『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

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第一章★

015:回復エキスパート相坂愛花。

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――開戦から1時間後
■立心館_体育館
 (芹澤 恭二)


 俺は足の痛みに目を覚ます。
 身体を起こし周りを見回した。

 ここは……体育館か?

 立心館高校のだな。
 俺の周りには布団が敷かれていて怪我人が何人も横たわっていた。

 観察していると聞き覚えのある声が近くからする。

「恭二起きたの? 良かった~!」

 沙也加が俺に寄ってくる。
 凄く心配そうな顔をしている。

「恭二、怪我は大丈夫? 」

「ああ、なんとかだ」

 ヒガシのハンマーにやられた足の骨は一応、直っているみたいだ。

「なあ、沙也加? 俺はどうしてここにいるんだ?俺は大凶高校の屋上にいたはずだぞ」

「回復組の相坂さんって女の子の能力なんだけどね、戦闘が終了していてかつ怪我をしている人は転送能力で本部に戻せるんだって。凄いよね~」

「だから、俺はここにいるのか… 」

「そうよ。もう少し休んでて。まだダメージがあるから」

「分かってる。てか、俺の戦っていたヒガシはどうなったんだ? 」

――コツ…コツ

 不意に誰かが近づいてくる気配がした。
 俺は顔を見上げる。

 目の前にはとても綺麗な女性が立っている。

 どこまでも真っ黒で綺麗な長い髪には一糸の乱れもない。モデルや女優ではないかと間違うほどのとんでもなく整った顔。

 これほどの美人にはどうも緊張してしまう。

「生徒会長…ですか? 」

「そうよ。あなたは2班の芹澤君ね。任務ご苦労様」

 やはり生徒会長だったか。近くで見てもやはり美人だ。そして凄い迫力。

 俺は生徒会長の言葉に頷く。
 そして生徒会長は言葉を続ける。

「なかなかあなた大胆な生徒ね。まさか初戦から明らかな高Lv生徒と単独で戦うなんてびっくりしたわよ」

「す、すいません」

「勝ったから良かったけどあなたは貴重な戦力だから無茶はしないでほしいわね。…それはそうと、あなたが戦っていたヒガシだけど死んだわ」

「お、俺が倒したのか? 」

「残念だけどあなたではないわ。手負いだったから他の生徒がトドメを指しといたわ。一応報告」

 なんだよ。やっぱり倒せてなかったんだ。俺は少しがっくりする。

 そんな時、不意に体育館がざわつき始める。会長はそのざわつきの中心に歩いていく。俺達も騒ぎの中心に目線を向ける。

 中からは血だらけの男と女が出てきた。

「草壁…… 」

 生徒会長は男の方に駆けていき、草壁という男ともう一人の女性をこっちまで運んでくる。俺の休んでいる布団の近くに血だらけの二人が寝かせられる。

 男の方は確か副会長だ。女の方は知らないけど金髪に碧眼の日本人とは違った容姿をしている。こんな人、立心館にいたか?

 副会長の方は意識があるみたいで生徒会長が副会長に聞く。

「あなた達の治療は今すぐ始めるわ」

「ありがとうございます」

「それと、その綺麗な外国人みたいな女性はだれかしら? 」

「敵高校のアリスです。まあ、彼女も治療をしてやってください」

 会長は少し考え、頷く。
 二人の治療に入る。

「この子は敵じゃないの?連れて帰ってきて大丈夫?」

「いや、その……。理由は言葉にしにくいんです。ただ、なんか悪い子じゃない気がしたんです。今後、仲間になってもらえればって思って。ただ、拘束はしておいてください。トリガーハッピーなやつなので」

「……了解。あなたはよく頑張ったわ」

「ありがとうございます。それと現時点の戦況はどんな感じですか? 」

 副会長は聞き、会長はMSPを取りだし見る。俺や沙也加も会長を見る。

「初めは学校の敷地内いるのと合わせて初めは500名はいたわ。でも今は100名弱くらいに減っているわね」

 副会長は沈黙し悲しそうな顔をする。

「ど、どっちの方が勝っているんですか? 」

 沙也加が生徒会長に聞く。

「数は私達の方が勝っているわ。でも相手はまだ主力が三人もいて、こっちは上杉の一人だけね」

 会長の表情は特に変わらない。だが悔しそうな辛そうなそんな表情に一瞬なった気がした。すぐにまたいつもの表情に戻る。

 俺はふと、気になり生徒会長に聞く。

「真は生きてますか? 」

「真?ひょっとしてあの刀の男の子のことかしら?」

 会長はどれだけの生徒を把握しているのだろう。

「は、はい。あいつは生きてますか?」

 会長が真を知っているのかは気になるがそれどころじゃない。あいつには死んでいて欲しくない。沙也加も心配そうに生徒会長を見つめていた。

「大丈夫よ。彼ならさっき戦闘で勝ったみたいよ。詳しくは分からないけどね」

良かった。生きてたか。あいつは俺とは色々と正反対の性格をしてるから少し心配だったが良かった。

「あら、回復班が来たみたいね」

女の子が一人駆けてくる。髪はポニーテール。元気そうな女の子だ。

「きゃ、酷いケガ! すぐに治しますね」

女の子はそう言うと右手が青白く光る。金色の高杯たかつきが召喚される。確か御供物とかを乗せるのに使われる足が高くなった皿だ。

徐々に高杯に液体が溢れ、それを副会長の怪我した箇所に垂らしていく。

「あなたが相坂さんですか? 」

「はい。そうですよ副会長さん 」

「ありがとうございます。凄い能力ですね」

「やっぱりそう思います?
私もこの支給品の力にはびっくりしてるんですよ」

相坂さんは次は金髪の女の人に行く。

「この人もですか? 」

会長と草壁さんは頷き、女の子は治療を始める。俺は治療している最中の相坂さんに聞く。

「あの、相坂さん。君が俺をここに帰還させてくれたのか?」

「はい。そうですよー。なんか怪我人を察知して引き寄せる能力がこの高杯にはあるみたいです。勝手にやってくれちゃうんですよーあはは」

「ちょっといいか?」

俺は不意に思い立つことがあり相坂さんに提案をする。

「それで俺を真のいる場所に送ることはできるか? 」

横で沙也加が驚いたように声が上擦りながら俺に言う。

「恭二!? 恭二は体力がまだ回復してないんだから休まないと駄目だよー」

「真が心配なんだ」

相坂さんは俺を申し訳なさそうに言う。

「ごめんね。この高杯たかつきは怪我人を呼び寄せることはできても人は送れないのよ」

相坂さんが申し訳なさそうに答えてくれる。

「大丈夫よ。真なら生き残れるから恭二はゆっくり休んで」

沙也加はそう言う。だが、その言葉はどこか不安をからか震えている。

大凶高校に乗り込んだ時は何故だろうか戦うことだけを考えていた。だけど、ここに来て分かったことというか実感。考えが改まったことがある。本当に人が死んでいるんだ。知り合いや友人や恋人。

皆、誰か大事な人を失っているんだ。でも、戦わなければ俺らは生き残れないんだ。戦い続けなければならない。この戦いの本質が垣間見えたような気がする。

俺は今さらになって恐怖が芽生えていた。何故、俺は普通に殺し合いに普通に参加できてたのだろう。なんか、ここに帰ってきて我に返った、そんな気分だった。

俺達は沈黙する。自分の寝込む布団の一点だけを見つめ考えていた。

ふとそんな時だった。会長がポツリと呟く。

「……そろそろケリをつける時ね」

「…! !」

会長は指示をいくつか出し始めた。体育館がガヤガヤと少しざわつく。

……………
………

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