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4章 ゴールデンウィーク編
桃ちゃん家へ 4
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「い、今は私のあだ名よりも先に話すことがあると思います!」
顔を赤くした桃ちゃんが話題をもとに戻す。
「ははっ、そうだな」
桃ちゃんの態度に総一郎さんが笑った後、再び顔を引き締める。
「昔の桃華を覚えているなら桃華の様子が普通の子とは違った所を覚えているだろう。夏目くんと出会うまでの桃華は雨宮財閥の長女という肩書きのせいで、家族以外誰も信用せず、毎日を楽しくなさそうに過ごしていた。それこそ、この屋敷にいる使用人たちのことも信用しなかったんだ」
俺と出会う前の桃ちゃんは総一郎さんの言う通り、桃ちゃんのお母さんである東條さんから離れようとしなかった。
それに加え、スタッフたちに怯えている所も見られた。
「だが、ある日を境に桃華は変わった。使用人には自ら話しかけ、学校でも友人ができ、なんでもないことで笑顔を見せるようになった。そんな桃華を見て、僕と亡き妻は盛大に喜んだ」
雨宮グループ会長という顔ではなく、桃ちゃんのことを心の底から大切に想う親の顔で総一郎さんが話す。
「僕は気になって桃華に変わった理由を聞いたんだ。そしたら君のおかげだと言った。君が雨宮財閥の長女ではなく、雨宮桃華という女の子として接してくれたおかげだとね」
「そ、そうだったのか……」
当時の俺は雨宮財閥のことなど知らず、桃ちゃんを遊びに誘った。
今、思えば恐れ多いことをしているとは思うが、当時俺と一緒に撮影現場に来ていた俺のお母さんが…
『あの女の子を誘ったら?きっと凛と友達になってくれると思うよ』
『めっちゃ俺のことを見て怯えてるけど……分かった!誘ってくるよ!』
と言って背中を押してくれた。
(俺のお母さんアホだから雨宮財閥とか知らなかった説あるな……)
美貌と家事スキルにステータスを全振りしたようなお母さんだったため、雨宮財閥を知らなかった可能性はある。
「今の桃華がいるのは夏目くんのおかげだ。だから一度、夏目くんには会って感謝の気持ちを伝えたかったんだ。ありがとう、夏目くん」
そう言って再び頭を下げる総一郎さん。
すると、前に座っていた美柑さんも頭を下げる。
「元気いっぱいなお姉ちゃんになったのはリン様のおかげです。ありがとうございました」
「美柑さん……」
桃ちゃんのことで頭を下げることができる美柑さん。
きっと、すごく優しくてお姉ちゃん想いの子なんだろう。
「私は夏目様のおかげで変わることができました。夏目様と出会ってから何気ないことで笑えるようになり、毎日が楽しくなりました」
「そうだったのか……」
俺がやったことは桃ちゃんと遊んだだけだが、きっと俺は桃ちゃんに変わるきっかけを与えたのだろう。
そのことをとても嬉しく思う。
「私、夏目様と過ごした日々は片時も忘れたことがありません」
「俺も桃ちゃんと遊んだ日々は忘れたことがないよ」
9年ぶりに再開した時に桃ちゃんだと気付かなかったが、桃ちゃんと遊んだ日々は鮮明に覚えている。
「あの時、私を誘っていただきありがとうございました」
「いえいえ。俺のおかげで桃ちゃんが変わったのなら嬉しい限りだよ」
昔の俺が何をして桃ちゃんを変えさせたのかは分からないが、桃ちゃんからの言葉はとても嬉しく思う。
すると突然、桃ちゃんがモジモジし始める。
「そ、それでその……こ、これからも昔のように私と仲良くしていただけますか?」
桃ちゃんが不安そうな顔で問いかけてくる。
その質問に対して俺の答えは決まっているため…
「あぁ、もちろんだ!これからもよろしくな!桃ちゃん!」
俺は桃ちゃんに元気よく答えた。
「今日は来てくれてありがとう。帰りも使用人に送ってもらうよう手配したから、もうしばらく桃華たちとゆっくり過ごすと良いよ」
そう言って総一郎さんが食堂から去り、俺と桃ちゃん、美柑さんの3人となる。
「あ、そうだ」
そのタイミングで俺は、桃ちゃんたちに聞かなければいけないことを思い出す。
「今日はお迎えと晩御飯をありがとう。大した物は返せないけど、2人には何かお礼をしたいと思ってるんだ。何か欲しい物とかあるか?」
色々考えたがお嬢様である2人の喜ぶ物が分からなかったため、俺は寧々の案を採用して直接聞くことにする。
「お、お礼なんて気にしなくてもいいのですが……な、何でも良いのですか?」
「あぁ。俺に買える物なら何でもいいぞ」
最近の俺は仕事のおかげで稼いでいるため、大抵の物なら買えると思っている。
「そうですね。なら……」
「ちょっと待って!」
桃ちゃんが何か言おうとした時、美柑さんが勢いよく遮る。
「お礼は物じゃなくてもいいんだよね?」
「そうだな。欲しい物とか無ければ物じゃなくてもいいが……物以外となると何もお礼できないぞ?」
美柑さんの発言に俺は首を傾げる。
「それなら大丈夫だよ!リン様の身体があればできるお礼だから!」
そう言って美柑さんがニヤリと笑った。
顔を赤くした桃ちゃんが話題をもとに戻す。
「ははっ、そうだな」
桃ちゃんの態度に総一郎さんが笑った後、再び顔を引き締める。
「昔の桃華を覚えているなら桃華の様子が普通の子とは違った所を覚えているだろう。夏目くんと出会うまでの桃華は雨宮財閥の長女という肩書きのせいで、家族以外誰も信用せず、毎日を楽しくなさそうに過ごしていた。それこそ、この屋敷にいる使用人たちのことも信用しなかったんだ」
俺と出会う前の桃ちゃんは総一郎さんの言う通り、桃ちゃんのお母さんである東條さんから離れようとしなかった。
それに加え、スタッフたちに怯えている所も見られた。
「だが、ある日を境に桃華は変わった。使用人には自ら話しかけ、学校でも友人ができ、なんでもないことで笑顔を見せるようになった。そんな桃華を見て、僕と亡き妻は盛大に喜んだ」
雨宮グループ会長という顔ではなく、桃ちゃんのことを心の底から大切に想う親の顔で総一郎さんが話す。
「僕は気になって桃華に変わった理由を聞いたんだ。そしたら君のおかげだと言った。君が雨宮財閥の長女ではなく、雨宮桃華という女の子として接してくれたおかげだとね」
「そ、そうだったのか……」
当時の俺は雨宮財閥のことなど知らず、桃ちゃんを遊びに誘った。
今、思えば恐れ多いことをしているとは思うが、当時俺と一緒に撮影現場に来ていた俺のお母さんが…
『あの女の子を誘ったら?きっと凛と友達になってくれると思うよ』
『めっちゃ俺のことを見て怯えてるけど……分かった!誘ってくるよ!』
と言って背中を押してくれた。
(俺のお母さんアホだから雨宮財閥とか知らなかった説あるな……)
美貌と家事スキルにステータスを全振りしたようなお母さんだったため、雨宮財閥を知らなかった可能性はある。
「今の桃華がいるのは夏目くんのおかげだ。だから一度、夏目くんには会って感謝の気持ちを伝えたかったんだ。ありがとう、夏目くん」
そう言って再び頭を下げる総一郎さん。
すると、前に座っていた美柑さんも頭を下げる。
「元気いっぱいなお姉ちゃんになったのはリン様のおかげです。ありがとうございました」
「美柑さん……」
桃ちゃんのことで頭を下げることができる美柑さん。
きっと、すごく優しくてお姉ちゃん想いの子なんだろう。
「私は夏目様のおかげで変わることができました。夏目様と出会ってから何気ないことで笑えるようになり、毎日が楽しくなりました」
「そうだったのか……」
俺がやったことは桃ちゃんと遊んだだけだが、きっと俺は桃ちゃんに変わるきっかけを与えたのだろう。
そのことをとても嬉しく思う。
「私、夏目様と過ごした日々は片時も忘れたことがありません」
「俺も桃ちゃんと遊んだ日々は忘れたことがないよ」
9年ぶりに再開した時に桃ちゃんだと気付かなかったが、桃ちゃんと遊んだ日々は鮮明に覚えている。
「あの時、私を誘っていただきありがとうございました」
「いえいえ。俺のおかげで桃ちゃんが変わったのなら嬉しい限りだよ」
昔の俺が何をして桃ちゃんを変えさせたのかは分からないが、桃ちゃんからの言葉はとても嬉しく思う。
すると突然、桃ちゃんがモジモジし始める。
「そ、それでその……こ、これからも昔のように私と仲良くしていただけますか?」
桃ちゃんが不安そうな顔で問いかけてくる。
その質問に対して俺の答えは決まっているため…
「あぁ、もちろんだ!これからもよろしくな!桃ちゃん!」
俺は桃ちゃんに元気よく答えた。
「今日は来てくれてありがとう。帰りも使用人に送ってもらうよう手配したから、もうしばらく桃華たちとゆっくり過ごすと良いよ」
そう言って総一郎さんが食堂から去り、俺と桃ちゃん、美柑さんの3人となる。
「あ、そうだ」
そのタイミングで俺は、桃ちゃんたちに聞かなければいけないことを思い出す。
「今日はお迎えと晩御飯をありがとう。大した物は返せないけど、2人には何かお礼をしたいと思ってるんだ。何か欲しい物とかあるか?」
色々考えたがお嬢様である2人の喜ぶ物が分からなかったため、俺は寧々の案を採用して直接聞くことにする。
「お、お礼なんて気にしなくてもいいのですが……な、何でも良いのですか?」
「あぁ。俺に買える物なら何でもいいぞ」
最近の俺は仕事のおかげで稼いでいるため、大抵の物なら買えると思っている。
「そうですね。なら……」
「ちょっと待って!」
桃ちゃんが何か言おうとした時、美柑さんが勢いよく遮る。
「お礼は物じゃなくてもいいんだよね?」
「そうだな。欲しい物とか無ければ物じゃなくてもいいが……物以外となると何もお礼できないぞ?」
美柑さんの発言に俺は首を傾げる。
「それなら大丈夫だよ!リン様の身体があればできるお礼だから!」
そう言って美柑さんがニヤリと笑った。
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