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第一章★
019:ホトケの能力。
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■大凶高校_地下室
(草壁 真司)
私はホトケについていく。
かなり奥までのこの地下施設は続いている。
戦闘するには広くて丁度よさそうだ。
いまや後方にある建設中の建物以外は特に障害物はなくただの凸凹した地面が続いている。
ホトケはふと立ち止まる。
「この辺でいいかな。ここにしよう」
「広くていいですね。心おきなく戦えます」
「それは私も同じことを考えていたよ」
ホトケの右手が青白く発光をする。
するとホトケの手元には四角いリモコンのようなものが出てくる。あれがやつの支給品なのだろうか。
ホトケはそのリモコンを操作する。
――ピピッツ
ボタンを押す音がした。
すると同時にホトケの手前の地面がボコボコと動き始める。
何だ???
どんな武器なんだ???
私も右手に力を込めて、ランスを召喚する。ホトケが何かする前にと私は走り出した。
「……はぁぁあっ!!」
――ガキィィィィィィイン”!!!!
ランスをホトケに向けて突き出した時だった。何かが私とホトケの間を塞ぐ。
「これは……まじですか」
私とホトケの間には土?でできた人型の土人形が出現していた。よく観察してみると仏像のような形をしている。
一旦、私は距離を置くために後方へ跳躍するが、土人形は逃がすまいと接近してくる。
そして、土人形は拳で殴りかかってくる。私は迫り来る仏像を蹴り飛ばす。
気付けばホトケはさらにリモコンを操作したのか、土人形は4体になり、俺を囲むようにジリジリと近付いてくる。
これは厄介。てか強い。
こんな支給品もあるのかよ!
「ふふふ、手こずっておるのぅ」
ホトケは楽しそうに笑う。
立心館の方が戦況としてはかなり優勢になっていると思ってたが、こんな能力があるなら、あっという間にひっくり返されてしまう。
迫りくる土人形にランスを突き刺すが簡単に弾かれる。鳩尾に土人形の硬い拳が入る。
「――ぐふっ!!! 」
足が痺れる。土人形一体一体がすごく強い。何より数が多い。
「ははは、苦戦しているようだのぅ。副会長さん 」
多勢に無勢って奴ですからね…。
これは想定外でした。
あまり無理はしたくなかったですけど…
私はまだ本領を発揮していない。このランスの能力はただ突き刺すだけではないです。
私は戦局を変えるべく一旦迫りくる土人形をいなしつつ、準備を進める。
「ふふふ。逃げても無駄だろうに。ほれ!ほれ!ほれ! 」
土人形の一体にホトケがリモコンを向ける。するとその土人形には腕が六本に触れる。そして6本の手を全て私に向ける。何か来ますね。
「――! 」
手から業火が放たれ私に向かってくる。
ぎりぎりのところで横によける。
業火が放たれた場所は真っ黒に焼き尽くされている。
こんなこともできるのか……
あの、リモコンを破壊できれば良いんですが…。奴の周りにはさらに屈強そうな土人形2体がホトケを守っている。
ホトケ……相当Lv高いですね。たぶん140くらいあるんじゃないか。MSP見る余裕がないから勘ですけど。
私のLvで勝てるのだろうか。Lvは122だからかなりの差があるだろう。
そろそろこのランスの力を使いますか。
ここに来るまでにアリスと戦ったことでこのランスの能力は大分把握している。
現時点で発覚している能力は2つ。
一つは伸縮能力だ。
如意棒みたいに伸び縮みする。
もう一つは異次元からの能力で離れたところからでも直接攻撃できる。
だが、問題は存在力の残量だ。
異次元の能力を使うには存在力がもうもたないでしょう…。伸縮の能力だけでホトケを倒さないといけない…。
「どうした。考え事かい? 」
「――!! 」
土人形の3体がいつの間にか急接近していて襲い掛かってくる。
よし…そろそろ存在力を使わせていただきます。
――ドコッ
私はランスを伸ばす。
10mくらいの長さに伸ばし一気に土人形3体を横一文字にランスを振り、吹き飛ばす。
さっきまで苦戦していたのがウソのように簡単に四散する。
「ほう」
その他の土人形も一体ずつ確実に仕留めていく。ホトケは少し驚いた表情をしている。
「……さてと、残るはあなたを守っている2体の土人形だけですね」
砂塵や埃が辺りを舞っている。
私は少々咳き込む。
「ほう……さすが副会長なだけはある。あのアリスを倒しただけはあるな」
「あの狂犬女子ですか。可愛いんですが少々、狂暴ですね」
「大凶高校の数ある不良の中でもNo.4に入るからのぅ。キレたら手をつけられん」
「へー。やっぱり大凶高校ってうわさ通り荒れてたんですね。あれでNo4は恐ろしいです」
私はランスを構え、駆け出そうとした。
「――! 」
「私が何故、わざわざ移動してまで広い障害物のない場所を選んだか理解していないようだね」
唐突に地面が揺れ始める。
先程とは非じゃないぐらいに地面がボコボコとなり地形が変わり始める。
地震?
いや、違う。
「おいおい、まじですか…」
私は見上げる。
目線の先には後方の建設中の建物ぐらいの大きさの土人形がいた。
もれなく大仏のような顔をしていて、無機質に私を見下ろしている。
私からは余裕の表情が一切消える。
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