髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

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3章 大学入学編

小鳥遊美奈の熱愛報道 1

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 美奈とのCM撮影を終えた数日後。
 大学の講義を終えて家に帰ると、寧々が血相を変えて現れた。

「お兄ちゃん、大変だよ!」

 寧々の声色から無視できない事態が発生していることを感じ取り、俺は表情を引き締める。

「どうした?」
「これ見て!今週の週刊⚪︎春!」

 そう言って寧々がスマホを見せてくる。
 そこには『のぞみ坂47、小鳥遊美奈に熱愛報道!コッソリお散歩デートか!?』と書かれていた。

「え!?美奈に熱愛報道!?」

 数日前、美奈と撮影を行った俺は、その記事を見て驚く。
 しかし、寧々は俺の反応を見て首を横に振る。

「ううん!多分、これは熱愛報道じゃないよ!お兄ちゃんに見てほしいのはこれなんだ!」

 そして寧々が数秒ほどスマホを触り、違う画面を見せる。
 そこにはモザイクで顔を隠された俺と、モザイクなしの美奈が楽しそうに話してる写真がたくさん載っており、その中には俺と美奈が手を繋いでいる写真まで載っていた。

「………え、なんで俺の顔がモザイクされてんだ?」
「あ、やっぱりこの男性ってお兄ちゃんだったんだ」
「あ、あぁ。この服はCM撮影の休憩時間に着ていた服だ」

 それに加え、載っている写真は俺と美奈が散歩した時の写真ばかりで、美奈の服に至ってはポカリ⚪︎エットのCMで使用したブレザーを着ている。
 モザイクされた男性は俺で確定だろう。

「よく気付いたな。この写真の男性が俺ってことに気づくのは寧々くらいだろ」
「えへへっ!お兄ちゃんのことなら全部分かるからね!」

 そう言って寧々が胸を張る。

「って、今はお兄ちゃんに褒めてもらってる場合じゃないんだ!」
「そ、そうだな」

 俺たちは視線をスマホの画面に向け、話をもとに戻す。

「つまり美奈の熱愛報道の相手が俺になってるのか。なんでモザイクされてるかは知らないが」
「ううん、熱愛報道の相手はお兄ちゃんじゃないよ」
「え?じゃあ誰になってるんだ?」
「お相手は一般男性だって」
「はぁ!?」

 その言葉を聞きスマホを確認すると、本当に一般男性と記載されていた。

「だから俺の顔がモザイクで隠されてるのか」
「うん。それで一つ聞きたいんだけど、お兄ちゃんは美奈ちゃんと付き合ってないんだよね?」
「あぁ。付き合ってないぞ」
「なるほど……」

 そう言って寧々が顎に手を当てて、考え事を始める。

「とりあえずSNSで美奈と写ってる男性が俺であることを説明しよう。それから……」
「待って!それはよーく考えた方がいいよ!」
「なんで!?」

 寧々が俺の行動に待ったをかける。

「だってお兄ちゃんもファンを失うことになるんだよ!」
「あっ……」

 その言葉通り、俺と美奈が手を繋いでいる写真が流出している以上、俺は美奈と手を繋いだことになる。
 そのため、美奈と写っている男性が俺であると説明すれば、俺のファンは減少するだろう。

「だから内山社長はこう言うよ。『小鳥遊さんと写っている男性が夏目くんであることは説明するな』ってね」
「くっ!」

 確かにその通りだ。
 説明すればファンを減らす可能性が生じるため、事務所側からすれば一般男性となっていた方が都合がいい。

「きっと美奈ちゃんもそう思ったから一般男性の情報を訂正せず放置してるんだよ!」
「なるほど。美奈は優しい子だな」

 熱愛報道で辛い想いをしているはずなのに俺のことを考えてくれる。
 こんな状況だが、美奈の気遣いに感心する。

「なんで写真を撮った人がお兄ちゃんの顔にモザイクをしたのかは分からないけど………あ、リン様だったら熱愛しちゃうよねって皆んな思うから?」
「そんなわけないだろうが、その辺りは一旦放置しよう。今は現状の整理だ」
「そうだね」

 俺の言葉に寧々が同意する。

「俺の顔にモザイクをしたってことは、撮影した人は俺のスキャンダルを狙ったわけではないってことだ」
「うん。十中八九、美奈ちゃんの人気を地に落とそうとしてる人だよ」

 俺は寧々の発言に頷く。

「ここで俺が選ぶべき選択肢は2つ。写真の男が一般男性ではなく俺であることを説明するか、説明せず静観するか」
「うん、その2つしかないね。ちなみに説明した時はファンが減るかもしれないというデメリットが発生するよ。どうする?お兄ちゃん?」
「そんなの考えるまでもないな」

 そこで一拍置き、堂々と宣言する。

「俺は絶対に美奈を1人にしない!」
「うんっ!それでこそお兄ちゃんだよ!」

 嬉しそうに言う寧々の言葉を聞きつつ、俺はスマホを取り出した。
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