『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

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第二章★

027:生徒会加入とLv上げ。

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――
■生徒会室
 (大和 真)

 生徒会室の入り口前にやっと到着し、俺達はノックをする。

 中から透き通るような聞き取りやすい声がする。俺達は恐る恐る中に入る。

 室内には何人か生徒がいた。
 でかい長机が部屋の中央にあり、生徒会長は社長椅子みたいのに座っていた。

「生徒会室にようこそ。まあ、椅子に掛けなさい」

 俺達は会長が指差す椅子に恐る恐る座る。既に先客がいる。背が高く細身で前髪を上げた色黒の荒々しい男がいた。

「う、上杉さん!? 」

 恭二が驚く。
 上杉という男は恭二に目線を向ける。

「よう!あの時のお前か?お前も呼ばれたんだな」

 恭二は上杉とか言う人と話し始めていた。上杉さんって確かB班の隊長だったっけ?どおりで認識があるわけだ。

 俺と沙也加は生徒会室を見回していた。

「入ったのは初めてだけど綺麗だねー!」

「そうだね。少なくとも俺の家の便所よりは綺麗だ」

「大和君、比較対象がおかしいわね」

「ツッコミありがとうございます…」

 不意に生徒会長が俺に言う。
 今、寒気がしたんだけど。なんか緊張するんだけど。

「……」

「………… 」

 沙也加は背筋を無駄にピンと伸ばして座っている。
 恭二と上杉さんも話をいつしか止めていて生徒会長をちらちら見ている。

「もう少し、話は待ってほしいわ。まだ来てない人がいるのよ。……来たわ」

 生徒会長は入り口の方を見ながら呟く。
 不意に扉の方から騒がしい声がした。というか怒鳴り声。

「なんであたいをここに連れてこむ!!さてはレイプだな。この野郎!」

「少しは静かにしてくださいよ。それと私はゴリラを愛でる趣味はないです」

「ぶっ殺すぞ!こんにゃろー。誰がゴリラだ!か弱い乙女に対してよぉー!」

 一人は副会長の草壁さんでもう一人はなんと大凶高校の……アリスだっけ?
 最初の校庭で拳銃を乱射していた危ないやつ。

「あれ?君も呼ばれたんですね…確か大和くん?」

 草壁さんは真ん中分けの髪を掻きながら椅子に座る。

「あ…はい。…なんか呼ばれたんですよね。てかその人、敵ですよね?」

「ああそうだ!!これから監禁されて犯されちまうみてーだ。可哀想だろ?」

 なんか、昔の女の不良みたいな長スカートと竹刀が似合いそうだ。
 ガラがとんでもなく悪い。立心館にはいないタイプだ。

 顔は金髪に碧眼。
 ハーフなのだろうか。白人女性のようで凄く綺麗。口は恐ろしく汚いが。

「勝手なこと言うの止めてください…。あなたを連れてきたのは別の理由です!」

 生徒会長も俺らも呆然と二人のやり取りをみていた。

「やめてくれーー!!そこは…そこはあたいのプライベートビーチなのぉぉお!!!!」

「ちょっとーー!!!!」

 草壁さんはアリスを無理矢理、俺の隣に座らせた。
 噛まれないだろうか。なんせ猛犬のようによく騒ぐ。

 少しして全員が落ち着く。
 これで五人が生徒会長に向いた状態で横一列に並ぶ。

「ふー……やっと話ができそうね。じゃあ、落ち着いて聞いてほしいわ」

 いや、アリスは今すぐにも暴れそうだ。
 大丈夫か?

 生徒会長が深く腰を掛け直し、腕を組む。妙な迫力がある。お世話になったことはないが尋問担当の刑事さんとかこんな感じなのだろうか。生徒会の由川さんがお茶をコポコポと俺らに淹れていく。小柄だが巨乳だ。お嬢様みたいな人で大凶高校戦では弓矢を使っていた。

「さて、本題に入るけど、あなたたちは今から生徒会メンバーよ。よろしくね」

「えぇえ!?!?」

 この人…結論から話すタイプだ…。
 そしていきなりだった。

 俺らは会長の言葉に耳を疑う。
 俺は思わず沙也加と目を合わせてキョトンとする。

「あなた達はなかなか戦力になると見たわ。次の大戦の主力になってほしいわ」

 あまりに唐突だった。
 さらに会長は言う。

「ちなみにそこの三人は…恭二君だったかしら?彼が欲しいからいれるの。二人はおまけね」

 そんな気がしていた。
 会長は由川さんに出されたお茶を飲みながら次々と話を進める。

「ちなみにあなたたちのクラスの人はどんな武器の人がいたかしら? 」

 沙也加に会長は聞く。

「えっ……と、ボクシンググローブや割り箸とか輪ゴムは見ました」

「ええ。生徒会にもデータがあるわ。酷いのになるとごみ袋の人や爪楊枝の生徒も確認が取れてるのよ」

「その人達って大凶校戦の時はどうしてたんだ? 」

 恭二は聞く。俺なんて「可哀想だ」とかぐらいしか考えていなかった。

「あぁ?んなもん決まってんだろ。手ブラで戦場に行ってバーンだ。可哀想に」

 アリスは金髪を弄りながら乱暴な口調で言う。

「あなたは黙ってなさい。ややこしくなる」

 草壁さんはアリスに注意するがあまり意味はないだろう。案の定、暴れていた。

「…戦えない人達は今回は色々なサポートをしてもらってたわ」

「例えば、どういうのだ?」

 上杉さんが不意に尋ねる。

「例えば体育館に布団を敷いたりとか救護班のサポートとかね」

「なるほどな…でもよー。そいつら味方の生徒の武器を強引に奪ったりとか喧嘩とかしなかったのか?そういう事するヤツとか絶対いると思うんだが」

 上杉さんはあくびをしながら会長に聞く。

「いたわよ。生徒会が常に戦時中も校舎内を見回ってたけどどうも味方の武器を奪うと消滅して死んでいくことが確認されてるし。だから皆にそれを伝えて禁止したわ」

「まじかよ。だから今まで校内であまりパニックが見えなかったんだな」

「そんなところね」

 会長は一呼吸置くと俺達を見る。

「話は変わるけどあなた達全員、いちおうランクAの武器を持っているのよね。だから呼んだのよ」

「俺や沙也加なのもそうなの?」

「そうよ。まあ、武器以外はポン雑魚だけどね」

 俺達の武器って意外とレアな方だったんだな。ヌメヌメしてて水が飛び出るくらいしかないけど。でも思い出すとクラスメイトとかは大半がただの槍やら盾やらだった。

「あと、あなた達には生徒会長専用の強化制服を来てもらうわ」

 会長は部屋を歩き、窓の側にあった段ボール箱を運んでくる。

「はい」

 生徒会長は俺達に透明な袋を手渡しする。袋から取り出すと中からは白色の学ランが出てきた。立心館の普通の制服は黒色だ。

「まあ、一般生徒はその黒バージョンね。ナイトメアに発注した特別な制服よ」

「何が違うんですか?一般生徒と」

「防御力ね。あとは耐熱性とか防寒も兼ねてたはず。かなりの優れものよ。それよりさっそく着なさい」

「……はぁ」

「なぁに?大和君?私に脱がして欲しいの?」

 生徒会長は才色兼備で完璧ソルジャーで変態の模様です。有無を言わさぬ冷徹な視線を向けている。俺は急いで着替えることにする。俺達は生徒会長に言われた通り男女に別れ、着替えることにした。俺らは白い制服に着替えると、また会議室にぞろぞろと集まる。

「あら、似合うじゃない」

「いや、俺は黒が良いんだが……」

 上杉さんはあまり気に入っていないようだ。でもデザインはカッコイイと思う。

「まあさっそくだけどあなた達には仕事があるわ」

 会長は社長椅子みたいな椅子に座りながら俺達を一瞥する。

「アリスと沙也加は全校生徒にあなた達の着ているのと同じ強化制服を渡してきてほしいわ。もちろん大凶校の残党にもよ」

「あたいにやらせたら制服とセットで天国行きのチケットも渡しちまうぜ」

「やめなさい馬鹿。あ、上杉はここにいて由川と草野と次の対戦高校の調査をするわ」

 会長はテキパキと指示を出していく。残る二人は俺と恭二。

「芹澤君は草壁と行動して。大和君は私と行動しなさい」

「どういうことなの? 一緒に行動って」

 沙也加がなにやら心配そうに俺を見ていた。

「修行をするだけよ。困る? 」

「えっ、あ、い……や」

 沙也加はなぜか露骨に安心をしていた。なんなんだ。

 会長は俺に『ついてきなさい…』 と言い、生徒会室から出ていく。パタンとドアを閉じ、階段を降りる。会長と俺は校舎を出て外に出る。校庭だ。どこかへと向かっているのだろうか。気になり俺は聞いてみる。

「どこに向かってるんですか? 」

「大凶高校の地下施設よ」

 いつの間にか、大凶高校は立心館の隣に隣接してあり、渡り廊下で繋がれている。敷地も増えていた。もう合併終わってたんだ…。

「修行だけど私は厳しいから変なのに目覚めないようにね」

 何に目覚めるというのだろうか。
 俺は聞かないことにした。嫌な予感がしたからだ。
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