『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

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第一章★

013:トリガーハッピー狂犬女アリス。

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――同時刻
■大凶高校_校庭
 (アリス)


校庭にはあたいと副会長。
あとはそこらじゅうで生徒が乱闘しあっている。

あたいの役目は相手高校の幹部の抹殺だと言われている。丁度いい。特に今日はむしゃくしゃしている。だから殺す。

目の前にいるザ草食系っぽい優男は特にムカつく。

優男はトーストでジャムを塗った面が落ちた時なみに苛立つ。つまりあいつは殺す。確定だ。

あたいは女なのに第一線に選ばれているのは色々理由はあるが躊躇いがないのも理由の一つだろう世の中、単純なのが一番なんだ。

あたいは支給品のマシンガンを構える。これはただのマシンガンではない。弾丸の代わりに高エネルギーの光の弾が出る。

あたいは額にへばりつく金髪を横に流し、いきなり乱射した。

「そんなに急がなくても相手しますよ」

副会長とかいう野郎はランス西洋の槍で簡単に防ぐ。日本の槍と違って横の面積が大きく先端に近づく程細くなり尖っている。使い方によっては盾にもなる優れものだ。

本来、相当な力がないと持ち上げることすらできなさそうだが、あいつは軽々とやっている。

へー、武器はなかなか。あれは勝ったら戦利品としていただこう。

あたいはスカートというのも気にせず跳躍し、空中から乱射する。

奴はランスで弾を全部防ぐ。

ほほう。いいね。
ワクワクするぜ。

この相手を殺すために色々と考えたりするのハマっちまいそうだ。

奴はランスを構え、意外と素早い動きであたいに迫る。あたいは後ろにジャンプをし、校舎の壁を駆けながらマシンガンを乱射する。

レベルに応じて身体能力が向上すると"ホトケ"が言ってた。あたいも初期ステータスにしては高レベルだから、身体能力はかなり向上している。測ったわけじゃないが100メートル10秒台は軽いだろう。

あたいと優男は校舎の壁を駆けながら、攻撃を仕掛ける。

優男はランスを伸ばしたり強大化させてあたいを倒そうとしてくる。伸縮が自在にできるとは便利な武器だ。

「さすが戦場の第一線に出てくるだけありますね。女性だと舐めていたらやられそうですね」

「あぁ?つべこべ言ってねえで早く来い!」

優男は不意に動きを止め、地面に降り立つ。

あたいも空中から降り立ちマシンガンだけは優男に狙いを定めていた。

中庭にはあっちこっちから喧騒や悲鳴が聞こえ続けている。だがだいぶ死んだようでさっきよりはさっぱりしてきている。まあ、どちらがやられていようと関係はない。

ホトケさえ、やられなければ負けないし、ザコに興味はない。あたいは強い奴は大好きだが弱い奴はゴキブリやフナムシより嫌いだ。

優男はランスを振り下ろすがそれを軽く避ける。

あたいは金髪の髪を後ろにやり、スカートを正す。きっとあの優男にはパンツ丸見えだったかな。死ぬ前に良いもの見れたろ。冥土の土産ってやつだ。

あたいはマシンガンから光弾を乱射する。

――パララララララララララッ

その光弾を優男はランスで弾こうとするがあたいはその光弾を空中爆発させる。

中庭の地面が削られ、砂塵が上がる。くそ、煙いな。奴の姿が見えない。でも、手応えはあった。

不意に、鋭い目線を感じとり、あたいは真横に跳躍する。あたいがいた場所にはランスが突き刺さっていた。

「良い武器ですね。使い方も上手いです」

「ほう、褒めてくれるのかい?お礼にあたいがオメーの脳味噌とこの弾丸の挙式を上げさせてやるよ。嫌でも永遠の愛を誓わせてやるぜ」

「乱暴ですね。容姿はわりと好みなのに…」

「うるせー。殺す」

あたいはマシンガンを乱射し、光弾を空中爆発させる。

それを優男がギリギリで避ける。まあ、それは想定内だ。

マシンガンの能力には空中爆発以外にもあり、光弾モードと光線モードへの切り替えがあるようだ。よく見ると拳銃の持ち手の部分にボタンがある。

行くぜ。

あたいはモードを切り替え、接近してくる優男の頭にポイントする。トリガーを引き、光線が走っていく。

「…! 」

優男は驚いたようで咄嗟に身体を方向転換するが間に合わない。

光線は優男の脇腹を華麗に突き抜ける。血を吐き、優男は前のめりにコケる。

「あははは、残念だったな優男?」

優男は脇腹を押さえながら立ち上がる。
血がポタポタと垂れ、地面を赤黒く染める。暗いから奴の表情は分からないがきっと苦しい表情だ。だが優男はあたいに向かって走り出していた。

「まだ動けんのかよ?ゴキブリ並だなオメー」

「なめないで下さい。一応、逞しい男ですから」

奴はランスを伸ばしながらあたいに突いてくる。すぐに横に避けて回避し、マシンガンを放つ。

あり?

「うっ……ぐふっ! 」

背中に衝撃が走る。
何かが突き刺さる感触。あたいは背中に手を伸ばすとべっとりと血が付着する。

おいおい。でも奴は動いてないぞ。動けるような状態じゃねーはずだ。

「これでおあいこですね」

優男は脇腹を苦しそうに押さえながらも、あたいに微笑みながら言う。

「乙女の柔肌を傷つけるったぁ良い度胸だ。殺してやる。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねっ!! 」

レーザー型の光線を乱射し、所々、中庭の地面が焼ける。

しかし、また不意に今度は肩に衝撃が走る。生温かい血液が腕を伝う。

どうなってんだ?

奴は動いてない。それに力に差があって動きが見切れてないということもないはずだ。レベルがかけ離れているならまだしも、レベルはほぼ同レベルだ。MSPの赤外線で見なくても分かる。あたいと同じ110から120そこらだろう。
だとするとこれも奴の武器のランスの能力なのか?

「……! 」

「後ろががら空きですよ」

あたいの背中にまた衝撃が不意に、走る。

「……ぐっ!な、何がおきているんだ? 」

奴の不思議な技を見切れないとあたいはおそらく負ける。
肩と背中からは今まで出したことのない量の血が出ていた。

「どうですか?
話す気にはなりましたか? 」

「おめーに話すくらいなら老人とワイ談する方がまだましだ! 」

優男は余裕を装ってはいるがやはり脇腹のダメージはでかいみたいだ。

血が地面に水溜まりみたくできていた。

そういえば、
あいつはあたしに接近してきているならあたいの周りにも血が飛び散っているはずだ。何故、あたいの周りの地面は綺麗なんだ。

もしや、
奴の不思議な技の正体は超高速技と思っていたが本当は瞬間移動みたいな感じなのか?

いや、違う。

血が飛び散っているのは今、奴がいる場所だけだ。そこ以外には血が飛び散っていない。奴は動いてない。
なら、考えられるのは…

「おい、優男? 」

「なんでしょうか? 」

「おめー…の能力移動系といったところか?」

「おや、バレましたか…!! 」

合っていたようだ。

「おめーは実際、動いていない。おめーの足元に溜まりつづけている血がそれを語っている。そうなるとランスだけが動いているとしか考えられねぇ 」

ランスだけ空間移動できる。これが奴の隠された能力だ。間違いない。

「……頭が良いですね。知能指数は低そうに見えてたので驚きました。おおよそ正解です」

「なら、話は早い。あんたがもうそこから動けないことが判明した」

「……参りましたね」

あたいは奴に向けて銃口をポイントしトリガーを引いた。

「仕方ないですから相討ちといきますね」

「…! 」

奴はランスの先端を空間に出現した黒いホールに突っ込んだ。
その瞬間にあたいの背中に何かが突き刺さった感触がした。光線は奴の腹を突き抜ける。

ちっ、相討ちかよ。

意識が遠退き、冷たい校庭に倒れ込む。あたいにはそれがスローモーションで見えていた。

……くそ…なんか自分が情けねぇ。

あたいはまだ死ねないんだ…

ナイトメアでしかできないことがあるんだ…

あたいの意識はそこで消えた。


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