髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

文字の大きさ
49 / 169
3章 大学入学編

小鳥遊美奈とのCM撮影 4

しおりを挟む
 休憩時間を使い、体育館の周りにある散歩コースを小鳥遊さんと歩く。
 普段なら一般の方も歩いているが、撮影のため体育館を貸し切っており、歩いているのは俺と小鳥遊さんだけ。
 そのため変装等はせず、2人並んで散歩する。

「リン様っ!私の演技はどうでしたか!?」

 俺の隣を歩いている小鳥遊さんが笑顔で話しかけてくる。

「とても良かったよ。小鳥遊さんの演技力に引っ張られて、俺も良い演技ができたからね」
「ホントですか!?」
「あぁ。小鳥遊さんは女優の才能もあるかもしれないぞ」
「わーっ!ありがとうございます!」

 俺の言葉を聞いて嬉しそうに喜ぶ。

「あ、そうです!」

 すると、何かを思い出したかのように小鳥遊さんが声を上げる。

「私のことは撮影の時みたいに美奈と呼んでください!」
「……いいのか?」
「はいっ!リン様には名前で呼んでほしいです!」

 ニコニコした顔で言う小鳥遊さんから、心の底から呼んでほしいことが伝わってくる。

「分かった。これからは美奈って呼ばせてもらうよ」
「ありがとうございます!」

 俺の返答に先程よりも嬉しそうな顔をする。
 そんな美奈を見て、自然と笑みが溢れる。

(美奈を見てるだけで元気が出るよ。もしかしたら美奈の笑顔には人を元気にする力があるのかもしれないな)

 そんなことを思う。
 すると「あっ!」と、大きな声を上げた美奈が突然走り出す。

「見てください!リン様っ!魚が泳いでますよ!」

 そう言って美奈が指さしたのは、前方にある大きな池。

「へぇー、池なんてあったんだ」

 体育館と散歩コースしかないと思っていた俺は、池があることに驚く。

「リン様っ、はやくはやくっ!」

 そんな俺に、楽しそうな笑顔で手招きしている。

「あぁ、今行くよ」

 そう言って俺が歩き出そうとすると…

「パシャっ!」

 というシャッター音が背後から聞こえてくる。

「ん?」

 その音が気になり、俺は振り返る。
 しかし背後には誰もおらず、無人の散歩コースが広がっていた。

「今、シャッター音が聞こえたような……」

 そう思い首を傾げていると、“パシっ!”と俺の右手が握られる。

「リン様っ!はやく行きましょ!さっき、鯉が泳いでたんです!」

 そして俺の手を握ったまま池まで走り出す。

「あ、ちょっ!」
「私、泳いでる魚を見るのが好きなんです!リン様も一緒に見ましょ!」

 幸せそうな顔で俺に言う美奈を見て、握られた手を振り払うことはせず、美奈について行く。
 そして池にたどり着いた俺は美奈の手を離して池を見る。

「さっき鯉が3匹泳いでたんです!きっと今も……あっ、あそこに3匹いますよ!」
「おー、泳いでるなぁ」
「可愛いですよね!」

 そんな会話をしながら2人並んで池を眺めた俺たちは、談笑しながら体育館へ戻った。



 体育館へ美奈と一緒に戻り、監督のもとへ向かう。

「さっき撮った内容でOKだから撮り直しはなしだ。2人とも、お疲れ様」
「「ありがとうございました!」」

 とのことで、森野監督から合格をもらった俺たちは家に帰ることとなる。

「リン様っ!今日はありがとうございました!
「こちらこそありがとう。また美奈とは一緒に仕事をしたいな」
「わーっ!それは嬉しいです!私もまたリン様と仕事したいって思ってたので!」

 俺の言葉を聞いてパーっと笑顔になる。

「あ、それと、私はリン様からの連絡をいつでも待ってます!暇な時はいつでも連絡していいですからね!」
「わ、分かった。時々連絡するよ」

 俺と美奈は外を散歩している時に連絡先を交換したため、いつでも連絡可能となっている。

「ぜーったい、連絡してくださいね!」

 そう言って満面の笑みを浮かべた美奈が、俺のもとから立ち去る。
 そんな美奈を見て俺の表情が緩む。

「美奈を見てると元気が出てくるな。さすが大人気アイドルだよ」

 そんなことを思いながら、俺は矢上さんのもとへ向かった。



~???視点~

「ついにゲットした。小鳥遊美奈の人気を地に落とすことができる写真を」

 1人の女性が不敵な笑みを浮かべつつ、スマホで撮った数枚の写真を見る。
 そこには小鳥遊美奈が夏目凛の手を引っ張っている写真や、楽しそうに談笑している姿が写っていた。

「小鳥遊は夏目凛のことが好きみたいだからな。絶対、良い写真が撮れると思ったぞ。これでのぞみ坂47のセンターは私のものだ」

 そう呟いた女性は不敵な笑みを浮かべつつ、小鳥遊美奈たちが撮影を行っていた体育館から移動した。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...