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4章 ゴールデンウィーク編
桃ちゃん家へ 3
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車に揺られること約5時間。
寧々を我が家に降ろした後、俺たちは桃ちゃんの家に到着した。
ちなみに婆ちゃんの家を昼過ぎに出たため、現時刻は18時前だ。
「で、デカい……」
到着早々、家の大きさに圧倒される。
白を基調とした洋風な屋敷が目の前に広がっており、屋敷の大きさは屋敷全体を視界に収めることができないくらい大きい。
庭に目を向けると、大きな噴水と手入れの行き届いた花たちが目に入り、俺たちの近くでは庭師と思われる方が花に水やりをしていた。
「す、すごい家だな」
「そうですね。小さい頃から住んでますので慣れましたが、すごく大きな家だと思います」
そう言いながら桃ちゃんが玄関の扉を開ける。
すると…
「「「「おかえりなさいませ。お嬢様」」」」
数人のメイドが出迎えてくれた。
(おぉ、さすがお金持ち。メイドが出迎えるとか漫画の世界だけかと思ってたぞ)
ズラーっと並んでいるメイドたちに心の中で感嘆する。
「夏目様が来ておりますので対応をお願いします」
「分かりました」
1人のメイドが桃ちゃんに頭を下げて俺のもとへ来る。
「夏目様、お荷物をお預かりします」
「あ、ありがとうございます」
俺は駆け寄ってきた50代くらいのメイドへ手荷物を渡す。
「桃華お嬢様。旦那様は食堂にいらっしゃいます。晩御飯の用意もできておりますので、夏目様を連れてお越しください」
「ありがとうございます」
桃ちゃんの返事を聞いたメイドたちが立ち去る。
「さ、さすが雨宮財閥……」
「ふふっ、これくらいで驚かれたら身体が持ちませんよ」
驚きのあまり変な顔になっていたのか、俺の顔を見てクスッと桃ちゃんが笑う。
「では食堂へ向かいましょう。夏目様のお食事も用意しておりますので」
「あぁ、ありがとう」
今回、夕方頃に会う約束をしたため、桃ちゃんの家で晩御飯をいただくこととなっていた。
(何から何まで2人には世話になってしまった。ほんと、2人には何かお礼をしないといけないな)
そんなことを思いつつ、俺は桃ちゃんと美柑さんの後を追った。
廊下に飾られている高級な絵画や置き物を鑑賞しながら歩いていると、一つの部屋にたどり着く。
「コチラが食堂になります」
そう言って桃ちゃんが扉を開けると、縦に長いテーブルが1つ用意されており、1番奥の上座席に1人の男性が腰掛けていた。
「お父様、夏目様をお連れしました」
「あぁ。まずは夏目くんを席まで案内してくれ」
お父さんの声を聞いた桃ちゃんが、俺を席まで案内する。
「コチラに座ってください」
とのことで、俺は桃ちゃんと美柑さんの前に腰掛ける。
そのタイミングでメイドたちが俺たちに料理を運んでくる。
「食事が並ぶまで自己紹介をしようか」
そう言ってお父さんが一枚の名刺を取り出す。
「今日は来てくれてありがとう。僕は雨宮総一郎。桃華と美柑の父だ」
俺は手渡された名刺を見る。
そこには『雨宮グループ会長』という文字も記載されていた。
「俺は夏目凛です。今日はお迎えだけでなく晩御飯まで用意していただきありがとうございます」
「夏目くんが僕の予定に合わせてくれたんだ。これくらい当然のことさ」
そう言って総一郎さんが笑う。
(想像以上に優しそうなお父さんだ。もしかして緊張してるのがバレたかな?)
雨宮財閥の会長ということで厳格な人かと思い緊張していたが、総一郎さんの柔らかい笑みを見たことで緊張がほぐれる。
そんな会話をしていると、俺の目の前に豪華なディナーが並び終えた。
「夏目くんとの食事ということでいつもより奮発したんだ。遠慮なく食べてくれ」
「あ、ありがとうございます」
フォアグラなどの高級料理を前に顔を引き攣らせながら感謝を伝え、俺たちは料理を食べ始めた。
豪華な晩御飯をいただいた俺は「ご馳走さまでした」と手を合わせて呟く。
「用意したディナーには満足したか?」
「はい。とても美味しかったです」
「それは良かった」
俺の返答に総一郎さんが笑みを見せる。
「では本題へと移ろう」
その言葉に俺は緊張した面持ちとなる。
「今日僕たちが夏目くんを呼んだのは、夏目くんに感謝を伝えるためだ」
「……感謝ですか?」
そんなことをされる覚えがないため、戸惑いながら返答する。
「あぁ。桃華のことを救ってくれてありがとう」
そう言って総一郎さんが深々と頭を下げる。
しかし俺は桃ちゃんを救った覚えなどないため戸惑ってしまう。
「ま、待ってください!俺は桃華さんを助けた覚えなんてありませんよ!」
「いいや、夏目くんは桃華を救ってくれた」
ようやく頭を上げた総一郎さんが言葉を続ける。
「夏目くんは桃華と出会った頃のことを覚えてるか?」
「もちろんです。まぁ、大きくなった桃華さんのことを見て、東條さんの娘さんだとは思いませんでしたが」
俺と桃ちゃんの出会いは、桃ちゃんのお母さんである女優の東條さんと共演した時。
そこで俺は東條さんと一緒にいた桃ちゃんを遊びに誘った。
その日以降、東條さんと共演した時は毎回、桃ちゃんと遊ぶようになった。
「ははっ、9年も経てば桃華に気づかないのも無理ないよ」
「いえ、桃華さんは俺のことを覚えておりましたので、9年ぶりだからといって気付けなかったことを誤魔化してはダメです」
小さい頃、桃ちゃんと遊んだ日々は鮮明に覚えているが、9年ぶりに再開した桃ちゃんを見て、東條さんの娘だと気付けなかった。
そのことを桃ちゃんは許してくれたが、心の中では今でも申し訳なく思っている。
そんな俺の言葉を聞いて、桃ちゃんが口を開く。
「いつまでも気にしなくて良いですよ。気付けなかったことに対しては謝っいただきましたから。それに気付けなかった罪滅ぼしとして連絡先の交換と、昔みたいな関係を築いていただきましたから」
そう言って桃ちゃんが笑ってくれる。
「そうだな……ありがとう、桃ちゃん」
「いえいえ」
俺の言葉に桃ちゃんが満面の笑みを見せる。
そんな俺たちのことを微笑ましそうに総一郎さんが見ていた。
「へぇ、桃華のことを桃ちゃんと呼んでいるのか。可愛いあだ名が付いてるじゃないか」
「あ、あだ名のことは触れないでください!」
笑いながら言う総一郎さんに、桃ちゃんが顔を赤くしながらツッコんだ。
寧々を我が家に降ろした後、俺たちは桃ちゃんの家に到着した。
ちなみに婆ちゃんの家を昼過ぎに出たため、現時刻は18時前だ。
「で、デカい……」
到着早々、家の大きさに圧倒される。
白を基調とした洋風な屋敷が目の前に広がっており、屋敷の大きさは屋敷全体を視界に収めることができないくらい大きい。
庭に目を向けると、大きな噴水と手入れの行き届いた花たちが目に入り、俺たちの近くでは庭師と思われる方が花に水やりをしていた。
「す、すごい家だな」
「そうですね。小さい頃から住んでますので慣れましたが、すごく大きな家だと思います」
そう言いながら桃ちゃんが玄関の扉を開ける。
すると…
「「「「おかえりなさいませ。お嬢様」」」」
数人のメイドが出迎えてくれた。
(おぉ、さすがお金持ち。メイドが出迎えるとか漫画の世界だけかと思ってたぞ)
ズラーっと並んでいるメイドたちに心の中で感嘆する。
「夏目様が来ておりますので対応をお願いします」
「分かりました」
1人のメイドが桃ちゃんに頭を下げて俺のもとへ来る。
「夏目様、お荷物をお預かりします」
「あ、ありがとうございます」
俺は駆け寄ってきた50代くらいのメイドへ手荷物を渡す。
「桃華お嬢様。旦那様は食堂にいらっしゃいます。晩御飯の用意もできておりますので、夏目様を連れてお越しください」
「ありがとうございます」
桃ちゃんの返事を聞いたメイドたちが立ち去る。
「さ、さすが雨宮財閥……」
「ふふっ、これくらいで驚かれたら身体が持ちませんよ」
驚きのあまり変な顔になっていたのか、俺の顔を見てクスッと桃ちゃんが笑う。
「では食堂へ向かいましょう。夏目様のお食事も用意しておりますので」
「あぁ、ありがとう」
今回、夕方頃に会う約束をしたため、桃ちゃんの家で晩御飯をいただくこととなっていた。
(何から何まで2人には世話になってしまった。ほんと、2人には何かお礼をしないといけないな)
そんなことを思いつつ、俺は桃ちゃんと美柑さんの後を追った。
廊下に飾られている高級な絵画や置き物を鑑賞しながら歩いていると、一つの部屋にたどり着く。
「コチラが食堂になります」
そう言って桃ちゃんが扉を開けると、縦に長いテーブルが1つ用意されており、1番奥の上座席に1人の男性が腰掛けていた。
「お父様、夏目様をお連れしました」
「あぁ。まずは夏目くんを席まで案内してくれ」
お父さんの声を聞いた桃ちゃんが、俺を席まで案内する。
「コチラに座ってください」
とのことで、俺は桃ちゃんと美柑さんの前に腰掛ける。
そのタイミングでメイドたちが俺たちに料理を運んでくる。
「食事が並ぶまで自己紹介をしようか」
そう言ってお父さんが一枚の名刺を取り出す。
「今日は来てくれてありがとう。僕は雨宮総一郎。桃華と美柑の父だ」
俺は手渡された名刺を見る。
そこには『雨宮グループ会長』という文字も記載されていた。
「俺は夏目凛です。今日はお迎えだけでなく晩御飯まで用意していただきありがとうございます」
「夏目くんが僕の予定に合わせてくれたんだ。これくらい当然のことさ」
そう言って総一郎さんが笑う。
(想像以上に優しそうなお父さんだ。もしかして緊張してるのがバレたかな?)
雨宮財閥の会長ということで厳格な人かと思い緊張していたが、総一郎さんの柔らかい笑みを見たことで緊張がほぐれる。
そんな会話をしていると、俺の目の前に豪華なディナーが並び終えた。
「夏目くんとの食事ということでいつもより奮発したんだ。遠慮なく食べてくれ」
「あ、ありがとうございます」
フォアグラなどの高級料理を前に顔を引き攣らせながら感謝を伝え、俺たちは料理を食べ始めた。
豪華な晩御飯をいただいた俺は「ご馳走さまでした」と手を合わせて呟く。
「用意したディナーには満足したか?」
「はい。とても美味しかったです」
「それは良かった」
俺の返答に総一郎さんが笑みを見せる。
「では本題へと移ろう」
その言葉に俺は緊張した面持ちとなる。
「今日僕たちが夏目くんを呼んだのは、夏目くんに感謝を伝えるためだ」
「……感謝ですか?」
そんなことをされる覚えがないため、戸惑いながら返答する。
「あぁ。桃華のことを救ってくれてありがとう」
そう言って総一郎さんが深々と頭を下げる。
しかし俺は桃ちゃんを救った覚えなどないため戸惑ってしまう。
「ま、待ってください!俺は桃華さんを助けた覚えなんてありませんよ!」
「いいや、夏目くんは桃華を救ってくれた」
ようやく頭を上げた総一郎さんが言葉を続ける。
「夏目くんは桃華と出会った頃のことを覚えてるか?」
「もちろんです。まぁ、大きくなった桃華さんのことを見て、東條さんの娘さんだとは思いませんでしたが」
俺と桃ちゃんの出会いは、桃ちゃんのお母さんである女優の東條さんと共演した時。
そこで俺は東條さんと一緒にいた桃ちゃんを遊びに誘った。
その日以降、東條さんと共演した時は毎回、桃ちゃんと遊ぶようになった。
「ははっ、9年も経てば桃華に気づかないのも無理ないよ」
「いえ、桃華さんは俺のことを覚えておりましたので、9年ぶりだからといって気付けなかったことを誤魔化してはダメです」
小さい頃、桃ちゃんと遊んだ日々は鮮明に覚えているが、9年ぶりに再開した桃ちゃんを見て、東條さんの娘だと気付けなかった。
そのことを桃ちゃんは許してくれたが、心の中では今でも申し訳なく思っている。
そんな俺の言葉を聞いて、桃ちゃんが口を開く。
「いつまでも気にしなくて良いですよ。気付けなかったことに対しては謝っいただきましたから。それに気付けなかった罪滅ぼしとして連絡先の交換と、昔みたいな関係を築いていただきましたから」
そう言って桃ちゃんが笑ってくれる。
「そうだな……ありがとう、桃ちゃん」
「いえいえ」
俺の言葉に桃ちゃんが満面の笑みを見せる。
そんな俺たちのことを微笑ましそうに総一郎さんが見ていた。
「へぇ、桃華のことを桃ちゃんと呼んでいるのか。可愛いあだ名が付いてるじゃないか」
「あ、あだ名のことは触れないでください!」
笑いながら言う総一郎さんに、桃ちゃんが顔を赤くしながらツッコんだ。
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