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ルナとエスティアス村
25話
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詩音たちは森にやってきた。森には爆音と悲鳴が鳴り響き、炎や閃光が上がっている。
「この悲鳴は!? 大丈夫なのか!?」
「ああ、これはたぶん魔王軍のだな。我々エスティアス村の優秀な魔法使いが、魔王軍が襲撃してくるたびにこうやって対応してるんだ」
「これ俺たちいるのかな」
突然後方の草むらからゴブリンの小隊が飛び出してきた。
「ハァ……ハァ……ここまで来れば……な! ここにも人間が!!」
「なんか逃げてきたっぽいなこいつら」
こういう時、人が魔物から逃げた先にゴブリンがいて絶体絶命というのがよく漫画で見る展開だが、まさかこの世界では立場が真逆というのもあり得るのかと詩音は思った。
「グッ……後ろも人間がいる……もうここでやるしかない! オマエラ! 行くぞ!」
ゴブリン小隊は覚悟を決めたようだ。
「詩音くん。下がっていなさい」
「いやマクシムさん。せっかく出てきたんですし、技の披露もかねて自分が行きますよ」
詩音は軽く拳を握り、構える。
まず先頭のゴブリンが飛びだしてくる。詩音はタイミングを計り、踏み込んだ。
「島原流、閃拳」
ゴブリンの顔面を詩音の拳が叩いた。後から遅れて、拳が当たった音が聞こえる。
一体はダウンしたが、そのほかのゴブリンは臆することなく臨戦態勢を維持する。
次は数に物を言わせて4体が四方から攻めてきた。詩音は、まず前方の一体めがけて閃拳を放つ。そのすきに後方のゴブリンが武器の斧を振り下ろす。
「島原流、三日月宗近」
詩音は後方のゴブリンの斧を足で受け止めた。
三日月宗近は、名を天下五剣である刀剣からとっており、過酷な修行により自身の手足を名刀のように強靭でしなやかなものにする技だ。
ゴブリンは斧を振り回す。詩音はそのことごとくを足で受けきる。
「チェイサァ!」
詩音は足をふりおろす。ゴブリンは体が縦に真っ二つになった。
左右のゴブリンは同時に攻撃した。詩音は足でゴブリンの首をはね、残りのゴブリンたちに向き直る。
「残り五体か。さっさと終わらせよう」
今度は詩音がゴブリンたちの所へ飛び込む。
初撃は一番近いゴブリンに飛び蹴りを食らわせる。着地するとすぐに二体目を突く。三体目は上から襲ってきたので滞空中に回し蹴りで蹴り飛ばす。最後は何かにつまずいて倒れていたところを下段突きで沈めた。
「ふう……ざっとこんなもんかな」
「やはり君は素晴らしい! ぜひ婿に入って継いでくれ!」
「その話はまた今度で……」
そのとき、魔王軍を追い払ったという趣旨のアナウンスが放送された。
「いやーいい運動したぜ」
「それにしても魔王軍はなぜここを攻めているんだろうか」
クレアが素朴な疑問を口に出す。
「それが分からんのだよ。ただ我々は、最近魔王軍がこの近くに進駐してきたから魔法の実験の的にして色々打ち込んでいただけなのだが……一体なぜ……」
「絶対それだと思う」
「だがどんな理由にせよ進駐した魔王軍は倒さなければなるまい」
「その通りだ。しかし向こうの本拠地までは行けてないのが現状だ。なんでも魔王軍幹部が直々に指揮を取っているらしくてな。」
「それで防衛はできるが攻撃に転じることはリスクが大きいってことか」
「まあ、こっちも被害があるわけじゃないし、防衛し続けていればいつかいなくなるだろう。それはそうと、今日はもう暗いしうちに泊まっていきなさい。」
詩音たちはマクシムのご好意に甘えることにした。
その日の夜、マクシム家ではご馳走が振舞われていた。
「ここ、コンロとかレンジみたいなのもあるのかすげぇな」
「美味い! 美味いぞ!」
「あなた、バンガードのくせして行儀が悪いですよ。一体何を習ってきたのか……」
「母さんの味、懐かしいです。」
「喜んでもらえて何よりだわ。そうだ、皆さんの旅の話を聞かせて貰えないかしら」
詩音たちは今までの仲間との出会いや冒険の日々を語った。話は大いに盛り上がり、日付が変わろうかという時間まで続いた。
「面白かったわ。あら、もうこんな時間。皆さん今日はもう休みなさい。部屋を用意するわ」
空き部屋はたくさんあり、屋敷の広さをとても感じた。
「ごめんなさいね。部屋が3部屋しかないの」
「え、明らかにもっとあるでし」
「ないの」
「お、おお」
「それで、ルナと詩音くんで一部屋使ってね」
「いや、それは問題があるのでは」
「ドリーム」
クレアとクリスタは魔法にかけられ、眠らされた。
「ヒェッ」
「あらあら、2人ともとても眠かったのね。2人は私が寝かせておきます。ささ、おふたりもゆっくり休んでね」
そういうと、詩音とルナは部屋に押し入れられた。その時ルナに向かって、
「チャンスはあげたんだからやることやっちゃいなさい」
という言葉が聞こえたが、何も聞かなかったことにしたいと詩音は思った。
「この悲鳴は!? 大丈夫なのか!?」
「ああ、これはたぶん魔王軍のだな。我々エスティアス村の優秀な魔法使いが、魔王軍が襲撃してくるたびにこうやって対応してるんだ」
「これ俺たちいるのかな」
突然後方の草むらからゴブリンの小隊が飛び出してきた。
「ハァ……ハァ……ここまで来れば……な! ここにも人間が!!」
「なんか逃げてきたっぽいなこいつら」
こういう時、人が魔物から逃げた先にゴブリンがいて絶体絶命というのがよく漫画で見る展開だが、まさかこの世界では立場が真逆というのもあり得るのかと詩音は思った。
「グッ……後ろも人間がいる……もうここでやるしかない! オマエラ! 行くぞ!」
ゴブリン小隊は覚悟を決めたようだ。
「詩音くん。下がっていなさい」
「いやマクシムさん。せっかく出てきたんですし、技の披露もかねて自分が行きますよ」
詩音は軽く拳を握り、構える。
まず先頭のゴブリンが飛びだしてくる。詩音はタイミングを計り、踏み込んだ。
「島原流、閃拳」
ゴブリンの顔面を詩音の拳が叩いた。後から遅れて、拳が当たった音が聞こえる。
一体はダウンしたが、そのほかのゴブリンは臆することなく臨戦態勢を維持する。
次は数に物を言わせて4体が四方から攻めてきた。詩音は、まず前方の一体めがけて閃拳を放つ。そのすきに後方のゴブリンが武器の斧を振り下ろす。
「島原流、三日月宗近」
詩音は後方のゴブリンの斧を足で受け止めた。
三日月宗近は、名を天下五剣である刀剣からとっており、過酷な修行により自身の手足を名刀のように強靭でしなやかなものにする技だ。
ゴブリンは斧を振り回す。詩音はそのことごとくを足で受けきる。
「チェイサァ!」
詩音は足をふりおろす。ゴブリンは体が縦に真っ二つになった。
左右のゴブリンは同時に攻撃した。詩音は足でゴブリンの首をはね、残りのゴブリンたちに向き直る。
「残り五体か。さっさと終わらせよう」
今度は詩音がゴブリンたちの所へ飛び込む。
初撃は一番近いゴブリンに飛び蹴りを食らわせる。着地するとすぐに二体目を突く。三体目は上から襲ってきたので滞空中に回し蹴りで蹴り飛ばす。最後は何かにつまずいて倒れていたところを下段突きで沈めた。
「ふう……ざっとこんなもんかな」
「やはり君は素晴らしい! ぜひ婿に入って継いでくれ!」
「その話はまた今度で……」
そのとき、魔王軍を追い払ったという趣旨のアナウンスが放送された。
「いやーいい運動したぜ」
「それにしても魔王軍はなぜここを攻めているんだろうか」
クレアが素朴な疑問を口に出す。
「それが分からんのだよ。ただ我々は、最近魔王軍がこの近くに進駐してきたから魔法の実験の的にして色々打ち込んでいただけなのだが……一体なぜ……」
「絶対それだと思う」
「だがどんな理由にせよ進駐した魔王軍は倒さなければなるまい」
「その通りだ。しかし向こうの本拠地までは行けてないのが現状だ。なんでも魔王軍幹部が直々に指揮を取っているらしくてな。」
「それで防衛はできるが攻撃に転じることはリスクが大きいってことか」
「まあ、こっちも被害があるわけじゃないし、防衛し続けていればいつかいなくなるだろう。それはそうと、今日はもう暗いしうちに泊まっていきなさい。」
詩音たちはマクシムのご好意に甘えることにした。
その日の夜、マクシム家ではご馳走が振舞われていた。
「ここ、コンロとかレンジみたいなのもあるのかすげぇな」
「美味い! 美味いぞ!」
「あなた、バンガードのくせして行儀が悪いですよ。一体何を習ってきたのか……」
「母さんの味、懐かしいです。」
「喜んでもらえて何よりだわ。そうだ、皆さんの旅の話を聞かせて貰えないかしら」
詩音たちは今までの仲間との出会いや冒険の日々を語った。話は大いに盛り上がり、日付が変わろうかという時間まで続いた。
「面白かったわ。あら、もうこんな時間。皆さん今日はもう休みなさい。部屋を用意するわ」
空き部屋はたくさんあり、屋敷の広さをとても感じた。
「ごめんなさいね。部屋が3部屋しかないの」
「え、明らかにもっとあるでし」
「ないの」
「お、おお」
「それで、ルナと詩音くんで一部屋使ってね」
「いや、それは問題があるのでは」
「ドリーム」
クレアとクリスタは魔法にかけられ、眠らされた。
「ヒェッ」
「あらあら、2人ともとても眠かったのね。2人は私が寝かせておきます。ささ、おふたりもゆっくり休んでね」
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