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第124話 病をおして
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遥か後方からは光弾が地面に着弾した際の爆音が次々に聞こえてくる。
マシンガンのように放たれ続ける弾を全神経を集中させながらかわしていく。触手の向きや角度から軌道が予測できるが、レヴィナントの光輪を操作してそれを避けるのはかなり難しい。数センチ、操作が狂うと直撃してしまう。 時間と共に神経が磨り減っていくようだった。
「くっ!」
頬を光弾がわずかにかすめた。鈍い痛みが少しずつ広がっていく。疲労と共に自分の動きの精度が下がっていくのが自分では分かる。熱による頭の痛みも時間が経つごとにその痛みが増してきていた。
(避けているだけではいずれやられる! 奴のエネルギーは無尽蔵だ!)
俺は光弾を避けながら真下に急降下した。すぐにギザノーシスは触手の向きを変え、俺を捕捉してくる。俺はそのまま、最高速で奴の真下をくぐると、逆側を通りながら急上昇していき、巨大なかさの真上で止まった。
触手がこちらを向き光弾を放とうとするがそれよりも早く俺はアグニを振り抜く。
アグニの切先から巨大な不死鳥が5体現れ、ギザノーシスの傘に滑空していく。
【塵芥】
炎属性の短刀であるアグニの奥義だ。
巨大な不死鳥たちが傘に直撃すると、激しい爆発と共に、巨大な炎が燃え広がり奴の身体を焼き尽くしていく。みるみるうちに傘は焼き尽くされ、消滅していった。傘と触手のつなぎ目のあたりで、ひし形をした水色の宝石のようなものがきらめいた。
「見えた!!」
まだ炎がわずかに残る中、俺は急いで核に向かって飛んでいく。しかし、その瞬間、残っていた触手たちが急激に輝いたと思うと、消滅していた傘が瞬く間に再生された。完全に元通りになったギザノーシスは再び周りの全てが包まれるほどの光を放ち始めた。
「嘘だろっ!」
慌てて俺はギザノーシスから距離を取る。以前戦ったレヴィナントでさえ、ここまでの再生能力はなかった。さすがにこれは想定外だ。かなりきつい。やはり核を攻撃しなければ倒せないのだろう。俺は再び奴を倒すための思考を巡らせる。
俺が戦略を練っているとまばゆい光を放ちながらギザノーシスは俺と同じ高さまで高度を上げてきた。今の高さは地上から300mほどだろう。
再びギザノーシスの触手がこちらを向き、その先に光が集まって行く。また光弾が飛んでくるのだろう。先読みスキルと探知スキルを発動させ身構えていると、放出されたのはレーザーだった。
先読みスキルでその軌道を読んでいたため何とか初撃をかわすことができたが、まだ光線は消えず、数十本の線があらゆる角度から俺に迫って来る。レーザーで大岩が斜めに切断されたのが、視界の端でちらっと見えた。
当たったら間違いなく体を切断されるだろう。
(なんて威力だ! これはまずい!!)
俺は迫りくるレーザーを死に物狂いで避けていった。
♢ ♢ ♢
「信じられない……」
「誰なんだ……、あの人は……。あの動き、人間業じゃない……」
アヤトと厄災モンスターの戦いをルーライの冒険者たちは崩れた砦の側の城壁の上から見ていた。誰もが信じられないと言った様子で目を丸くしている。
両手足にエメラルド色のリングを輝かせながら飛行している人間は、ギザノーシスの凄まじい光弾の連続攻撃を紙一重で避けていく。
距離が離れているため年齢はおろか、性別もわからない。
「嘘だろ? 全て避けている。あの光弾を。隊長、誰なんですか? あの人は……」
町の防衛にあたっていた冒険者のリードは、瓦礫から救出した隊長のレオンに尋ねた。
「誰だかは知らないが……。これだけはわかる。あのお方は守ってくれているんだ!! 俺たちの町を、たった一人で……」
隊長の言葉を聞いたリードは再びギザノーシスに目を移す。確かにギザノーシスが攻撃をしながら、少しずつ街から離れていくのがわかった。
リードの胸の中に熱いものが込み上げてくる。堪らずリードは口を開いた。
「相手は厄災モンスターだぞ!! 信じられない……。うぉーー!! 頑張れぇー!!」
「ばかやろう。リード、大声を出すな。あいつが何のために引きつけてくれてると思ってるんだ! 気持ちはわかるが心の中で叫べ!」
すぐさまレオンがリードを嗜める。しかし、ここにいる冒険者たちの思いは今リードが叫んだ言葉と全く同じだった。
激しい戦闘を前に祈るような気持ちで冒険者たちは見守っていた。
♢ ♢ ♢
やがて、ギザノーシスはその触手から強力な光線を放出し始めた。それを見て、誰もが戦いの終わりを悟った。しかし目の前の人間は驚異的な反射神経でそれすらもかわしていく。
「信じられない! あの光線をかわし続けるなんて……。人間にはできない!!」
レオンは先ほど自分が注意したにも関わらず、大きな声を出した。
「ええ。あれは神様かもしれません。あんな飛行道具も見たことありませんし……」
隊長の意見にリードは静かに同意する。
超高速で放出される数十本のレーザーをギリギリで避け続ける姿に、冒険者たちは自身の目を疑った。まるで夢か幻でも見ているような心地だった。
あまりに異次元の戦いに誰もが言葉を失い、ただ茫然と見入っていた。
マシンガンのように放たれ続ける弾を全神経を集中させながらかわしていく。触手の向きや角度から軌道が予測できるが、レヴィナントの光輪を操作してそれを避けるのはかなり難しい。数センチ、操作が狂うと直撃してしまう。 時間と共に神経が磨り減っていくようだった。
「くっ!」
頬を光弾がわずかにかすめた。鈍い痛みが少しずつ広がっていく。疲労と共に自分の動きの精度が下がっていくのが自分では分かる。熱による頭の痛みも時間が経つごとにその痛みが増してきていた。
(避けているだけではいずれやられる! 奴のエネルギーは無尽蔵だ!)
俺は光弾を避けながら真下に急降下した。すぐにギザノーシスは触手の向きを変え、俺を捕捉してくる。俺はそのまま、最高速で奴の真下をくぐると、逆側を通りながら急上昇していき、巨大なかさの真上で止まった。
触手がこちらを向き光弾を放とうとするがそれよりも早く俺はアグニを振り抜く。
アグニの切先から巨大な不死鳥が5体現れ、ギザノーシスの傘に滑空していく。
【塵芥】
炎属性の短刀であるアグニの奥義だ。
巨大な不死鳥たちが傘に直撃すると、激しい爆発と共に、巨大な炎が燃え広がり奴の身体を焼き尽くしていく。みるみるうちに傘は焼き尽くされ、消滅していった。傘と触手のつなぎ目のあたりで、ひし形をした水色の宝石のようなものがきらめいた。
「見えた!!」
まだ炎がわずかに残る中、俺は急いで核に向かって飛んでいく。しかし、その瞬間、残っていた触手たちが急激に輝いたと思うと、消滅していた傘が瞬く間に再生された。完全に元通りになったギザノーシスは再び周りの全てが包まれるほどの光を放ち始めた。
「嘘だろっ!」
慌てて俺はギザノーシスから距離を取る。以前戦ったレヴィナントでさえ、ここまでの再生能力はなかった。さすがにこれは想定外だ。かなりきつい。やはり核を攻撃しなければ倒せないのだろう。俺は再び奴を倒すための思考を巡らせる。
俺が戦略を練っているとまばゆい光を放ちながらギザノーシスは俺と同じ高さまで高度を上げてきた。今の高さは地上から300mほどだろう。
再びギザノーシスの触手がこちらを向き、その先に光が集まって行く。また光弾が飛んでくるのだろう。先読みスキルと探知スキルを発動させ身構えていると、放出されたのはレーザーだった。
先読みスキルでその軌道を読んでいたため何とか初撃をかわすことができたが、まだ光線は消えず、数十本の線があらゆる角度から俺に迫って来る。レーザーで大岩が斜めに切断されたのが、視界の端でちらっと見えた。
当たったら間違いなく体を切断されるだろう。
(なんて威力だ! これはまずい!!)
俺は迫りくるレーザーを死に物狂いで避けていった。
♢ ♢ ♢
「信じられない……」
「誰なんだ……、あの人は……。あの動き、人間業じゃない……」
アヤトと厄災モンスターの戦いをルーライの冒険者たちは崩れた砦の側の城壁の上から見ていた。誰もが信じられないと言った様子で目を丸くしている。
両手足にエメラルド色のリングを輝かせながら飛行している人間は、ギザノーシスの凄まじい光弾の連続攻撃を紙一重で避けていく。
距離が離れているため年齢はおろか、性別もわからない。
「嘘だろ? 全て避けている。あの光弾を。隊長、誰なんですか? あの人は……」
町の防衛にあたっていた冒険者のリードは、瓦礫から救出した隊長のレオンに尋ねた。
「誰だかは知らないが……。これだけはわかる。あのお方は守ってくれているんだ!! 俺たちの町を、たった一人で……」
隊長の言葉を聞いたリードは再びギザノーシスに目を移す。確かにギザノーシスが攻撃をしながら、少しずつ街から離れていくのがわかった。
リードの胸の中に熱いものが込み上げてくる。堪らずリードは口を開いた。
「相手は厄災モンスターだぞ!! 信じられない……。うぉーー!! 頑張れぇー!!」
「ばかやろう。リード、大声を出すな。あいつが何のために引きつけてくれてると思ってるんだ! 気持ちはわかるが心の中で叫べ!」
すぐさまレオンがリードを嗜める。しかし、ここにいる冒険者たちの思いは今リードが叫んだ言葉と全く同じだった。
激しい戦闘を前に祈るような気持ちで冒険者たちは見守っていた。
♢ ♢ ♢
やがて、ギザノーシスはその触手から強力な光線を放出し始めた。それを見て、誰もが戦いの終わりを悟った。しかし目の前の人間は驚異的な反射神経でそれすらもかわしていく。
「信じられない! あの光線をかわし続けるなんて……。人間にはできない!!」
レオンは先ほど自分が注意したにも関わらず、大きな声を出した。
「ええ。あれは神様かもしれません。あんな飛行道具も見たことありませんし……」
隊長の意見にリードは静かに同意する。
超高速で放出される数十本のレーザーをギリギリで避け続ける姿に、冒険者たちは自身の目を疑った。まるで夢か幻でも見ているような心地だった。
あまりに異次元の戦いに誰もが言葉を失い、ただ茫然と見入っていた。
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