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取り分は、4:6でな
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拝啓、お母さん。しつこいようですが、大阪は本当に凄い所です。目を覚ましたら、関西弁黒髪八重歯のイケメンが僕を見下ろしていました。もっと話をしたかったのに、彼は何だか、物騒な理由を言ってしょっぴかれて行きました…。
みなさん、おはようございます。神崎宙斗、18歳ホモです。この、母親への挨拶と読者さんへの挨拶を重ねていくスタイルってどうなんですかね?我ながら、若干クドいような気もしますが。みなさんの、忌憚ない意見をお待ちしていますね。
さて、何だかんだで無事?学校にも辿り着く事が出来ました。つい先ほど、クラスメートの皆さんの前で自己紹介を済ませてきた所です。少し前までの、豆腐メンタルからは考えられませんが…。逆療法って言うんですかね。ちょっとショッキングな出来事があったので、もう腹が座りましたよ。あはは…。
皆さん、留年した下りをうまーく聞き流した振りして好意的に接してくれています。ここら辺は、あまり詮索しない地域性とでも言うんですかね。入学初日から決めつけるのも早計ですが、転校先にこちらの高校を選んで良かったと思っています。
席順は、無難に出席番号順に並ぶ事に決まって…。さぁ、HRも終わろうとした時ですよ。嵐のような勢いで教室の扉が開いて、一人の生徒が入ってきました。もう皆さん、大体お分かりですよね?朝、駅員さんに連行されていた例の彼ですよ。
「すんませーん!ちょっと、オッサンの前歯叩き折ってて遅くなりました!新学期の挨拶で、校長の話がクソ長かったんやて?おかげさまで、ギリギリ間に合ったで!」
いや、ギリギリも何も間に合ってませんよ。まぁでも、授業が始まる前と言う意味合いならセーフなのかな。色々と突っ込みたい所でしたが、彼は気にする様子もなく一人で黒板の前に立って語り始めました。
「桐島大雅やでー!一年の時は、水泳部に所属しとった!スポーツ推薦でマジで頭悪いんで、誰か勉強教えてくれたら助かります!実家は、大阪港駅の近くにあるお好み焼き屋やで!何回か取材された事もある店やから、みんな学校帰りにでも来てな~。近いと言えば、海遊館のすぐ近くやで。子供の頃から、何百回行ったか分からへん。将来の夢は、水族館の飼育員さんです!以上!」
これまた嵐のような自己紹介が終わって、対象的に乾いたような拍手が鳴り響きました。(悪い意味での)有名人らしく、クラスメートの皆さんはよーく彼を知っていたようですが…。個人的に、今の自己紹介はとても助かりました。スポーツ推薦なのに普通クラスにいるって事は、一年の頃に膝か靭帯でも痛めたのでしょう。BL漫画のキャラ設定で、それこそ百回くらい見たパターンですよそれ。
向こうはそんな妄想を巡らせる僕を見て、ひと目で誰だか気づいたようでした。
「おぉ!お前は…って、いつまでも『お前』やと失礼やな。朝、オッサンに突き飛ばされとった彼やんけ。でっかい図体しといて、ちゃんとご飯食わなあかんよ。見かけん顔やけど、転校生やったんか?他のみんなの事は知っとるけど、良かったら名前とか教えてほしいな~。なんて」
そう言って大きな目をキラキラ輝かせながら(ちょっと可愛い)、前の席に座った彼が話しかけてきました。え?出席番号なら、彼の方が後ろなんじゃないかって?身長差がありすぎて黒板が見えないので、僕の方で席を変わってあげたんですよ…。マジで、あと○cm低く生まれたかったなぁ。
「え、えーと。神崎宙斗です。千葉県の舞浜から、やって参りました。高校は、東京に通っていたんですけどね。名門と呼ばれた高校でしたが、一年生の一学期で授業に付いて行けなくなりました。そして、一年間の引きこもり生活を経て留年した挙げ句今に至ります…」
「重っ!ってか、そらたんの方が一歳上って事か?こんな、タメ口聞いたらいかんのかなぁ。そらたんこそ、そんな他人行儀な敬語は使わんでえぇよ」
「(そらたん?)いえ、気にしないで下さい。歳上とか歳下とか問わず、普段から誰に対してもこういう話し方なので。大雅くんこそ、どうぞ気を使わないで下さい」
「そうか?そしたら、この喋り方でな。話変わるけど、そらたんを突き飛ばしたオッサンがおったやん?オレに前歯折られて、被害届出すとか怒り狂っとったけどな。逆にこっちの方が出したるわって、脅したってん。『一番の親友を故意で突き飛ばして、階段から落としました』ってな!そしたら示談金出すとか言うから、ガッポリせしめてきたったわ。ってな訳で、これはそらたんの金!取り分は、4:6でな!」
そう言って、また八重歯を輝かせながらニッコリと笑うのでした。
拝啓、お母さん。大阪は、地域柄だけでなくそこにいる高校生も何だか凄い所です…。
って、この彼だけに限っての話ですかね。
みなさん、おはようございます。神崎宙斗、18歳ホモです。この、母親への挨拶と読者さんへの挨拶を重ねていくスタイルってどうなんですかね?我ながら、若干クドいような気もしますが。みなさんの、忌憚ない意見をお待ちしていますね。
さて、何だかんだで無事?学校にも辿り着く事が出来ました。つい先ほど、クラスメートの皆さんの前で自己紹介を済ませてきた所です。少し前までの、豆腐メンタルからは考えられませんが…。逆療法って言うんですかね。ちょっとショッキングな出来事があったので、もう腹が座りましたよ。あはは…。
皆さん、留年した下りをうまーく聞き流した振りして好意的に接してくれています。ここら辺は、あまり詮索しない地域性とでも言うんですかね。入学初日から決めつけるのも早計ですが、転校先にこちらの高校を選んで良かったと思っています。
席順は、無難に出席番号順に並ぶ事に決まって…。さぁ、HRも終わろうとした時ですよ。嵐のような勢いで教室の扉が開いて、一人の生徒が入ってきました。もう皆さん、大体お分かりですよね?朝、駅員さんに連行されていた例の彼ですよ。
「すんませーん!ちょっと、オッサンの前歯叩き折ってて遅くなりました!新学期の挨拶で、校長の話がクソ長かったんやて?おかげさまで、ギリギリ間に合ったで!」
いや、ギリギリも何も間に合ってませんよ。まぁでも、授業が始まる前と言う意味合いならセーフなのかな。色々と突っ込みたい所でしたが、彼は気にする様子もなく一人で黒板の前に立って語り始めました。
「桐島大雅やでー!一年の時は、水泳部に所属しとった!スポーツ推薦でマジで頭悪いんで、誰か勉強教えてくれたら助かります!実家は、大阪港駅の近くにあるお好み焼き屋やで!何回か取材された事もある店やから、みんな学校帰りにでも来てな~。近いと言えば、海遊館のすぐ近くやで。子供の頃から、何百回行ったか分からへん。将来の夢は、水族館の飼育員さんです!以上!」
これまた嵐のような自己紹介が終わって、対象的に乾いたような拍手が鳴り響きました。(悪い意味での)有名人らしく、クラスメートの皆さんはよーく彼を知っていたようですが…。個人的に、今の自己紹介はとても助かりました。スポーツ推薦なのに普通クラスにいるって事は、一年の頃に膝か靭帯でも痛めたのでしょう。BL漫画のキャラ設定で、それこそ百回くらい見たパターンですよそれ。
向こうはそんな妄想を巡らせる僕を見て、ひと目で誰だか気づいたようでした。
「おぉ!お前は…って、いつまでも『お前』やと失礼やな。朝、オッサンに突き飛ばされとった彼やんけ。でっかい図体しといて、ちゃんとご飯食わなあかんよ。見かけん顔やけど、転校生やったんか?他のみんなの事は知っとるけど、良かったら名前とか教えてほしいな~。なんて」
そう言って大きな目をキラキラ輝かせながら(ちょっと可愛い)、前の席に座った彼が話しかけてきました。え?出席番号なら、彼の方が後ろなんじゃないかって?身長差がありすぎて黒板が見えないので、僕の方で席を変わってあげたんですよ…。マジで、あと○cm低く生まれたかったなぁ。
「え、えーと。神崎宙斗です。千葉県の舞浜から、やって参りました。高校は、東京に通っていたんですけどね。名門と呼ばれた高校でしたが、一年生の一学期で授業に付いて行けなくなりました。そして、一年間の引きこもり生活を経て留年した挙げ句今に至ります…」
「重っ!ってか、そらたんの方が一歳上って事か?こんな、タメ口聞いたらいかんのかなぁ。そらたんこそ、そんな他人行儀な敬語は使わんでえぇよ」
「(そらたん?)いえ、気にしないで下さい。歳上とか歳下とか問わず、普段から誰に対してもこういう話し方なので。大雅くんこそ、どうぞ気を使わないで下さい」
「そうか?そしたら、この喋り方でな。話変わるけど、そらたんを突き飛ばしたオッサンがおったやん?オレに前歯折られて、被害届出すとか怒り狂っとったけどな。逆にこっちの方が出したるわって、脅したってん。『一番の親友を故意で突き飛ばして、階段から落としました』ってな!そしたら示談金出すとか言うから、ガッポリせしめてきたったわ。ってな訳で、これはそらたんの金!取り分は、4:6でな!」
そう言って、また八重歯を輝かせながらニッコリと笑うのでした。
拝啓、お母さん。大阪は、地域柄だけでなくそこにいる高校生も何だか凄い所です…。
って、この彼だけに限っての話ですかね。
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