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笹川縁(2)
男女が乳繰り合う目的で入る施設
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5月8日(日)晴れ
みなさんこんばんは。辻村颯16(89)歳じゃよ。本日は、笹川から誘われて泳ぎの練習にやって来たぞい。
何やら、プールのタダ券を手に入れたので招待してくれたのじゃと。気温が高いと言え流石に晩は冷えるので、本日は室内プールじゃよ。これは、渡りに船と言うかカモがネギしょってやって来たと言う所じゃな。
これを機に、笹川をいつか夏に行う海水浴に誘うべし。そこにてトオイと奴を邂逅させれば、二人がくっつくのは時間の問題じゃ。さてひとまずは、自身の泳ぎの練習に専念するかとの…。と、言いたい所じゃが。
「なんで、その練習する場所がいわゆるナイトプールなんじゃーい!こ、これはその。ナンパだとか、男女が乳繰り合う目的で入る施設ではないのか…?」
「ゴリゴリの、ノリツッコミするじゃん。待ち合わせ場所がホテルだった時点で、気づこうぜ。ホテルと言えば、ハヤテちゃんラブホの風呂の照明をいたく気に入ってたからこう言うの好きかなって」
「わー!わー!あの時の事は、言うな!あれは、酒の力が成さしめた一晩の過ちじゃ!ノーカン!」
「はいはい。ちなみに男女に限らず、男男で乳繰り合ってる連中も結構いるぜ。むしろ、そう言う奴らの出会い場所になってるとか」
「わお。時代じゃな。まぁ良い。ワシらの目的は、あくまで清く正しく美しきもの。いざ来たるべきプール授業に向けて、本日も特訓じゃ!」
そう言って、笹川に泳ぎの訓練を付き合ってもらったぞい。施設内でバタ足の練習をしとるのはワシらだけであったので、多少こっ恥ずかしかったがの。ちなみに酒とか提供しておるようじゃが、この施設も年齢制限は大丈夫かのう…?まぁ例によってワシが89歳なので、保護者同伴と言うことでセーフかの。
笹川の教え方が上手いのか、泳ぎも大分と板について来たぞい。そうじゃな。トオイの言うとおり、運動神経はいい方じゃし…。水そのものが怖い訳では、決してないのじゃ。これまでも、風呂とか普通に入っておったからの。怖いのは…。
「なかなか、サマになってきたじゃん。ずいぶん練習したから、ちょっと一休みしようぜ。ほい、飲み物買ってきたから」
おぉ。これは、気が利くのう。疲れた身体に冷たい飲み物は、何よりの癒しじゃ。笹川縁。前にも思うたが、見た目に反し根が悪い子ではないのじゃなぁ。
「とでも、言うと思うたか!どうせ、アレじゃろ。微量のアルコールが入っておる、カクテルドリンクとかじゃろ?酔っ払ったワシの介抱やら何とか言って、あれやこれや乱暴する気じゃろう!?」
「まさか、そんな訳ないじゃん。ただの、ジュースだっての。…と見せかけて、本命は洋酒の染み込んだサクランボの方だったりして」
「そんなこったろうと、思ったわい。全くもって、油断もスキもない…?」
ふと顔を背けると、植物の茂みに隠れて男同士であれやこれやしとる輩がおったぞい。そう言や、先ほど笹川が言うとったな。最近では、男同士で乳繰りあっとる連中もおると。むしろ、そう言った連中の出会いの場じゃと…。何じゃろう。男女でそう言った行為に及ぶ輩も周りにはおるが、それを見とるよりも何だかいけない気分になってきたぞい…。
「おぉ。あそこまで、ヤっちゃうんだ。どうする、ハヤテちゃん。せっかく来たんだし、オレたちもヤることヤっちゃう?」
「や、ヤらんわい!呆れて、見ておったんじゃ。どいつもこいつも、色ボケしおってからに。こう、羞恥心と言うのがないものかな。ワシは、これにて失礼する!」
そう言って、引き止める笹川を尻目に立ち去ってやったわい。当初は、怒りに身を任せてであったが…。
いっかな、更衣室が見当たらぬ。どうにも、道に迷ったようじゃ。なにぶん広い施設の上、薄暗くてそこら中に植物が生い茂ってたりするからのぅ。何だか、不安になってきたぞい。誰ぞに聞いて、更衣室の場所でも案内してもらえば良かろうが。それよりも、それよりも…。
笹川が傍におらんのが、不安で仕方ない。なぜこうも心細いのか、自分でも自分の気持ちがよく分からぬ。途方に暮れておると、後ろからワシの腕を掴む者がおったよ。何だか、こないだの東京の時を思い出すのぅ。
「やっと見つけた!どこ行ってんだよ、ハヤテちゃん。迷子放送のアナウンスかけてもらうか、迷ったんだぜ。急にいなくなったりするなよ、な…?」
気がつけば、笹川の身体を抱きしめておった。周りからは好奇の目で見られておったようだが、もはや気にしておる場合ではないわい。
「…うぅ。心細かった。お願いだから、ワシの前から二度といなくならないで…」
「はぁ?勝手にいなくなったのは、お前の方だろ?意味わかんね。ハヤテちゃん、一体なにを言って…」
「…そうだったかな。それでも、それでも。お願いだから、いなくならないって約束して…」
笹川は何も言わず、ワシの身体を優しく抱きしめ返してくれた。そして、口づけを交わしてくれた。…あぁ、海水浴。今日は話を、切り出せなかったのぅ。まぁ同じ学校なんじゃし、いつでも機会はあるじゃろ。
室外ではそんなワシらを讃えるように、打ち上げ花火が鳴り響いておったよ。
うん。ちょっと、空気読みすぎと言うものではないかね?ここまでされると逆に多少白けてこようが、まぁええじゃろ…。
みなさんこんばんは。辻村颯16(89)歳じゃよ。本日は、笹川から誘われて泳ぎの練習にやって来たぞい。
何やら、プールのタダ券を手に入れたので招待してくれたのじゃと。気温が高いと言え流石に晩は冷えるので、本日は室内プールじゃよ。これは、渡りに船と言うかカモがネギしょってやって来たと言う所じゃな。
これを機に、笹川をいつか夏に行う海水浴に誘うべし。そこにてトオイと奴を邂逅させれば、二人がくっつくのは時間の問題じゃ。さてひとまずは、自身の泳ぎの練習に専念するかとの…。と、言いたい所じゃが。
「なんで、その練習する場所がいわゆるナイトプールなんじゃーい!こ、これはその。ナンパだとか、男女が乳繰り合う目的で入る施設ではないのか…?」
「ゴリゴリの、ノリツッコミするじゃん。待ち合わせ場所がホテルだった時点で、気づこうぜ。ホテルと言えば、ハヤテちゃんラブホの風呂の照明をいたく気に入ってたからこう言うの好きかなって」
「わー!わー!あの時の事は、言うな!あれは、酒の力が成さしめた一晩の過ちじゃ!ノーカン!」
「はいはい。ちなみに男女に限らず、男男で乳繰り合ってる連中も結構いるぜ。むしろ、そう言う奴らの出会い場所になってるとか」
「わお。時代じゃな。まぁ良い。ワシらの目的は、あくまで清く正しく美しきもの。いざ来たるべきプール授業に向けて、本日も特訓じゃ!」
そう言って、笹川に泳ぎの訓練を付き合ってもらったぞい。施設内でバタ足の練習をしとるのはワシらだけであったので、多少こっ恥ずかしかったがの。ちなみに酒とか提供しておるようじゃが、この施設も年齢制限は大丈夫かのう…?まぁ例によってワシが89歳なので、保護者同伴と言うことでセーフかの。
笹川の教え方が上手いのか、泳ぎも大分と板について来たぞい。そうじゃな。トオイの言うとおり、運動神経はいい方じゃし…。水そのものが怖い訳では、決してないのじゃ。これまでも、風呂とか普通に入っておったからの。怖いのは…。
「なかなか、サマになってきたじゃん。ずいぶん練習したから、ちょっと一休みしようぜ。ほい、飲み物買ってきたから」
おぉ。これは、気が利くのう。疲れた身体に冷たい飲み物は、何よりの癒しじゃ。笹川縁。前にも思うたが、見た目に反し根が悪い子ではないのじゃなぁ。
「とでも、言うと思うたか!どうせ、アレじゃろ。微量のアルコールが入っておる、カクテルドリンクとかじゃろ?酔っ払ったワシの介抱やら何とか言って、あれやこれや乱暴する気じゃろう!?」
「まさか、そんな訳ないじゃん。ただの、ジュースだっての。…と見せかけて、本命は洋酒の染み込んだサクランボの方だったりして」
「そんなこったろうと、思ったわい。全くもって、油断もスキもない…?」
ふと顔を背けると、植物の茂みに隠れて男同士であれやこれやしとる輩がおったぞい。そう言や、先ほど笹川が言うとったな。最近では、男同士で乳繰りあっとる連中もおると。むしろ、そう言った連中の出会いの場じゃと…。何じゃろう。男女でそう言った行為に及ぶ輩も周りにはおるが、それを見とるよりも何だかいけない気分になってきたぞい…。
「おぉ。あそこまで、ヤっちゃうんだ。どうする、ハヤテちゃん。せっかく来たんだし、オレたちもヤることヤっちゃう?」
「や、ヤらんわい!呆れて、見ておったんじゃ。どいつもこいつも、色ボケしおってからに。こう、羞恥心と言うのがないものかな。ワシは、これにて失礼する!」
そう言って、引き止める笹川を尻目に立ち去ってやったわい。当初は、怒りに身を任せてであったが…。
いっかな、更衣室が見当たらぬ。どうにも、道に迷ったようじゃ。なにぶん広い施設の上、薄暗くてそこら中に植物が生い茂ってたりするからのぅ。何だか、不安になってきたぞい。誰ぞに聞いて、更衣室の場所でも案内してもらえば良かろうが。それよりも、それよりも…。
笹川が傍におらんのが、不安で仕方ない。なぜこうも心細いのか、自分でも自分の気持ちがよく分からぬ。途方に暮れておると、後ろからワシの腕を掴む者がおったよ。何だか、こないだの東京の時を思い出すのぅ。
「やっと見つけた!どこ行ってんだよ、ハヤテちゃん。迷子放送のアナウンスかけてもらうか、迷ったんだぜ。急にいなくなったりするなよ、な…?」
気がつけば、笹川の身体を抱きしめておった。周りからは好奇の目で見られておったようだが、もはや気にしておる場合ではないわい。
「…うぅ。心細かった。お願いだから、ワシの前から二度といなくならないで…」
「はぁ?勝手にいなくなったのは、お前の方だろ?意味わかんね。ハヤテちゃん、一体なにを言って…」
「…そうだったかな。それでも、それでも。お願いだから、いなくならないって約束して…」
笹川は何も言わず、ワシの身体を優しく抱きしめ返してくれた。そして、口づけを交わしてくれた。…あぁ、海水浴。今日は話を、切り出せなかったのぅ。まぁ同じ学校なんじゃし、いつでも機会はあるじゃろ。
室外ではそんなワシらを讃えるように、打ち上げ花火が鳴り響いておったよ。
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