俺の武術は異世界でも最強だと証明してやる！

激闘！ アーレス祭

２０話

　オーベロンは巨大化した。他にも街をすべて飲み込むほどの魔法を使用することもできた。それなのにわざわざ近距離パワーに特化した巨大化という選択肢をとった。オーベロンは決して詩音を舐めてかかっていたわけではない。ではなぜこのような選択をとったのか。それはオーベロンが詩音との一対一を楽しんでいること、そして魔王軍幹部である自分に対し、約束を守るため一人素手で挑んできたことへの敬意だった。
　
　魔王軍幹部幹部という肩書から、そしていつもの卑怯な自分からは起こりえない感情だ。オーベロンは初めての好敵手に歓喜していた。

　オーベロンはパンチを繰り出す。その巨体からは想像できないほどの速さだ。それは一回戦のサイフォンの突きを軽く凌駕していた。

　物の重さと速さには比例関係があり、重くなるほど、そして速くなるほど威力が増していく。オーベロンのパンチの破壊力は、巨大化した自身の体重を最大限乗せたうえで出来うる最速で放ったため、オーベロンの出せるパワーの最大である。

　対する詩音は後方へ下がるのではなく、前に出た。そしてパンチが最高速に乗るがインパクトのタイミングからは少しずれているという絶妙なタイミングでオーベロンを押し出す。オーベロンはそのまま後方へ吹き飛んでいく。

　パンチには相手に当たるタイミングがあり、たとへ強力なものでも腕が伸びきる前に当たる、または封じられると脅威度がガタ落ちになる。詩音はそのタイミングでオーベロンを押した。軽い力だとしても、攻撃の最中のタイミングでは抗うことはできない。そして体重も侵入スピードも速かったオーベロンはそのままの威力が跳ね返ってきた為に吹き飛ばされたのだ。

「な、なにをした！」
「流石の威力だな。よく吹っ飛ぶ」

　オーベロンは自分が何をされたのか分からなかった。わからないからこそ、攻撃するしかなかった。

　オーベロンが再度仕掛ける。今度は蹴りをくらわす。う大化した。他にも街をすべて飲み込むほどの魔法を使用することもできた。それなのにわざわざ近距離パワーに特化した巨大化という選択肢をとった。オーベロンは決して詩音を舐めてかかっていたわけではない。ではなぜこのような選択をとったのか。それはオーベロンが詩音との一対一を楽しんでいること、そして魔王軍幹部である自分に対し、約束を守るため一人素手で挑んできたことへの敬意だった。
　
　魔王軍幹部幹部という肩書から、そしていつもの卑怯な自分からは起こりえない感情だ。オーベロンは初めての好敵手に歓喜していた。

　オーベロンはパンチを繰り出す。その巨体からは想像できないほどの速さだ。それは一回戦のサイフォンの突きを軽く凌駕していた。

　物の重さと速さには比例関係があり、重くなるほど、そして速くなるほど威力が増していく。オーベロンのパンチの破壊力は、巨大化した自身の体重を最大限乗せたうえで出来うる最速で放ったため、オーベロンの出せるパワーの最大である。

　対する詩音は後方へ下がるのではなく、前に出た。そしてパンチが最高速に乗るがインパクトのタイミングからは少しずれているという絶妙なタイミングでオーベロンを押し出す。オーベロンはそのまま後方へ吹き飛んでいく。

　パンチには相手に当たるタイミングがあり、たとへ強力なものでも腕が伸びきる前に当たる、または封じられると脅威度がガタ落ちになる。詩音はそのタイミングでオーベロンを押した。軽い力だとしても、攻撃の最中のタイミングでは抗うことはできない。そして体重も侵入スピードも速かったオーベロンはそのままの威力が跳ね返ってきた為に吹き飛ばされたのだ。

「な、なにをした！」
「流石の威力だな。よく吹っ飛ぶ」

　オーベロンは自分が何をされたのか分からなかった。わからないからこそ、攻撃するしかなかった。

　オーベロンが再度仕掛ける。今度は蹴りをくらわす。前へ押し出すように詩音の懐めがけて足を出す。

　詩音はオーベロンの足が上がり、重心が前に出たところで、オーベロンの足元に滑り込む。そして背中をオーベロンの軸足に押し当てた。するとそこを軸にオーベロンが回転する。そしてそのまま顔面から地面に叩きつけられる。

「何回か触って分かったんだが、オーベロン。お前の強化された部分は打撃を通さないんだろ」

　オーベロンは顔を抑え悶絶している。

「だが顔は弱点みたいだな。それに投げられることには何の耐性もない」
「こ……これが君の言う柔とかいうやつなんだね。わかったよ。これは相手の力を利用して投げ飛ばす技なんだ。でも、投げてるだけじゃじり貧でしょ？　そんなんじゃボクは倒せないよ」
「あくまでもさっきのはデモンストレーションさ。こっからは俺の真骨頂、島原流を見せてやる」
「へぇ。それは楽しみだねッ！」

　オーベロンはまたも詩音に向かい突っ込んでいく。

「学習しねぇやつだ」

　詩音は技をかける準備をした。しかし、オーベロンは詩音の間合い手前で９０度旋回し、高速で詩音の周りを周回し始める。何週もした後、詩音の後方で急に再度旋回し、攻撃する。

「甘いんだよ！」

　詩音は素早く後ろを向きオーベロンの攻撃に備える。そしてパンチが繰り出される際に関節の関係から生じる回転と同じ方向に回す。オーベロンは抗えることなく回転し、またも顔面から落ちた。

「島原流、円弧えんこ。回される人の足で円を描くことが名前の由来だ。どうだ、二回も顔面から地面に落ちるのは」
「う、うるさい！　ボクは強いんだ！　お前なんかひねりつぶしてやる！」

　オベロンは渾身のパンチを出す。

「攻撃が単調なんだよ！」

　詩音はオーベロンの右拳を左に躱し、逆立ちの姿勢になる。そのまま両足でオーベロンの右腕を互い違いに挟み、パンチの速度を利用して、進行方向と同じ方向に体を回転させる。オーベロンの腕は、パンチの威力と足にかかったてこにより、いとも簡単に折れてしまう。

「があああああああああッ！！！！！」

　オーベロンは、あまりの痛みに耐えきれず、巨大化を解除してしまう。

「やっぱりその姿の方がいいぜ、お前」
「ぐ……う……か、片腕が使えなくたってまだお前を殺せる！　殺してやる！！！」

　オーベロンは、今までの戦いによる痛みや負け続けによる屈辱で我を忘れていた。そして大量の蟲を召喚し始める。

「もうお前と戦っても楽しくない！　だからもうこの街ごとけすことにするよ」
「なんだよ逃げるのか、お前」
「別に逃げるわけじゃないよ。元々の予定を思い出しただけだし。もうお遊びは終わりにするのさ！」
「今の発言、全部言い訳にしか聞こえないぞ」
「うるさいうるさいうるさいうるさい！！！　もう遅いからね。ボクの真の実力を開放するんだから。これでみんなお終いだよ！！」

　オーベロンは大魔法の詠唱を始めた。上空には大量の蟲が飛んでいた。



　ルナたちはすべての蟲を駆除したところだった。

「詩音さん、大丈夫でしょうか」
「私たちは詩音さんを信じて任せると決めたではありませんか。ですから今は、待ちましょう」
「そういうわけにもいかないみたいですよ」
「どういうことです？」
「上を見てください」

　ルナは上空を指さす。闘技場の方角を中心に先ほどの何十倍もいる蟲が飛び回っており、空は真っ黒だった。

「な、なんですか……これ」
「向うがどうなっているかは分かりません。ですがあれは間違いなくオーベロンが何かしようとしているサインです。恐らくは大魔法でも使う気なのでしょう」
「では、どうするのですか？」

　ルナは杖を握りしめ、何かを決意した表情をする。

「こちらも大魔法を使いましょう」