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第2章
第16話 ミスリルゴーレム・コア
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――間に合わない!
思考だけが加速し、最初に思ったのはそれだった。
速度はさほど早くはないが範囲が広すぎた。
となれば、全力で耐えるしかなかった。
「(魔力を体に! 『身体強化』も全力で! 急いでランチョンの収納――)」
その直後、体をかつてない衝撃が襲った。
「~~~~~~!!!」
体が軋み、筋線維は弾け、直接攻撃を受け止めた両腕から嫌な音が聞こえる。
「がぁぁぁぁぁっ!!! あああああああっ!!!」
「……!?」
それでもどうにか耐えきったことが、襲いかかった衝撃が軽くなったことから理解できた。
フラフラしながら周りを見渡す。視界が半分以上地面……周囲が数メートルほど陥没している。
「はぁはぁ……ラ、ランチョン……!」
「『凛音様!!!』」
なんとか収納が間に合っていたらしいランチョンが出現し、慌てた声を出す。
よかった……せっかくの贈り物が無事で。
「『お逃げください! 生身で勝てる相手ではありませんわ!』」
「逃げない!」
このチャンスをやすやすと見逃す俺ではない!
そしてゴーレムも隙だらけの俺らを見逃すほど優しくはないみたいだ。
大きな拳を頭上に上げ、振り下ろすのが視界に入る。
「来るぞ! 狙いを定められないように逃げ続ける! 捕まっていろ!」
「『凜音様! 逃げて! お願いですから!』」
痛む腕を庇いながら必死に駆ける。
ランチョンはしがみつきながら、いまだに弱音を吐く。
「うるさい! 必要なのは勝つための支援! そうでないならしまうぞ!」
「『うぅ~~~!』」
「恨むなら、俺のところに送られた不幸を恨むんだな!」
「『――っ! ぐすっ、恨みません! あなたと巡り会えたのは――わたくしの人生最大の幸福! 最高の歓び!!!』」
嬉しいことを言ってくれる。
「なら――」
「『弱点はコア! 通常のミスリルゴーレム同様各属性の魔法も使ってきますわ――ペン! 体もアイアンゴーレムよりは脆いはずですわペン!』」
「それでいい!」
そのまぬけで……かわいらしい語尾も忘れずに。
「……」
「くっ!」
そうこう言ってる間に、ゴーレムの2撃目が天から降ってきた。
当たりはしなかったが……周囲の木々が吹き飛ばされる程の風圧が、傷ついた体を容赦なく襲う。
「痛っ……!」
「『凜音様!』」
「大丈夫、このまま逃げ続けて――」
しかし、どうやって攻撃すればいい?
アイアンゴーレムよりは脆いと言うが、やつの弱点であるコアは巨大な体の中心近くにある。半透明のボディの中、怪しく光る半分に分かれたコア。。
「『ゴーレムの魔法攻撃が来ますわ――ペン!』」
「むっ」
3撃目の攻撃の後、当たらないことに痺れを切らしたか、ゴーレムに魔力が集まっているのを感知した。
大気を震わせるほどの、まるでスズメバチの羽音のような振動音が聞こえてくる。
「『属性魔法レベルは最大でも4ですわ! しかし規模が不明ですわ――ペン!』」
レベル4。いっぱしの探索者を目指すのであれば、その程度は欲しい――つまり、単発でそこそこの敵を倒すことができるレベル。
『魔力武装』中の俺にとっては恐らく効かない程度だが……規模がわからない。なにせ使用者がでかすぎる。
「来る!」
魔力の収集を終えたゴーレムが拳を殴りつける。
その振動が地面を震わせ、更にやつを中心にいくつもの地面の柱が隆起しながら広がっていく。
柱は10メートルはあろうかというほどの大きさ、それが瞬時に展開される様はまるで大地が爆発しているかのよう。
「だがそれは……悪手っ!」
広がっていくなら、内側に入り込めばいい。タイミングを見計らい大地の爆発より疾く動くだけだ。
更に、柱が影になることでゴーレムは俺を見失うのでは。
「……ッ」
「やはり。所詮モンスターということか」
キョロキョロと周囲を見渡すような動作を繰り返すゴーレムを柱の陰から眺める。
ダンジョンコアで作られた最終試練のモンスターといえど、その知能は動物並みらしい。
さて、こちらの攻撃はどうするか……。
「『凜音様、腕の方は治りましたかペン?』」
「……ん?」
逃げるのに必死で気が付かなかったが……いつの間にか痛みが治まっている……?
「折れた腕すら短時間で修復させるとは……やはり素晴らしいスキルですわね、『絶倫』は――ペン!」
「……そうか」
何で? 『絶倫』にそんな効果が!?
「『さぁ、剣をお持ちになって! そして奏でましょう、わたくしとあなたのシンフォニー!』」
「……?」
「『コホン。フランバスターに魔力を込め、ゴーレムのコアめがけて投げつけるのですわ――ペン!』」
「そんな! それじゃあ剣が!」
「『問題ありませんわ! またいくらでもお嬢様がご用意いたしますわペン!』」
「しかし……あれは初めてフランがくれた大切な物だから……」
「『はぅっ! ……バカバカバカぁーーーっ! そんなのより凜音様の命のほうが大切でしょ! お願いだから言う通りにしてぇーーー!!!』」
人格入れ替わりました?
しかしフランバスターはこの世で1つ……いや、俺はここまで何で戦ってきた? 空間収納の中には何が入っている? ミスリルゴーレムは、アイアンゴーレムより脆い……!
「……“頭を垂れよ”“汝ら導く”『魔力武装』『身体強化』……そして! アイアンゴーレムのボディ!」
握りこぶし大のゴーレムのかけらを手に持ち、魔力を纏わせる。
「『へっ!?』」
「魔力装填、目標――ゴーレムのコア! 投擲……開始!」
それは、一条の黒い光となって駆け昇り、ミスリルゴーレムの半透明なボディを貫きながら進む。
「……!?」
「『……ほえぇ~……』」
ゴーレムからしたら、人間が蚊に刺される程度の狭い範囲に過ぎない。
しかしその針は体を貫通させ、コアめがけて突き進む。
「……ダメか」
「『ミスリルの硬度と密度がアレで速度がアレで……ごペンなさい、あたしおバカになっちゃったみたいペン……』」
残念ながら第一投はコアに届かずゴーレムの体内の途中で止まってしまった。狙いもかなり逸れてしまっている。
「困ったな――」
「『凜音様……!』」
「弾が残り数百発しかない!」
「『凜音様!』」
こうなってしまえば、後はより魔力を込めて回数を重ねるだけ。
十数球目には、コアを貫かれたゴーレム・コアが地響きを起こしながら地面に倒れ伏していた。
思考だけが加速し、最初に思ったのはそれだった。
速度はさほど早くはないが範囲が広すぎた。
となれば、全力で耐えるしかなかった。
「(魔力を体に! 『身体強化』も全力で! 急いでランチョンの収納――)」
その直後、体をかつてない衝撃が襲った。
「~~~~~~!!!」
体が軋み、筋線維は弾け、直接攻撃を受け止めた両腕から嫌な音が聞こえる。
「がぁぁぁぁぁっ!!! あああああああっ!!!」
「……!?」
それでもどうにか耐えきったことが、襲いかかった衝撃が軽くなったことから理解できた。
フラフラしながら周りを見渡す。視界が半分以上地面……周囲が数メートルほど陥没している。
「はぁはぁ……ラ、ランチョン……!」
「『凛音様!!!』」
なんとか収納が間に合っていたらしいランチョンが出現し、慌てた声を出す。
よかった……せっかくの贈り物が無事で。
「『お逃げください! 生身で勝てる相手ではありませんわ!』」
「逃げない!」
このチャンスをやすやすと見逃す俺ではない!
そしてゴーレムも隙だらけの俺らを見逃すほど優しくはないみたいだ。
大きな拳を頭上に上げ、振り下ろすのが視界に入る。
「来るぞ! 狙いを定められないように逃げ続ける! 捕まっていろ!」
「『凜音様! 逃げて! お願いですから!』」
痛む腕を庇いながら必死に駆ける。
ランチョンはしがみつきながら、いまだに弱音を吐く。
「うるさい! 必要なのは勝つための支援! そうでないならしまうぞ!」
「『うぅ~~~!』」
「恨むなら、俺のところに送られた不幸を恨むんだな!」
「『――っ! ぐすっ、恨みません! あなたと巡り会えたのは――わたくしの人生最大の幸福! 最高の歓び!!!』」
嬉しいことを言ってくれる。
「なら――」
「『弱点はコア! 通常のミスリルゴーレム同様各属性の魔法も使ってきますわ――ペン! 体もアイアンゴーレムよりは脆いはずですわペン!』」
「それでいい!」
そのまぬけで……かわいらしい語尾も忘れずに。
「……」
「くっ!」
そうこう言ってる間に、ゴーレムの2撃目が天から降ってきた。
当たりはしなかったが……周囲の木々が吹き飛ばされる程の風圧が、傷ついた体を容赦なく襲う。
「痛っ……!」
「『凜音様!』」
「大丈夫、このまま逃げ続けて――」
しかし、どうやって攻撃すればいい?
アイアンゴーレムよりは脆いと言うが、やつの弱点であるコアは巨大な体の中心近くにある。半透明のボディの中、怪しく光る半分に分かれたコア。。
「『ゴーレムの魔法攻撃が来ますわ――ペン!』」
「むっ」
3撃目の攻撃の後、当たらないことに痺れを切らしたか、ゴーレムに魔力が集まっているのを感知した。
大気を震わせるほどの、まるでスズメバチの羽音のような振動音が聞こえてくる。
「『属性魔法レベルは最大でも4ですわ! しかし規模が不明ですわ――ペン!』」
レベル4。いっぱしの探索者を目指すのであれば、その程度は欲しい――つまり、単発でそこそこの敵を倒すことができるレベル。
『魔力武装』中の俺にとっては恐らく効かない程度だが……規模がわからない。なにせ使用者がでかすぎる。
「来る!」
魔力の収集を終えたゴーレムが拳を殴りつける。
その振動が地面を震わせ、更にやつを中心にいくつもの地面の柱が隆起しながら広がっていく。
柱は10メートルはあろうかというほどの大きさ、それが瞬時に展開される様はまるで大地が爆発しているかのよう。
「だがそれは……悪手っ!」
広がっていくなら、内側に入り込めばいい。タイミングを見計らい大地の爆発より疾く動くだけだ。
更に、柱が影になることでゴーレムは俺を見失うのでは。
「……ッ」
「やはり。所詮モンスターということか」
キョロキョロと周囲を見渡すような動作を繰り返すゴーレムを柱の陰から眺める。
ダンジョンコアで作られた最終試練のモンスターといえど、その知能は動物並みらしい。
さて、こちらの攻撃はどうするか……。
「『凜音様、腕の方は治りましたかペン?』」
「……ん?」
逃げるのに必死で気が付かなかったが……いつの間にか痛みが治まっている……?
「折れた腕すら短時間で修復させるとは……やはり素晴らしいスキルですわね、『絶倫』は――ペン!」
「……そうか」
何で? 『絶倫』にそんな効果が!?
「『さぁ、剣をお持ちになって! そして奏でましょう、わたくしとあなたのシンフォニー!』」
「……?」
「『コホン。フランバスターに魔力を込め、ゴーレムのコアめがけて投げつけるのですわ――ペン!』」
「そんな! それじゃあ剣が!」
「『問題ありませんわ! またいくらでもお嬢様がご用意いたしますわペン!』」
「しかし……あれは初めてフランがくれた大切な物だから……」
「『はぅっ! ……バカバカバカぁーーーっ! そんなのより凜音様の命のほうが大切でしょ! お願いだから言う通りにしてぇーーー!!!』」
人格入れ替わりました?
しかしフランバスターはこの世で1つ……いや、俺はここまで何で戦ってきた? 空間収納の中には何が入っている? ミスリルゴーレムは、アイアンゴーレムより脆い……!
「……“頭を垂れよ”“汝ら導く”『魔力武装』『身体強化』……そして! アイアンゴーレムのボディ!」
握りこぶし大のゴーレムのかけらを手に持ち、魔力を纏わせる。
「『へっ!?』」
「魔力装填、目標――ゴーレムのコア! 投擲……開始!」
それは、一条の黒い光となって駆け昇り、ミスリルゴーレムの半透明なボディを貫きながら進む。
「……!?」
「『……ほえぇ~……』」
ゴーレムからしたら、人間が蚊に刺される程度の狭い範囲に過ぎない。
しかしその針は体を貫通させ、コアめがけて突き進む。
「……ダメか」
「『ミスリルの硬度と密度がアレで速度がアレで……ごペンなさい、あたしおバカになっちゃったみたいペン……』」
残念ながら第一投はコアに届かずゴーレムの体内の途中で止まってしまった。狙いもかなり逸れてしまっている。
「困ったな――」
「『凜音様……!』」
「弾が残り数百発しかない!」
「『凜音様!』」
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