31 / 85
第二章★
027:生徒会加入とLv上げ。
しおりを挟む――
■生徒会室
(大和 真)
生徒会室の入り口前にやっと到着し、俺達はノックをする。
中から透き通るような聞き取りやすい声がする。俺達は恐る恐る中に入る。
室内には何人か生徒がいた。
でかい長机が部屋の中央にあり、生徒会長は社長椅子みたいのに座っていた。
「生徒会室にようこそ。まあ、椅子に掛けなさい」
俺達は会長が指差す椅子に恐る恐る座る。既に先客がいる。背が高く細身で前髪を上げた色黒の荒々しい男がいた。
「う、上杉さん!? 」
恭二が驚く。
上杉という男は恭二に目線を向ける。
「よう!あの時のお前か?お前も呼ばれたんだな」
恭二は上杉とか言う人と話し始めていた。上杉さんって確かB班の隊長だったっけ?どおりで認識があるわけだ。
俺と沙也加は生徒会室を見回していた。
「入ったのは初めてだけど綺麗だねー!」
「そうだね。少なくとも俺の家の便所よりは綺麗だ」
「大和君、比較対象がおかしいわね」
「ツッコミありがとうございます…」
不意に生徒会長が俺に言う。
今、寒気がしたんだけど。なんか緊張するんだけど。
「……」
「………… 」
沙也加は背筋を無駄にピンと伸ばして座っている。
恭二と上杉さんも話をいつしか止めていて生徒会長をちらちら見ている。
「もう少し、話は待ってほしいわ。まだ来てない人がいるのよ。……来たわ」
生徒会長は入り口の方を見ながら呟く。
不意に扉の方から騒がしい声がした。というか怒鳴り声。
「なんであたいをここに連れてこむ!!さてはレイプだな。この野郎!」
「少しは静かにしてくださいよ。それと私はゴリラを愛でる趣味はないです」
「ぶっ殺すぞ!こんにゃろー。誰がゴリラだ!か弱い乙女に対してよぉー!」
一人は副会長の草壁さんでもう一人はなんと大凶高校の……アリスだっけ?
最初の校庭で拳銃を乱射していた危ないやつ。
「あれ?君も呼ばれたんですね…確か大和くん?」
草壁さんは真ん中分けの髪を掻きながら椅子に座る。
「あ…はい。…なんか呼ばれたんですよね。てかその人、敵ですよね?」
「ああそうだ!!これから監禁されて犯されちまうみてーだ。可哀想だろ?」
なんか、昔の女の不良みたいな長スカートと竹刀が似合いそうだ。
ガラがとんでもなく悪い。立心館にはいないタイプだ。
顔は金髪に碧眼。
ハーフなのだろうか。白人女性のようで凄く綺麗。口は恐ろしく汚いが。
「勝手なこと言うの止めてください…。あなたを連れてきたのは別の理由です!」
生徒会長も俺らも呆然と二人のやり取りをみていた。
「やめてくれーー!!そこは…そこはあたいのプライベートビーチなのぉぉお!!!!」
「ちょっとーー!!!!」
草壁さんはアリスを無理矢理、俺の隣に座らせた。
噛まれないだろうか。なんせ猛犬のようによく騒ぐ。
少しして全員が落ち着く。
これで五人が生徒会長に向いた状態で横一列に並ぶ。
「ふー……やっと話ができそうね。じゃあ、落ち着いて聞いてほしいわ」
いや、アリスは今すぐにも暴れそうだ。
大丈夫か?
生徒会長が深く腰を掛け直し、腕を組む。妙な迫力がある。お世話になったことはないが尋問担当の刑事さんとかこんな感じなのだろうか。生徒会の由川さんがお茶をコポコポと俺らに淹れていく。小柄だが巨乳だ。お嬢様みたいな人で大凶高校戦では弓矢を使っていた。
「さて、本題に入るけど、あなたたちは今から生徒会メンバーよ。よろしくね」
「えぇえ!?!?」
この人…結論から話すタイプだ…。
そしていきなりだった。
俺らは会長の言葉に耳を疑う。
俺は思わず沙也加と目を合わせてキョトンとする。
「あなた達はなかなか戦力になると見たわ。次の大戦の主力になってほしいわ」
あまりに唐突だった。
さらに会長は言う。
「ちなみにそこの三人は…恭二君だったかしら?彼が欲しいからいれるの。二人はおまけね」
そんな気がしていた。
会長は由川さんに出されたお茶を飲みながら次々と話を進める。
「ちなみにあなたたちのクラスの人はどんな武器の人がいたかしら? 」
沙也加に会長は聞く。
「えっ……と、ボクシンググローブや割り箸とか輪ゴムは見ました」
「ええ。生徒会にもデータがあるわ。酷いのになるとごみ袋の人や爪楊枝の生徒も確認が取れてるのよ」
「その人達って大凶校戦の時はどうしてたんだ? 」
恭二は聞く。俺なんて「可哀想だ」とかぐらいしか考えていなかった。
「あぁ?んなもん決まってんだろ。手ブラで戦場に行ってバーンだ。可哀想に」
アリスは金髪を弄りながら乱暴な口調で言う。
「あなたは黙ってなさい。ややこしくなる」
草壁さんはアリスに注意するがあまり意味はないだろう。案の定、暴れていた。
「…戦えない人達は今回は色々なサポートをしてもらってたわ」
「例えば、どういうのだ?」
上杉さんが不意に尋ねる。
「例えば体育館に布団を敷いたりとか救護班のサポートとかね」
「なるほどな…でもよー。そいつら味方の生徒の武器を強引に奪ったりとか喧嘩とかしなかったのか?そういう事するヤツとか絶対いると思うんだが」
上杉さんはあくびをしながら会長に聞く。
「いたわよ。生徒会が常に戦時中も校舎内を見回ってたけどどうも味方の武器を奪うと消滅して死んでいくことが確認されてるし。だから皆にそれを伝えて禁止したわ」
「まじかよ。だから今まで校内であまりパニックが見えなかったんだな」
「そんなところね」
会長は一呼吸置くと俺達を見る。
「話は変わるけどあなた達全員、いちおうランクAの武器を持っているのよね。だから呼んだのよ」
「俺や沙也加なのもそうなの?」
「そうよ。まあ、武器以外はポン雑魚だけどね」
俺達の武器って意外とレアな方だったんだな。ヌメヌメしてて水が飛び出るくらいしかないけど。でも思い出すとクラスメイトとかは大半がただの槍やら盾やらだった。
「あと、あなた達には生徒会長専用の強化制服を来てもらうわ」
会長は部屋を歩き、窓の側にあった段ボール箱を運んでくる。
「はい」
生徒会長は俺達に透明な袋を手渡しする。袋から取り出すと中からは白色の学ランが出てきた。立心館の普通の制服は黒色だ。
「まあ、一般生徒はその黒バージョンね。ナイトメアに発注した特別な制服よ」
「何が違うんですか?一般生徒と」
「防御力ね。あとは耐熱性とか防寒も兼ねてたはず。かなりの優れものよ。それよりさっそく着なさい」
「……はぁ」
「なぁに?大和君?私に脱がして欲しいの?」
生徒会長は才色兼備で完璧ソルジャーで変態の模様です。有無を言わさぬ冷徹な視線を向けている。俺は急いで着替えることにする。俺達は生徒会長に言われた通り男女に別れ、着替えることにした。俺らは白い制服に着替えると、また会議室にぞろぞろと集まる。
「あら、似合うじゃない」
「いや、俺は黒が良いんだが……」
上杉さんはあまり気に入っていないようだ。でもデザインはカッコイイと思う。
「まあさっそくだけどあなた達には仕事があるわ」
会長は社長椅子みたいな椅子に座りながら俺達を一瞥する。
「アリスと沙也加は全校生徒にあなた達の着ているのと同じ強化制服を渡してきてほしいわ。もちろん大凶校の残党にもよ」
「あたいにやらせたら制服とセットで天国行きのチケットも渡しちまうぜ」
「やめなさい馬鹿。あ、上杉はここにいて由川と草野と次の対戦高校の調査をするわ」
会長はテキパキと指示を出していく。残る二人は俺と恭二。
「芹澤君は草壁と行動して。大和君は私と行動しなさい」
「どういうことなの? 一緒に行動って」
沙也加がなにやら心配そうに俺を見ていた。
「修行をするだけよ。困る? 」
「えっ、あ、い……や」
沙也加はなぜか露骨に安心をしていた。なんなんだ。
会長は俺に『ついてきなさい…』 と言い、生徒会室から出ていく。パタンとドアを閉じ、階段を降りる。会長と俺は校舎を出て外に出る。校庭だ。どこかへと向かっているのだろうか。気になり俺は聞いてみる。
「どこに向かってるんですか? 」
「大凶高校の地下施設よ」
いつの間にか、大凶高校は立心館の隣に隣接してあり、渡り廊下で繋がれている。敷地も増えていた。もう合併終わってたんだ…。
「修行だけど私は厳しいから変なのに目覚めないようにね」
何に目覚めるというのだろうか。
俺は聞かないことにした。嫌な予感がしたからだ。
0
あなたにおすすめの小説
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる