俺の武術は異世界でも最強だと証明してやる!

ぽりまー

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ルナとエスティアス村

27話

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「まずいな」

 魔王軍幹部の襲撃に続いて、部下たちも続々と村に侵入してきていた。

「どうします? 先にあちらからやりますか?」

「いや、あれを見てみろ」

 村からは、騒ぎに駆け付けた村人が魔物たちの方へ向かっていた。

「あ! 君たちはルナの仲間だな! こっちは俺たちで何とかするから君たちは向うで暴れてるやつを頼む!」

「わかった!」

 そうしてまた走り出した。

 しばらく行くと男が一人破壊行動を行っていた。

「ふん。誰かと思えばさっきの奴か。だが二人だけとは舐められたものだn」

 詩音はクラッシュが話し終わる前に飛び蹴りを食らわせた。

「ゴハッ…………お前、まだ人が話してる途中だろうが!」
「俺はお話しに来たんじゃないんだ。あんまり舐めてるとすぐ終わるぞ」
「お前、俺を怒らせたなぁ。手加減してやろうと思ったが、すぐにぶっ殺してやるよ。エレメントクリエイション!」

 クラッシュは魔法を唱えた。すると何もない所から無数のナイフが出現した。

「なんだそりゃ」
「俺の魔法は物質を生成、操作する! これでお前をめった刺しにしてやるぜ!」

 大量のナイフが詩音に向かって発射された。

 クリスタが物陰に掛けるのを見ると、詩音は技の構えに入る。

「島原流、廻旋受流し」

 風の渦を作り、ナイフはそれに飲まれて四方に飛んで行った。

「ナイフじゃ俺には通用しないな」
「ならばこれはどうだ!」

 次はロングソードが出現し始めた。

「まだこれだけじゃないぜ」

 そして詩音の周りに腐卵臭を放つ水たまりができた。

「なんだこれ」
「毒を作ったのさ。触れたら溶けてやばいぜ」
「周りは硫酸の池、そして目の前は大量の剣。結構やばくなってきたなコレ」
「命乞いをしても無駄だ! しねィ!!!」

 剣が詩音に放たれた。



 詩音とは反対方向でも戦闘が起ころうとしていた。

「ふーん。誰かと思ったらあのおばさんの副官の子じゃん。急に魔王様を裏切ってどっか行っちゃったけど、生きてたんだね」
「過去の話です。今はヒメラさんも敵ですから、覚悟しておいてください」
「へー、強気じゃん。私よりも強いと思ってんの? そういえばあんたとちゃんと戦ったことないし、ここでどっちが強いか白黒つけようや!」
「ルナ、私の後ろに下がっていろ」
「なんだこのごつい女は、邪魔だねぇ」
「ご、ごつくはないだろ!!!」
「あんた邪魔だから、こいつらの相手でもしてもらおうか」

 様々な場所から触手が出現した。

「これは私が使役している悪魔。こいつらと遊ばせてあげるから邪魔しないでね」
「ま、また触手か―――!!」

 クレアは半泣きになりながら触手に切りかかる。

「これで一対一だなルナ。爆炎の魔法使いと冷血の魔法使いの対決か。面白いことになってきた!」
「私にはどうでもいいです。ただここで暴れるのが許せないだけです」
「流石冷血。でも昔よりは丸くなったか? まあいいや。じゃ、行くから。ヘルファイア!」

 ヒメラは魔法で地獄の業火を召喚した。

「アイスウォール」

 ルナは氷の壁を作り、魔法を防いだ。

「アイスウォール程度でこのヘルファイアを防ぐか……やっぱルナだわ。でももう昔の私じゃないよ、ルナ」

 そういうと更に大きな炎を召喚していく。

「これだけ大きかったら、ルナは防げるかな?」

 ルナもそれに呼応して魔法を詠唱していた。

「その程度、私には効きませんよ?」
「言うじゃねえか。ならくらってみろ!」

 両者魔法の詠唱が完了した。

「ヘルファイア!」
「クリスタルウォール」

 両者の魔法がぶつかり、大きな爆発が起こった。しばらく周りに粉塵が舞い、視界が全く取れない状態が続いた。



 場所は変わって、クラッシュがロングソードの雨を詩音に降らせた。

「島原流、三日月宗近」

 詩音は右足を刀にし、降ってくる剣をはじきまくった。

「うおおおおおおおおおおおああああああああああああ!!!!!」

 すべてをはじききったが、詩音の右足はボロボロになっていた。

「あっはははははは!! おもしれえなお前! 足で全部弾いちまうなんてよ! だがそんな足じゃもう戦えないなぁ」
「ヒール」

 物陰にいたクリスタが詩音に回復魔法をかけた。詩音の右足はみるみる回復していく。

「サンキューなクリスタ。さて、次はこっちの番だぜ」

 クラッシュは自身に金属をまとった。

「来い! 俺のこの体系はどんな攻撃も弾いちまうぜ!」

 詩音はクラッシュの前で構える。半身の姿勢で、左手は前で開いて構え、右は腰に添え、軽く握る。

「島原流、撞木しゅもく

 詩音は少し大振りに渾身の力で突きを送り込む。まとった金属をいともたやすく突き破り、クラッシュの腹部に大きなへこみを作った。クラッシュは血を吐き、倒れる。

 島原流撞木とは、大振りで一撃に渾身の力を込めて放つ突き技で、隙が大きいが島場流でも最大級の威力を誇る技である。門下生は毎朝毎夕寺に赴き、寺の鐘を突きで鳴らす修行をやらされる。未熟者は一突きで拳がつぶれるが、それでも打ち続けなければならず、すべて突いても拳が無傷で、なおかつてらから離れた場所でもはっきりと音が聞こえる様になれば技を習得したと判断されていた。ちなみに、詩音は技の完成時、鐘を粉砕し、住職にめちゃくちゃに怒られた。

「もろいなぁ」
「こ、今回はちょっと油断しただけだ。次は本気で行くぜ」

 そういうとクラッシュはまた体を金属で覆った。

「どうだ! これはさっきの金属よりもはるかに硬いぞ! なんせ俺が見つけた中で一番硬いものを使っているからな!」
「ならもっかい行ってみるか。島原流、撞木」

 詩音はもう一度技を繰り出す。しかし、今度は少し傷が入った程度でほとんど損害が無かった。

「ははは! やはりこの金属は何も効かん!」
「いってぇ。手が腫れてるわコレ……」
「どうすることもできまい! あとはこのまま剣を大量に作って村に降り注げば終わりだぜ。お前はそこで黙ってみてな!」

 詩音が歯がゆく思っていると、後方から何かが爆音とともに走ってきていた。

「なんだあれ。え? なんでこの世界にあんなもんが」

 後方からはしってきたものは、なんと90式戦車だった。

「エスティアス村ってこんなのもあるのか……」

 後方の戦車が突然発砲した。直後クラッシュに直撃し、金属の皮膚にへこみをつけた。

「うそだろ。戦車でも凹ませるだけなのかよ……」

 詩音がもう一度後方を見ると、戦車は姿を消していた。代わりにマクシムが走って向かってきている。

「マクシムさん! さっきの戦車もマクシムさんが?」
「なんだそれは。知らんな。それよりあったぞ。これを使ってくれ。うちに伝わる剣だ。見たことない形状だから使えないかもしれんが」

 詩音は剣を受け取った。

「これ、日本刀じゃねえか。エスティアス村ってこんなのもあるんだぁ」
「知っているのか? 確か名前があって、キヨミツだったかな」
「清光か。使わせてもらいます!」
「ですが詩音さん。あの敵、切れるんですか?」
「解かんない。でもやってみると案外何とかなるかもしれんぞ」

 詩音は帯に清光をはさみ帯刀した。

「じゃあ、切ってみるか!」



 



 


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