俺の武術は異世界でも最強だと証明してやる!

ぽりまー

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ルナとエスティアス村

23話

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 エスティアス村に入ると、そこには摩天楼が広がっていた。街頭が整備され、周りの建物は部屋内が常に明るい。地面も整備が行き届いており、まさしく大都会といった感じだ。

「眩しい……眩しいぞ! 何だこの街は! 見るものすべてが輝いている!!」
「初めて見ましたけど、ここまでとは……」
「すげーなぁ。東京みてぇだ」

 4人は色々なところを見渡しながらエスティアス村をまわった。見る物すべて新鮮で、クレアとクリスタを至る所で驚かせた。

「見ろ! 扉がひとりでに動いている! どうなっているのだあれは!」
「あっちは部屋から冷気が! あの部屋、とても涼しいです!」
「詩音さんはあまり驚かないんですね」
「うん。こういうの日本にはいっぱいあったからなぁ。でもこの世界にもこういうところがあるとはなぁ」

 しばらく歩くと、大きな建物がいくつか並んだ場所にたどり着いた。5階はありそうな白い立方体の建物で、何かの研究所の様だった。

「あれはなんだ?」
「あの建物は、エスティアス村が誇る魔法の研究機関です。普通の魔法だけでなく、工業系、回復魔法系の研究も盛んにおこなわれているんです。ですがまだ使いこなせる国がないことや、今の世界情勢の保護のために外部に技術を公開していないんですよ」
「だからここしかこんな発達してないんだなぁ」

 研究機関の建物にあっけにとられていると、遠くから何者かが走ってくるのが見えた。

「ルナ―――――――――!!」

 その子はルナの名前を叫んでいる。

「あれ。クロエ!?」

 クロエはそのままルナに飛びついた。

「帰ってきてくれたんだ! ルナぁ!」
「はい。帰ってきましたよ、クロエ」
「うん……うん! あ、こっちの方々はルナの友達?」
「パーティーメンバーですよ。私パーティーに入ってるんですよ」
「右京詩音です」
「クレア・バンガードだ」
「クリスタです」

 3人が自己紹介すると、クロエはルナに抱き着くのをやめ、3人に向き直った。さっきまで抱き着いていたのでよくわからなかったが、クロエは長い黒髪で、眼鏡の下に大きく綺麗な目を輝かせている容姿の美少女だった。

「私、クロエって言います。ルナとは小さいころからの友達なんです! 詩音さん、クレアさん、クリスタさん、これからもルナと仲良くしてくださいね!」
「もちろん」
「あたりまえだ」
「そうですね」

 クロエは3人と握手を交わした。

「あ、みなさん。今日は泊まるところ何か考えてますか? ルナも実家に帰るの?」
「あ。考えてなかったかも。ルナはどうする? 実家に戻るのか?」
「え、えっと……」

 ルナは実家に帰るのを嫌そうにしていた。

「やっぱり帰りづらいよね。じゃあ、ルナ。皆と私の家に来なよ! 歓迎するよ?」
「クロエの家がいいのならだが、いい案じゃないか」
「では、お言葉に甘えて。よろしくお願いしますね、クロエ」

 5人はクロエの家へ向かうのだった。



「ただいまー! 父さん! 母さん! お客さん連れてきた! 泊めてあげて!」
「親御さんに了解とってなかったのかよ……まあ、そりゃそうか」

 クロエが叫ぶと両親らしき人物が出てきた。

「いきなり客を連れてきて泊めろと言われても……って、ルナちゃん!? ルナちゃんじゃないか!?」
「あらルナちゃん! 帰ってきてたのね!? てことはそちらはルナちゃんのお仲間だね? いいわ、入って入って」

 詩音たちはいきなり来て申し訳ないなと思いつつ家に上がった。



 クロエ家は大きめの家で、当然のことながら明かりや空調設備などが充実していた。

「改めて自己紹介を。俺はクロエの父のダムだ。で、こっちは嫁のフルール」
「俺は右京詩音て言います」
「私はクレア・バンガード」
「クリスタです」
「バンガードって、あの?」
「ええ、まあ」
「ほんとに!? 有名人じゃない! 右京さんも確かアーレス祭優勝者よね、名前聞いたことあるもの。ルナちゃん、すごい人たちとお仲間なのね!」
「はい!」

 ルナは仲間を褒められてとてもうれしそうだ。

「良かったわねルナちゃん! それはそうとルナちゃんの家にはもう行ったの?」

フルールに聞かれたルナは気まずそうにした。

「いえ、まだです」
「そうだったの。まあ、行きづらいかもしれないわねぇ。それにしても怒りすぎよねぇ」
「まあ、村長っていうメンツもあるし、何より自分の娘がっていうのがゆるせなかったんだろうよ」
「え? ルナって村長の娘だったんです?」
「ええ。ここの村はマクシム・エスティア、つまりルナちゃんのお父さんが村長をやってるの」
「ルナが何をしたかわからないけど、村長であるお父さんが怒ってるならなおさら帰りづらいか」
「ルナちゃん。右京さんたちに何も説明してないの?」

 ルナはうつむいたまま小さくなってしまった。

「いいんですよ。ルナが言いたくないのなら無理に言わなくていいです。それに何をやったとしてもルナは俺たちの仲間に変わりありませんから。な、みんな」
「もちろんだとも」
「ええ。何をやっちゃったのかは気になりますけど」
「みなさん……」

 ルナは感動で目が潤んでいた。

「でもここに帰ってきたのだから、いつかは話さないといけなくなるわ。でも右京さん。なにを言われてもルナの仲間で居続けてあげて頂戴ね?」
「もちろんです」
「ルナちゃんもいい仲間を見つけられてよかったわね」
「はい、とっても!」
「さて、もう遅いし今日は寝なさいな。部屋は沢山余ってるから好きなところを使って。あとで布団を持っていくわ」
「ありがとうございます!」

 詩音たちはお言葉に甘えて休むことにし、旅の疲れで泥のように眠った。



 次の日、詩音たちはルナに村の案内をしてもらうことになった。

「あの大きい建物が百貨店です。少し前に買い物のためにいろいろ回るのが面倒くさいという理由で作られて、村の食品売り場や雑貨屋がたくさんあるんですよ」

 ルナの指した先にあるデパートの様な建物をみて3人はあいた口がふさがらなかった。

「百貨店もあるのかここは……」
「はい! ルナってばオープンするなりお店全部回るんだって大はしゃぎで入って、そのまま迷子になっちゃって」
「それ以上はダメですよクロエ!!」
「なかいいなぁ二人とも」

 詩音は仲がいいことは素晴らしいと感慨にひたっていると、少し遠くに大きな屋敷を見つけた。

「なあ、あっこのでかい家は何だ?」
「ああ、あれはルナの家ですね」
「あれが……」

 ルナの実家は周りの家と比べるととても大きく、目立った。

「なあ、いつかは実家にも行くんだろ? だったらいまからいこうぜ」

 ルナは詩音の提案にとても驚いた。

「い、今からですか!?」
「詩音! まだルナは心の準備ができてないんだ! 今行くのは無理があるだろ」
「でもこのままずるずるとってわけにもいかんだろ。俺もルナの親父さんに言ってやりたいし。どうだ? ルナ」

 ルナは意を決した顔でいう。

「解かりました。行きましょう」

 詩音たちはルナの実家へ向かった。
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