エーミール・クロフトの憂鬱

あきら

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エーミール・クロフトのメイド

そこらへんの、雑草でも食っていたまえ

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 みなさんご機嫌よう。エーミール・クロフトだよ…。

 ちなみに、僕自身のご機嫌はあまりよろしくないな。どうにも、朝から降り続く雨で気分が滅入ってね。天気や気候に左右されるのも我ながら女性っぽいとは思うが、こればかりは致し方ない事だ…。
 さて、今日は絵のモデルをするため近所のアトリエに馳せ参じた。何やら、ここいらに住む画家たちがどうしても僕の絵を描きたいと言い出してね。フッ。今更ではあるが、天使のように美しく生まれついた僕の容姿にも困ったものだよ。まあ、その魅力が通じない野暮な男を若干一人ほど知ってはいるがね。
 アトリエに着いた。盛大な拍手で迎えられる。何やら小声で「次のイベントは、エーミール坊っちゃまのモブ姦で…」だの、「いやいや、ハインリヒ×坊ちゃまで…」だのと聞こえてきた。
 よくは分からんが、彼…ハインリヒと並べられるのであれば悪い気はしないな。

 さて、どのような格好でモデルをするのだろう。ヌードモデル?僕は構わないが、父上が怒り狂うだろうな。…と思っていたら、何やら衣装を渡された。
 「な…何だこれは!いわゆる一つの、メイド服ではないか!うちの下女でもあるまいし、こんな姿を見られたら父上が卒倒するぞ!」
 怒りにうち震える僕とは真逆に、画家たちは喜びと感動でうち震えているようだった。
 「お…おお。流石は坊っちゃまだ!完璧に着こなしている!また、しっかり着てから文句を言う所も含めて完璧だ!」
 あ。この作品、僕以外のモブも発言するのだな。ハインリヒなど、まだ一言も発言していないと言うのに。
 「坊っちゃま、素敵です。そのお姿を、ご友人のハインリヒ君が見たらさぞや喜びますよ!」
 「そ…そう言うものだろうか?それならば、もう少しの間着ていてやらんでもないかな…」
 全く、知らない人が見たら僕の事をハインリヒが絡めば何でもするチョロい男だと思われそうだ。
 まあいいや。さっさと、モデルにでも何でもするがいい…。そう思って、どっこいしょとばかり胡座をかくと再び感嘆の声が上がった。
 履きなれないスカートなので、勢いよく座った拍子にパンツでも見えたか?男の肌着などを見て、何が喜ばしいのか理解に苦しむがね。
 「さて。モデルと言うからには、ポーズを取る必要があるのだろう?どのようなポーズを所望かね?」
 「エマニュエル夫人よろしく、挑発的なポーズで願います!」
 「エマニュエル夫人の映画は、1970年だ!あと80年ほどは、公開されないよ。時代考証を、しっかりしたまえ!まあ、適当にそれらしいポーズを取ってやる」
 多少、挑発的に座り直しただけだが画家たちの反応はこれまた良いものだった。
 「ぼ…坊っちゃま、本当に素敵です!続いて、私どもを罵って下さい!」
 「なぜ、罵る必要がある!?まあいいや。慣れないが、精一杯罵ってやろう。『このブタどもが!貴様らに食わす穀物などないよ。そこらへんの、雑草でも食っていたまえ!』」
 これまた、評判は上々だった。画家たちは、みな床に横たわり身をよじって快感に震えている。
 あれ。何だかこの僕も、雨の憂鬱さを忘れテンションが上がってきたぞ…?何か、変なスイッチでも入ったかな。

 「なんとも残念な顔面だ。少しは、鏡を見たまえ…。いやいや、鏡の方が気の毒であるかな」
 「ありがとうございます!」
 「僕の許可なく、勝手に発言をしているんじゃない!貴様らが発言する前と後には、必ず僕の靴に接吻をしたまえ!」
 「死んでも、口を離しません!坊っちゃま、その調子です!もっと、もっと史上最低の言葉を吐いて!」
 「貴様らの○○○は僕の××で△△△△して□□□…」
 おっと。今回もレーティングを設定していないので、表記出来る言葉が少なくなってきた。乱痴気騒ぎは、この辺りでお開きにしようか。

 いや…でもこれ、使えるのではないか?プレイの一環と言うのか、ハインリヒに会う時この衣装を持っていってさ。彼は、きっと驚くだろうが…(いや、マジで)。
 クジャクヤママユを盗まれ壊された事を、まだ忘れてはいないよ。彼はその時、何でもすると言っていた筈だ。この衣装を着て、彼の事を思う様に罵って…。

 い、いや。どっちかって言うと彼には、罵られる方がいいかな。なんてね!
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