髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

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3章 大学入学編

小鳥遊美奈とのCM撮影 2

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小鳥遊美奈たかなしみな視点~

 今日は念願のリン様とのCM撮影。
 私は森野監督とリン様に挨拶した後、スタッフからもらったブレザーに着替えるため、更衣室にいた。

「かっこいい……写真で見るより何百倍もかっこいいよ……」

 ブレザーに着替えた私は、鏡の前でリン様の顔を思い浮かべて顔を赤くする。

「どうだった、一目惚れした夏目さんは?」

 そんな私に、お母さんである小鳥遊愛菜たかなしあいなが声をかける。

「カッコ良かった……毎日、リン様の写真を眺めてなかったら気絶してたレベルだよ」

 私は『読モ』の表紙を飾るリン様を見て一目惚れした。
 寝る前は必ずリン様の写真を眺めるくらい、カッコいいリン様に恋をしてしまった。

「確かに夏目さんはカッコいいけど、写真を見ただけで恋に堕ちるのはチョロすぎるわ」
「うっ……」

(その通りだけど……これはリン様がカッコ良すぎるのが悪い!あんなイケメン、一目見ただけで恋に堕ちちゃうよ!だから私はチョロくない!)

 今では四六時中リン様のことを考えている私は、心の中でリン様のせいにする。
 そんな私を他所に、お母さんがボソッと呟く。

「まさか美奈が面食いだったなんて……」
「め、面食い言わないで!」

 私はお母さんの言葉をすぐに否定する。

「知ってる?面食いの女っていい評価されないのよ?見た目だけで判断する女だと思われるからね」
「た、確かに面食いってだけで嫌われるけどポジティブに考えて!顔が好みだったら多少の問題があっても気にしない女ってことになるから!」
「それはポジティブに考えすぎよ。夏目さんが女の子を取っ替え引っ替えする男だったらどうするの?」
「え、えーっと……わ、私を1番愛してくれれば気にしない!」
「……はぁ、私の娘が夏目さんのせいでアホになってるわ」

 呆れるような顔で、お母さんが呟く。

「美奈は誰かを好きになった経験がないから気づいてないけど、貴女の愛は異常よ」
「……そ、そうなの?」

 お母さんの指摘に首を傾げる。

「いい?普通の人は好きな人の写真を1日3時間も眺めないの」
「昨日はリン様に会える興奮から5時間くらい眺めてたよ!」
「……はぁ」

 堂々と答える私にお母さんがため息をつく。

「ちなみに今の目標は?」
「打倒、愛甲真奈美と雨宮桃華!」
「………」

 お母さんが頭に手を当てて困り果てている。

「その目標を聞いた時にも言ったけど貴女はアイドルでしょ。女優とモデルに敵意向けてどうするのよ」
「だって、私より先にリン様と仕事したんだよ!そんなの許せないよ!」

 愛甲真奈美はリン様と『おっしゃれ~イズム』で共演し、雨宮桃華はリン様と撮影を行ったらしい。
 そのことを知って私は理解した。

「私の勘では2人ともリン様に恋をしてる!そんな人たちに負けてられない!」

 私は握り拳を作って決意を伝える。

「はぁ、美奈が夏目さんのことを本気で好きなのは理解したわ。でも貴女はアイドルなの。夏目さんと仲良くなるのは反対しないけど、スキャンダルにならないよう注意するのよ」
「わかってる!スキャンダルにならない程度でリン様とイチャイチャしてくる!」

 そう言って勢いよく更衣室から出る。

 そのため…

「はぁ、本当に分かってるのかしら……」

 との呟きは私の耳に届かなかった。
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