31 / 43
岡坂登生(2)
(一緒にラブホに入る程度の)清い関係
しおりを挟む
5月5日(木・祝)晴れ
みなさんこんにちは。辻村颯16(89)歳じゃよ。こどもの日じゃな。長かった連休も、もう終わりじゃ…。いやまぁ、これまた明日の金曜日を無理やり休みにしとる会社や学校も多かろうが。
今日はひ孫のトオイと、近所の市民プールにやって来たぞい…。何でまた、プールなのかじゃと?いやまぁ、どう言う話の流れじゃったか…。学校にて、ワシが泳げないのがバレてしまったのじゃな。
と言うかそもそもトラウマによって水が怖いと言うのは、つい先日判明したのじゃが。昔の彼が川に呑まれた事をきっかけに、無意識に水に関わるのを避けておったのじゃな。幸い(?)海なしの群馬県じゃし、戦後の混乱期でプール授業がなかったためそんな支障を生じる事はなかった。
まぁ…。家族にてプールや海に行った時は、ずっと水に入るのを避けておったかの。今更ながら、申し訳ないことをした気がするぞい。その、罪滅ぼしと言う訳でもなかろうが…。来たるべき学校プール授業に備え、こうして特訓のためやって来た訳じゃな。
室外プールじゃったが、カケラも寒いとは思わなんだよ。周りにも、泳ぎに来た家族連れなどが山ほどおる。5月じゃが、季節の管理に未だ慣れておらぬ令和ちゃんが真夏並みの気温と取り違えたものと見える。
ちなみに学校の指定水着はもっとピッチピチの、いわゆるビキニ型の競泳パンツじゃぞい。昔は、大して何とも思わなんだが…。今改めて見ると、ここまで面積少なくする必要あるかの!?との印象を、受けざる得なかったぞい。これを履いたトオイや笹川の姿を想像すると、ちょーっといけない気分にならなくもなかったが…。いかん、心頭滅却じゃ!
「どうしたの?颯くん。ほら、足が止まってるよ。バタ足!バタ足!」
ワシの手を引きながら、トオイが言うたぞい。まさか茅ヶ崎の海岸で浮き輪で波に漂っておったあの幼子から、泳ぎの指導を受ける日が来ようとはの。負うた子に、教えられ…かの。用法、合っとる?
「いい感じじゃん。これなら、すぐに泳げるようになるよ。颯くん、運動神経いいもんね。…そうだ。夏になったらさ。みんなで、海に行こうよ!雪兎くんや、他の友達も誘ってさ。懐かしいなぁ。おれ、子供の頃はひい爺ちゃんや家族みんなで神奈川まで泳ぎに行ったもんだよ」
うん、知っとる。他ならぬ、ワシが連れて行ったんじゃからの。
「そ、そうじゃな…。悪くないのぉ。おぉ、そうじゃ。海には、笹川縁も連れて行かんかの?きっと、楽しくなると思うんじゃ…」
そう言うと、トオイは珍しく目に見えて嫌そうな顔をしたぞい。
「縁、縁って…。颯くん、めっちゃあいつの事言うよね。ってか、ちょいちょい会ってるのも知ってる。やっぱ、付き合ってるんだ…?」
「わー!わー!ワシと笹川は、(一緒にラブホに入る程度の)清い関係じゃぞい!と言うかトオイは、どっちに対して嫉妬しとるんじゃ?知っとるぞ。LIMEにて、告白したと…。やっぱり、彼への想いを断ち切れないんじゃないかの?」
「うん…そうだよ。正直に言うね。おれ、ずっと子供の頃からあいつの事が好きだった。色々あって、告白の返事はあやふやになったけど。だけど、分かるんだ。縁の中には、ずっと昔から誰かの存在が心を占めてるみたい」
「何じゃと?それは、初耳じゃな。それは、一体誰じゃい?」
「さぁ、分かんない。聞いても絶対、誰だか教えてくれない。あのさぁ、話は変わるけど。おれ、颯くんの事も大好きだよ。ほんの一ヶ月ほど前に出会ったばかりだけど、ずっと昔から君のことを知ってた気がする…」
いや、そりゃまぁずっと昔から会ってはおったからのう。でも…。
「でも、駄目じゃよ。ワシらは、そう言う関係になる訳には行かん」
「また、そんなこと言う。おれ達が付き合う事の、何がいけないって言うの…?」
「何でもじゃよ。だけど、見ておれ。きっとお主と縁が結ばれるよう、最善の努力をするからの」
そう言うとトオイは、やはり完全には納得しかねるような表情をした。すまんの、トオイ。重ねて、ワシらがそう言う関係になる訳にはいかんのじゃ。
しかし、見ておれ。言うたとおり、きっとお主と縁が結ばれるよう手を引いてやるでの!
みなさんこんにちは。辻村颯16(89)歳じゃよ。こどもの日じゃな。長かった連休も、もう終わりじゃ…。いやまぁ、これまた明日の金曜日を無理やり休みにしとる会社や学校も多かろうが。
今日はひ孫のトオイと、近所の市民プールにやって来たぞい…。何でまた、プールなのかじゃと?いやまぁ、どう言う話の流れじゃったか…。学校にて、ワシが泳げないのがバレてしまったのじゃな。
と言うかそもそもトラウマによって水が怖いと言うのは、つい先日判明したのじゃが。昔の彼が川に呑まれた事をきっかけに、無意識に水に関わるのを避けておったのじゃな。幸い(?)海なしの群馬県じゃし、戦後の混乱期でプール授業がなかったためそんな支障を生じる事はなかった。
まぁ…。家族にてプールや海に行った時は、ずっと水に入るのを避けておったかの。今更ながら、申し訳ないことをした気がするぞい。その、罪滅ぼしと言う訳でもなかろうが…。来たるべき学校プール授業に備え、こうして特訓のためやって来た訳じゃな。
室外プールじゃったが、カケラも寒いとは思わなんだよ。周りにも、泳ぎに来た家族連れなどが山ほどおる。5月じゃが、季節の管理に未だ慣れておらぬ令和ちゃんが真夏並みの気温と取り違えたものと見える。
ちなみに学校の指定水着はもっとピッチピチの、いわゆるビキニ型の競泳パンツじゃぞい。昔は、大して何とも思わなんだが…。今改めて見ると、ここまで面積少なくする必要あるかの!?との印象を、受けざる得なかったぞい。これを履いたトオイや笹川の姿を想像すると、ちょーっといけない気分にならなくもなかったが…。いかん、心頭滅却じゃ!
「どうしたの?颯くん。ほら、足が止まってるよ。バタ足!バタ足!」
ワシの手を引きながら、トオイが言うたぞい。まさか茅ヶ崎の海岸で浮き輪で波に漂っておったあの幼子から、泳ぎの指導を受ける日が来ようとはの。負うた子に、教えられ…かの。用法、合っとる?
「いい感じじゃん。これなら、すぐに泳げるようになるよ。颯くん、運動神経いいもんね。…そうだ。夏になったらさ。みんなで、海に行こうよ!雪兎くんや、他の友達も誘ってさ。懐かしいなぁ。おれ、子供の頃はひい爺ちゃんや家族みんなで神奈川まで泳ぎに行ったもんだよ」
うん、知っとる。他ならぬ、ワシが連れて行ったんじゃからの。
「そ、そうじゃな…。悪くないのぉ。おぉ、そうじゃ。海には、笹川縁も連れて行かんかの?きっと、楽しくなると思うんじゃ…」
そう言うと、トオイは珍しく目に見えて嫌そうな顔をしたぞい。
「縁、縁って…。颯くん、めっちゃあいつの事言うよね。ってか、ちょいちょい会ってるのも知ってる。やっぱ、付き合ってるんだ…?」
「わー!わー!ワシと笹川は、(一緒にラブホに入る程度の)清い関係じゃぞい!と言うかトオイは、どっちに対して嫉妬しとるんじゃ?知っとるぞ。LIMEにて、告白したと…。やっぱり、彼への想いを断ち切れないんじゃないかの?」
「うん…そうだよ。正直に言うね。おれ、ずっと子供の頃からあいつの事が好きだった。色々あって、告白の返事はあやふやになったけど。だけど、分かるんだ。縁の中には、ずっと昔から誰かの存在が心を占めてるみたい」
「何じゃと?それは、初耳じゃな。それは、一体誰じゃい?」
「さぁ、分かんない。聞いても絶対、誰だか教えてくれない。あのさぁ、話は変わるけど。おれ、颯くんの事も大好きだよ。ほんの一ヶ月ほど前に出会ったばかりだけど、ずっと昔から君のことを知ってた気がする…」
いや、そりゃまぁずっと昔から会ってはおったからのう。でも…。
「でも、駄目じゃよ。ワシらは、そう言う関係になる訳には行かん」
「また、そんなこと言う。おれ達が付き合う事の、何がいけないって言うの…?」
「何でもじゃよ。だけど、見ておれ。きっとお主と縁が結ばれるよう、最善の努力をするからの」
そう言うとトオイは、やはり完全には納得しかねるような表情をした。すまんの、トオイ。重ねて、ワシらがそう言う関係になる訳にはいかんのじゃ。
しかし、見ておれ。言うたとおり、きっとお主と縁が結ばれるよう手を引いてやるでの!
0
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
マネージャー~お前を甲子園に連れて行ったら……野球部のエース♥マネージャー
夏目碧央
BL
強豪校の野球部に入った相沢瀬那は、ベンチ入りを目指し、とにかくガッツを認めてもらおうと、グランド整備やボール磨きを頑張った。しかし、その結果は「マネージャーにならないか?」という監督からの言葉。瀬那は葛藤の末、マネージャーに転身する。
一方、才能溢れるピッチャーの戸田遼悠。瀬那は遼悠の才能を羨ましく思っていたが、マネージャーとして関わる内に、遼悠が文字通り血のにじむような努力をしている事を知る。
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
闘乱世界ユルヴィクス -最弱と最強神のまったり世直し旅!?-
mao
BL
力と才能が絶対的な存在である世界ユルヴィクスに生まれながら、何の力も持たずに生まれた無能者リーヴェ。
無能であるが故に散々な人生を送ってきたリーヴェだったが、ある日、将来を誓い合った婚約者ティラに事故を装い殺されかけてしまう。崖下に落ちたところを不思議な男に拾われたが、その男は「神」を名乗るちょっとヤバそうな男で……?
天才、秀才、凡人、そして無能。
強者が弱者を力でねじ伏せ支配するユルヴィクス。周りをチート化させつつ、世界の在り方を変えるための世直し旅が、今始まる……!?
※一応はバディモノですがBL寄りなので苦手な方はご注意ください。果たして愛は芽生えるのか。
のんびりまったり更新です。カクヨム、なろうでも連載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
