髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

文字の大きさ
87 / 169
5章 ドラマ撮影開始まで

ポカリ⚪︎エットのCM 2

しおりを挟む
~大塚太郎視点~

 私、大塚太郎は大⚪︎製薬の社長を務めている。

 先日、我が社は製造•販売しているポカリ⚪︎エットの新作CMを作成し、本日12時頃、そのCMをTVのコマーシャルよりも先行してSNSにアップした。
 そのCMは今、最も注目を集めていると言っても過言ではない夏目凛さんと、『のぞみ坂47』で不動のセンターを獲得している小鳥遊美奈さんを起用し、恋愛ドラマのようなストーリーで撮影した。

 そしてSNSにアップしてから1時間後。

「すごいなぁ。1時間で100万回も再生されちゃったよ」

 あり得ない視聴回数を叩き出していた。

「1分程度という短いCMだけど1時間で100万再生は普通あり得ないよね」

 今もなお増え続ける視聴回数に私は驚きを隠せない。
 社長という立場からアップする前にCMを確認し、修正する必要のないくらい素晴らしいCMであることは理解していた。
 だが1時間で100万回も再生されるとは思わなかった。

「ウチのCMは基本的に20歳未満の人を起用し、学生をイメージしたCMを作成している」

 そのため、ポカリ⚪︎エットのCMに出演する新人女優やモデルはCMにより注目され、後に有名人となる事が多く、『人気芸能人の登竜門』と呼ばれているくらいだ。
 ちなみに今回のCMのキャッチコピーは【今年の夏はポ⚪︎リを飲んで恋しよ?】だ。

「今回は人選が素晴らしかったようだね。2人とも素晴らしい演技だよ」

 夏目凛といえば昔、夏目レンという名で活躍され、小学5年生の頃には日本アカデミー賞で優秀主演男優賞を獲得している。
 引退後は芸能界に一切携わってないと聞いていたためブランクはあると思ったが、ブランクなど感じさせない素晴らしい演技だった。
 それに小鳥遊美奈の演技も完璧で、夏目凛に恋をしている後輩マネージャーを完璧に演じきっていた。

「このCMを見たら2人の恋模様を何度も見たくなるよね」

 1分程度のCMということが功を奏したのか、何度も何度も視聴したくなる。
 実際、私も2人の演技に魅了され、10回以上は再生していた。

「どうやら何度も再生してるのは私だけではないようだね」

 そう呟いて私はSNSのコメント欄に目を向ける。

 そこには…

〈ポ⚪︎リのCM、何度も視聴しちゃった!〉
〈めっちゃニヤニヤしちゃうよ!てか、2人の恋模様が気になりすぎるっ!デート回とかないの!?〉
〈リン様がカッコ良すぎっ!汗を拭うシーンとかイケメンすぎるわっ!〉
〈バスケするリン様がカッコよっ!しかも、リン様の最後の言葉っ!あれを言われたら誰だって好きになっちゃうよ!〉
〈え、美奈ちゃんがめっちゃ可愛いんだけど。可愛いすぎて12時頃からずっとCMを視聴してたわ〉
〈美奈ちゃんが可愛すぎて天使にしか見えん〉
〈この動画の続編を希望するっ!是非とも作ってくれ!〉

 等々、CMを絶賛するコメントが多々見られた。

「さすが森野監督。2人の演技も完璧だが、ストーリー構成やカメラワーク、編集等々、完璧なCMに仕上げてくれたよ」

 CM撮影やドラマの監督など、多岐にわたって活躍している森野監督は、この業界で知らない人がいないくらい凄い方だ。
 私は改めて森野監督の手腕に感服する。

「森野監督の手腕や2人の演技が完璧だったから視聴回数が伸びているみたいだけど、バズってる要因は他にもあるようだね」

 そう呟いて再びコメント欄を見る。

 そこには…

〈これが夏目凛と小鳥遊美奈の熱愛報道が出回ったキッカケのCMか。どんなCMなんだろ?〉
〈このCM撮影でパパラッチに写真撮られたんだろ?一回CMを見てみるか〉
〈週刊⚪︎春に写ってた美奈ちゃんのブレザー姿が可愛かったからCM見てくるわ〉

 等々、熱愛報道のスキャンダルをキッカケにCMを視聴した人も多いらしく、バズってる要因の一つになっている。

「熱愛報道の写真をCM撮影中に撮られたと聞いた時はCMの作成を中止する案が出たけど、無事放送できて良かったよ」

 それどころかスキャンダルのおかげで視聴回数が伸びている部分もあるため、我が社にとってありがたいスキャンダルとなっている。
 何なら写真を撮ったパパラッチを表彰したいくらいだ。

「さて、肝心の売り上げだが……CMをアップして1時間しか経ってないのに凄い事態を引き起こしてるね」

 そう呟いて再びコメント欄を見る。

 そこには…

〈CMの効果凄すぎww。ポカリ⚪︎エットだけ綺麗に完売してるんだがww〉
〈スポーツドリンクのコーナーでポ⚪︎リだけ綺麗に無くなる珍事ww〉
〈ポカリ⚪︎エットを買いに行ったら1本も売ってなかったんだけど。みんな考えることは一緒なんだな〉

 等々、ポカリ⚪︎エットが完売しているとのコメントがチラホラと見受けられた。
 そのコメントを見て自然と笑みが溢れる。

「さっそく売り上げにも貢献してるようだね。ほんと、2人を起用して良かったよ」

 今現在、多種多様なスポーツドリンクが販売されているため、ポカリ⚪︎エットの売り上げは年々低下している。
 そんな中、今回の売り上げだ。

「これは月末の報告が楽しみだ」

 鰻登りになったであろう業績を聞くことを楽しみしながら、私は社長室から出た。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...