……下品な名前ではあるけど、S級の探索者パーティで頼りになる方々だ。下品な名前だけれども」
「はは、つい先日なったばかりですよ。お恥ずかしい」
お恥ずかしいのはそのパーティ名のことかな?
というのは置いといて、S級とは探索者の功績や実力に応じて定められるランクとして最上位のもの。
そんな方々がサポートに回ってくれるといのだから、ありがたい。名前はひどいけど。
「では早速ですが……言葉で語るよりも、まずは実戦を見させて頂きましょうか」
お?
◆◇◆◇◆◇
車で移動すること十数分。目の前には街中にポツンと存在している洞窟。日常の中に明らかな異物感。
先日こっそり行ったダンジョンもだったけど、ダンジョンは洞窟を模しているのが多いらしい。
ちなみに、理事長はここに来る途中で用事があると言ってどこかに行ったので運転は初代雪さん。
「お降りください。ここは――」
「ねぇねぇ! アレってさ……」
「男の人……だよね?」
車を降りた後、新谷星奈さんがここについて説明してくれようとするが……あっという間に周囲に人集りができ、そちらの声の方が大きくなる。
「――っ、ここはっ! 駆け出し探索者でも安全なっ!」
「うっそ! 男性なんて、私初めて生で見たんだけど!」
「いやん、思ってたよりかわいい!」
「前見かけた男性よりも優しそう……」
一層声を張り上げる新谷さんだが、周囲の様子もそれにも増してさらにヒートアップしていく。
「初心者向けダンジョンですっ!!!」
「どうにかお近づきになれないかな……? 濃密な関係で♡」
「何だかお股がウズウズしてきちゃった♡」
「薄着だから気をつけないと……」
ひどい。
いや俺も隔離生活だったし、前世でも恋人はいなかったから異性に飢える気持ちはわかるけども。
「私我慢できないかもぉ♡ 襲っちゃってもいいかな? いいよね!」
「いいわけあるかぁぁっ!」
人集りの中から1人の女性が飛び出し、そしてあっという間にその女性を組み伏せる新谷さん。強い。
「……このように! 危険は常に側に在ります! 常在戦場の精神を忘れずに!」
「あ、うん」
まさか(一部の)女性の衝動がこんなにも激しいものだとは……予想以上だ。
呆気にとられて1歩も動けなかった。気をつけよう。
「今から我々はこのダンジョンに挑戦するが! 彼自身の挑戦したいという気持ちに免じてできれば離れていて欲しい!」
新谷さんが周囲に向かって大声で叫ぶ。
ダンジョンは公共の場だから占領するのは禁止されているけど、お願いくらいならできるだろう。
俺自身もお願いしておくべきだね。
「みなさん、よろしくお願いします!」
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その甲斐あってか、周囲の人たちも了承してくれたようだ。
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