『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

文字の大きさ
17 / 85
第一章★

014:大量の消滅。

しおりを挟む


――さらに同時刻
■大凶高校_校舎内
 (上杉 昇)


生徒の1人が時間稼ぎに戦ってくれると言った。俺は最優先すべきことを考え屋上から他の生徒を連れて降りた。

20人くらいを引き連れて移動をする。皆、選りすぐりのメンツで相手代表への奇襲のために編成されている。

それにしても生徒会長は何故前線に来ないのだろうか。恐らく校内で一番強いはずだ。生徒会のメンバーも草壁さんしか来ていない。会長なりになんか考えているのだろうか。

――タッタッタツ

走りながら俺は考える。それにしても相手はどうなっているんだろうか。

色々な場所から悲鳴や銃声、金属音が聞こえるから戦闘は行われている。だが、予想では大凶高校に乗り込む途中で敵と接触するはずだった。

なのに大凶高校は立心館の攻撃陣をすんなりと敷地まで受け入れていた。どういうことだろうか。

俺達は暗い廊下を走り階段を降りる。
広い空間に辿り着く。

ここは体育館のようだ。高い天井からはわずかながら明かりが灯っている。なんか薄暗い。あえてそうしているのだろうか。

「………! 」

気づく。体育館の地べたには何人もの殺されてしまった生徒が横たわっていた。

ん?なんか…なんだろう。だが、敵味方両方だが傷のつき方がややおかしく思えた。

「あのー…上杉さん。なんか変じゃないですか?」

ふと後ろから話しかけられる。確か、体を金属に変える靴を使う女だ。名前は植村だっけ。ツインテールの可愛い女の子だ。

「ああ、確かにな。まるで一太刀で一気に全員を切り捨てたような殺られ方だな」

――ガタ

物音がし、生徒達に緊張が走る。俺は辺りを見回すと体育館の端に動く人影がいた。俺は他の生徒を待機させ、その人影に近づく。制服は俺達と同じだから味方か。

「お前だけか生き残りは? 」

「あ、ああ……」

生き残りは男で手には支給品と思われるボクシンググローブを着けていた。

――シュュュュュュュッ

急に辺りが騒がしくなる。よく見ると周りの死体から白い煙が出ている。

『し、死体が消滅していく!? 』
『な、なんで!?』

生徒の何人かがヒステリック気味に叫び混乱している。俺もさすがに驚いていた。

あっちこっちで悲鳴が上がる。

死んでいる死体が消滅していっていやがる…。死んだら消えるのか。死んだら何も残らないのかよ…。生きていた痕跡すらも。

「…皆一撃で死んでいったんだ。妙な…武器で」

ボクシンググローブの男は震えながら呟く。

「仲間は誰に殺られたんだ?教えてくれ」

「……キタムラって名乗ってた」

なるほど…大凶高校で高Lvのうちの1人と聞いている。そいつがこのあたりにいるのか。

「よし、お前は怪我はあるか? 」

「ない…です」

怪我がある奴は戦闘終了さえしていれば立心館の体育館に強制送還されるらしい。これは俺達の高校だけで、回復組の誰かさんの能力ならしい。

「よし、お前の名前は?俺は上杉 昇」

「藤吉 和義です。二年生の…」

「ウチと同じクラスの男の子です。先ほど屋上に残った芹澤君ともクラスメートです」

「そうか。分かった」

もう既に体育館はすっかり戦いの跡がなくなっていた。血も死体も。

俺がB班の生徒達の場所へ藤吉と戻ろうとした時どこからか足音が聞こえた。

――コツ
――――コツ

体育館に足音とハキハキとした男の声が聞こえる。

「やあ、君達は立心館の学生達かい?」

――ヒュオッ

どこか飄々ひょうひょうとした声がする。同時にビュオッっと風切り音がし、B班の生徒達の体に線が走った。

「……!! 」

体が半分になる。上半身がボトボトと牡丹の花のように崩れ落ちていく。

「――うわぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁッ!! !!」

藤吉は頭を抱え悲鳴を上げる。
混乱しているようで我を忘れている。

俺は足音と声のした方を見ると、天然パーマの不思議な人物がいた。服装は勿論、制服で手には変なヒモみたいな物を持っている。いや、鞭か。

「あ、危なかったですっ!上杉さんは大丈夫ですか? 」

さっきの攻撃を金属化で逃れたのか植村が俺の所に駆け寄ってくる。

「おい、二人は逃げろ。ここは俺が残る」

俺は二人に大声で言う。ただ、嫌な汗が噴き出ていた。正直余裕がなかった。

「い、嫌です!上杉さん1人じゃ死んじゃいます! 」

植村はまだ体育館に残っている。普通の女の子ならもう逃げ出している。意外と勇敢な女の子なのだと俺は思った。見た目は気弱そうでお嬢様みたいな雰囲気なのに。

「大丈夫だよ。皆まとめて殺すからさ。らーくぅーにしてあげるよ」

天然パーマはそう言い、鞭を構えニヤニヤと笑っている。顔は狂気に満ちてる。普通の高校生だったやつが随分と殺人鬼らしくなってるじゃねーか。

少しでも二人が逃げる素振りを見せれば攻撃をしてくるだろう。

「おぉぉおぉぉおぉぉおぉぉおぉォォおぉォォおぉォォおぉォォおぉォォおぉォォおぉォォおぉォォおぉォォおぉォォっ!! 」

俺は二人を置いといて走り出す。さすがに戦いに参加させるわけにはいかない。俺が倒す。

俺は右手の指に嵌め込まれた指輪に視線を向ける。

俺の支給品は指輪だ。上空じゃ魔法の絨毯に形状を変化させた。だが、これは本当の能力じゃない。

この指輪の本当の能力は好きな両手に持てる限りの質量の物に姿を武器変えるというのが能力だ。

存在力をゴッソリ使うから連発はできないがかなりのレアな武器だと分かっている。

「アァあァァッ!!」

指輪は青白く発光する。俺は大きな大剣をイメージする。指輪は形状を変えていく。

俺は片手に大剣を持ち、握り締めていた。

相手はきっと相当の強さのはずだ。気持ちを引き締める。

体育館には対峙する二人。
俺が先に動くか。

「…!! 」

俺は一気にキタムラとの間合いを詰め、大剣をキタムラに突き刺そうとする。

「切り刻んでやんよ」

奴のヒモ状の物が突然発光しだす。同時に跳躍する。奴は上から俺の大剣を真っ二つにした。

「軟らかいね君の武器。手加減が難しいなぁー」

キタムラは着地し、一気に俺に駆け出してくる。

やつのレベルもおそらく100は超えているだろう。俺のレベルは108。勝てない相手じゃないはずだ。戦争は始まったばかりでお互い初期ステータスのままだ。レベルに差はそこまでないはず。

俺は武器を大剣から変えることにする。大剣は接近戦には向かないし、何より奴とは接近戦は避けるべきだ。

右手が再び青白く発光する。俺の手には拳銃がある。どこにでもある普通の拳銃だ。

何発も連続して撃ちキタムラを遠ざける。

普通拳銃の弾なんて見えず避けられないのだがナイトメアに来てから生徒の身体能力は格段に上がっているそのために拳銃の弾を避けるのは難しい話ではなかった。

「へー、便利な支給品だね」

拳銃の弾はキタムラを襲う。奴はそれを全て光の鞭で叩き落としてしまう。まずいな。

「ふふふ、まだまだだね」

「うるせぇ! 」

「その武器は想像したものを創り出すんだろう?思い切って大砲とか戦車とか創っちゃえよ」

「創りたいが限界があるみたいでね。そもそもどこまで創れるようになるのかも分からん」

「なんだ…。つまんねーの」

「…!! 」

「君に飽きちゃったよ」

奴は凄まじいスピードで一気に俺の懐まで来る。

やべぇ。

俺はジャンプし避ける。
俺のいた場所に光の鞭が空を切る。

俺は奴に向けて拳銃を向けて撃つが奴は光の鞭で弾く。跳躍し俺を追ってくる。俺はバスケットのゴールネットを足場に拳銃を撃つがやはり弾かれる。

「死んじゃえ」

奴は鞭を戸惑うことなく俺に向けて下ろしてきた。

…………
……


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...