職場で一番嫌いな奴と、なんでか付き合うことになった話

あきら

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職場で一番嫌いな奴と、なんでか付き合うことになった話

BL小説なんだけどさぁ

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 結局、今日の仕事はさんざんだった。

 個人的な意見だけど、誰かに対し腹を立てたり怒ったりしたらそれが自分に返ってくるんだよね。取り直そうとすればするほど、気ばかりが空回りして上手くいかない。
 クレームにまでは発展しなかったけど、終始上の空でお客様の言うことを聞いていなかったり。何回も、話が食い違ったり…。何とかかんとか最後の応対まで完了して、定時(言うて22時)ちょうどに終われたのが幸いだ。
 SVの武市さんにまで、心配して何があったか声をかけられた。いや特に、何もございませんよ。ちょっとした、恋わずらいですから…。
 恋?俺が?保志くんに?馬鹿馬鹿しい、あり得ない。思ったほど悪い子でないのはよく分かったけど、本当にそれだけですから…。でも何だか、昨日から気になって仕方ないなぁ。
 アカンわ。本格的に調子悪い。ちょうどいいことに明日もまた休日だし、ゆっくりと休みましょう…。ってかこれもコールセンターにありがちだけど、シフト制だから本当に休みがまちまちなんだよね。個人的には不規則な休みの方が合っているけど、ここまで飛び石だったのは久しぶりだ。だから、思うように仕事の調子が出なかったことにしましょう…。そう考えながら、エレベーターに乗ると。
 「辻村さーん、もう帰るんスか?早いっスね。一緒に帰りましょ」
 悩みの元凶が、エレベーターに入ってきた。当然ながら、「開」のボタンは押してましたよ。これでも、社会人としては先輩なので。ってかこいつ、いっつも定時に終わってるよね。本当、電話応対の腕はまだまだだけど要領だけはいいと言うか…。
 「…保志くんこそ、早いね。いっつも喫煙所でダベってから、帰るんじゃ?」
 「辻村さんがマッハで帰るの見えたんで、オレもヤニ吸うの切り上げて出てきたんスわ。嬉しい?」
 「特には。そうだ。言ってた液タブとPC渡すの、もうちょい待ってね。今、全力で部屋片付けてる最中だから。そして家の中では、絶対にタバコ吸わないでね…」
 「えーっ、何スか。辻村さん、もしかしてタバコ嫌い?」
 「…大っ嫌い」
 タバコ自体も、タバコ吸う奴も。今まで付き合った彼氏の中にも、誰一人吸うのはいなかった。…と言うか、最初からタバコ吸う人種を避けていたのかなぁ。
 何だか、妙な無言の間が続いた。うぅ、気まずい。何か、無難な話題はないか…。しかしこの状況、BL小説とかだとエレベーター止まるパターンだよね。まぁ、まさかそんな都合のいいことは起きないだろう…。と、考えていると。
 ガタン、と言う音が鳴るとともにエレベーターが停止した。ついでに、電気も消えた。特に揺れは感じ取れなかったが、近くで地震でもあったものか。

 はぁ?嘘だろ、BL小説かよ。ってかまぁ、BL小説なんだけどさぁ!
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