『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

文字の大きさ
21 / 85
第一章★

017:地下施設と学校間代表「ホトケ」②

しおりを挟む


 ホトケはニシノの後方から動かない。
 まだ、戦闘の意思はないようで、俺達を後方からジーっと観察している。

「やるしかないのか…… 」

 俺は草薙刀を鞘から抜く。
 刀を構えようとする。

「――! 」

 あれ?身体が回復したように思えていたのに力が入らない。何故なんだ?

「おい! 真! どうしたんだよ」

 俺はまだ殆ど戦ってもいないし疲労があるのは変だ。やばい。息苦しい……。地面に膝をつき、苦しそうに呼吸をする俺を藤吉が心配する。

「なんでそんなことに?体力ならさっきまで回復してたのに? 」

 ナルは不思議そうにそして心配しながら俺を見る。俺達を観察していたホトケは笑っていた。

「そこの刀の君は【存在力】をかなり消耗しているようだな」

 存在力?
 どこかで聞いたような見たような…

「………………」

「存在力とは基礎体力や身体能力の向上、武器から発せられる不思議な力を使う時に必要なものだよ。そこの君はそれをかなり消耗している」

「どういうこと?その存在力をもし失うとどうなるの? 」

「簡単なことだよ。…存在感を全く無くした人間は存在している…または生きていると言えるかな? 」

 俺は草薙刀の力を使いすぎたのか?
 それとも使い方が良くなかったのか?

 そんなに力を使った覚えがイマイチない。初めの時なんでただ狼狽していただけだ。

「その存在力とやら回復できるのか? 」

 藤吉がホトケに聞くと意外にも教えてくれる。相当の余裕がある。

「ふむ、基本は1日すれば回復はするな。でも一旦全てを失えば死ぬ。ようするに戦死した人達と同じ運命になる」

 存在力について理解をする。このナイトメアでは存在力が相当重要だってことだ。

 だけど俺って結構、存在力が高かったと思うけど一気に消費しちゃったのか?……まさかさっきのあれだけで??この刀って一体何なんだよ。俺は草薙刀から得体の知れないような恐ろしさを感じていた。

「ちなみに存在力は人のカリスマ度に比例しておる。例えば容姿の綺麗な女性は必然的に皆に注目されるから存在力は高いぞ」

 とにかく俺は草薙刀は使えない。使ったら存在力を使いきってしまう。

「そんな…。どうしよう」

 ナルが動揺する。それもそうだ。俺達三人でも辛いのに俺が参戦できない。
 そのため今や二人。二人でどうこうできるような相手じゃない。

「真君は戦えない。僕らが戦うよ」

 ナルは鎖がま、藤吉はボクシンググローブを構える。

「ナル! まずは遠距離から様子見だ」

「うん!」

 藤吉はボクシンググローブを装着した手でパンチを空中にする。ボクシンググローブからは衝撃波が発生し、ニシノに突っ込んでいく。

「しょぼい攻撃だなぁ!」

 ニシノは無表情に呟く。そんなニシの右手が青白く輝き、手から何かが召喚される。

 手からは円形で真ん中には穴が空いてあり、刃がついてある。一般的な形状とは少し違うがあれは手裏剣だ。

 ニシノはボクシンググローブの衝撃波を難なく避ける。そして手裏剣を二人に向けて投げる。

「うわっ! 」

 藤吉に向かってくる手裏剣を藤吉はギリギリでかわす。ナルは鎖がまでうまく落としていた。

「藤吉は援護を!僕は突っ込むから! 」

「分かった! 」

 ナルは鎖がまのカマを手に持ち屋根を走り出す。接近戦に持ち込もうとする気のようだ。

「……くっ」

 案の定、ニシノは接近戦に向いていないのだろうか、少し焦った表情になる。向かってくる手裏剣を叩き落とし、ナルは間合いに入った。

「さあ、観念し――がはっ!」

「残念だな。俺は接近戦もいけるんだぜ?」

 大量の手裏剣が屋根の下から出てきて四方八方からナルを切り裂いていく。

「がぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 」

 ナルは前のめりになりながらもまだ立ってはいた。それをニシノは思いっきり蹴り飛ばす。

「な、ナル? 」

 ナルは切り傷だらけで血だらけになっていた。

「どうしたのじゃ?その程度なら私と戦うことすらできないぞ? 」

 ホトケは余裕そうに見つめていた。

「まだ僕は死んでないぞ! 」

「お、おい? 大丈夫かよ? 」

 ナルは腹を押さえながら立ち上がりすぐに鎖鎌を投げる。鎖を引いたりしながら巧みに操り、鎖鎌は蛇のようにうねる。ニシノを上手く牽制する。

 ナルの鎖鎌の操り方は見事なものでまるで生きた蛇のようにニシノに襲いかかる。

 しかし、圧倒的Lvの差からなのか、簡単に弾き落とされてしまう。

「もう飽きた。ザコにようはない」

ーーガシィ

 ニシノはなんと襲いかかってくる鎖鎌を素手で掴んでしまう。ナルは慌てて取り返そうとするが、遅かった。

 幾つもの手裏剣が無防備なナルを切り刻む。

「……ぐっ…痛っ、この野郎!」

 ナルは空いている左手に力を込めると青白い光と共に、3本の鎖鎌が召喚される。

 同時に3本もの鎖鎌を操り、ニシノに向かう。ニシノは迫ってくる鎖鎌を後ろに飛んで避ける。

「力の差を教えてやる!!」

 さらに跳躍し、ニシノは空中で掌を青白く発光させる。

「――!! 」

 強大な手裏剣が何枚も出てくる。

「これならにどうだっ?」

 大きなうねりを上げて、藤吉とナルの二人に迫る手裏剣。轟音を響かせながら2人のいる場所に手裏剣が直撃する。

 砂塵が巻き上がる。
 地面が抉られ、地形が変わっている。

「――!?!?」

 ナルは地面に横たわりピクリとも動かない。藤吉はギリギリ避けれたので直撃はしていないものの右足からの流血が酷い。少しずれていたら足がなくなっていた…。

「やべぇ…なんなんだよあの武器…」

 藤吉が震えながら呟き、腰を抜かしていた。もうあの足じゃ動けないだろう。

「――くっ。ちっくしょう! 」

 俺はなんで戦えないんだ。
 酷く悔しかった。

 ナルは生きているのか?
 俺のせいで2人は…

「次はお前だ」

 ニシノは余裕の表情をしていて、徐々に俺に接近してくる。俺は草薙刀を強く握りしめ立ち上がる。

 このまま何もできずに3人が死ぬくらいなら……

「や、やめろよ真!お前はもう存在力がないんだろ! 」

 俺は震えが止まらない。怖い。

 俺はここに来て初めて戦いを挑まれた時、殺される怖さと実感を知った。だからこそ殺し合いはしたくないが死にたくもない。そう思った。

 だけど、殺されるぐらいなら戦ってやる。恐怖で手も足も震えているがだからといって傍観してなんかいられない。

 俺は戦う。
 皆、戦ってるんだ。俺だけが戦わないなんてそんなことできない。

 俺は地面に横たわるナルを見る。
 生きていて欲しい…。

 涙が溢れる。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。

「……安心しろ。君は一発で逝かせてやる」

 大量の手裏剣がうねりをあげて俺と藤吉に迫ってくる。

 あ"ア"あぁアああアあアあああああァアあああっツ!!!!!

 草薙刀を抜刀するが、何もできない。迫り来る巨大な手裏剣に抉られ、大きく吹き飛ばされる。地面に落下が始まり浮遊感が身体を包む。ああ、俺は死ぬんだ。こんなあっけなく。

 訳の分からない世界で訳の分からない戦いで。何もできずに…。

 薄れゆく意識。走馬灯って本当にあるんだな…。沙也加と恭二と過ごした日々が脳内を流れる。

 そんな時。
 浮遊感がなくなる。

 地面にもう落ちたのか?
 身体の感覚ももうまともじゃないのか?

「――よくぞ我慢してくれましたね」

「……!?」

 俺は誰かに支えられていた。

「……あんたは?」

 霞む目で問いかけた。
 男は答えた。

「生徒会副会長の草壁です。よく頑張ってくれました」

「ほう……。お前もかなり深手だと聞いたが、優秀な回復スキルを持つものがいるのかな」

「答える義務はないでしょう?とにかくあなたは私達が相手しましょう」

 ホトケとニシノの表情が少し強ばり、緊張が辺りに走る。

「ふん。ついに主力のお出ましか。良いねえ……ケリをつけようか」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...