68 / 165
幼少期編
37 教会
しおりを挟む
その後は、お兄様に手元に残った書類をパパパと片付けてもらい、数日をかけて大学を代表とする、領内の施設を案内した。
学校を作ってからしばらくすると、お父様が領主の仕事を回してくれるようになり、ある程度の権利もいただいたので、速攻でひいた上下水道や機械工場なんかが主だろうか。
機械工場に関してはアイヴァーン商会で運営しようとも思ったが、なるべく平民化してほしかったので、領地のものとして領から仕事先を与える形で設置した。
ここでも大学生たちが大活躍である。
機械大学は設立したてなので、まだまだ今からなのだが、バイトとして頑張ってもらっている。
大学生たちの唯一の悩みである、お金の部分で免除をしてやることでバイトだけでも回っていけるみたいだし。
アイヴァーン商会はすでに領以外でも負けなしなので、今では領内で破格の値段で生活用品を売っている。
もちろん、それでは赤字までとはいかなくても、ギリギリな状態なので、領外にて儲けを得ている。
全体的に発展しているおかげで、どの部門でも他領に遅れはとらない。
むしろ品質だけでも勝負が出来るほど、格差がある。
まぁ、征服するつもりとかないから一部のものに留めているけれど。
ーーー私も最初はここまでする気などなかった。
ここまできたら独立できる。
間違いなく王家や貴族となにかしら争いが起きることだろう。
それでは領民たちの命にかかわるかもしれない。
領主の娘が父の愛した領民たちを殺していいわけがない。
しかし、この世界には王族や貴族たちだけではない、権力を握っている別の存在がいる。
教会……「五聖教」である。
光を信仰し、闇を敵とする彼らはこの世界唯一の宗教である。
この国ではなく、世界なのだ。
まったくもって信じられないことだが、これは事実である。
おかげで強すぎる力を持ち、一つの国としても独立を果たしている。
その強すぎる力……はおいおい話すとして。
とりあえず、そのせいで私は困ったことになった。
これから領内を栄えさせようというのに、それらが邪魔すぎて。
かといって領民のためにも、お父様のためにも栄えさせないという選択肢は選べなかった。
だから、私は戦う道を選んだのだ。
名誉とか言っていられない、大切なものを失うわけにはいかないのだ。
機械工場を作ったのもそのせいだし、うちは公爵家ということで、軍部もある。
それを強化し、新たに武器作ったりもした。
お兄様には一応暗号手紙でそれらを伝えていたのだが、生で見たらまた感動やらなんやらがあったらしく、難しい顔をしている。
私はお兄様にそっと声をかけた。
「大丈夫ですわ、にいに。私がいる限りは絶対に守ってみせるもの。だから心配しないで」
今回の薬作りは下手すれば戦争になるかもしれない。
もちろん全力を尽くして回避しようと思ってはいるが、向こうがこちらに手を出して来ようものなら相手をしなければなるまい。
しかし、お兄様はまったく違うことを心配していた。
「うん、それもそうだけどね。……サァラ、僕は君がいなくなるなんて考えられないよ。どうせ、戦争になったら民より先に出陣するつもりなんだろう?僕は君のその真っ白手が、血に染まるのは嫌だけれども、それは構わない。君が選んだ道ならば、兄として応援しよう。」
「にいに……」
私が感激で呟くとお兄様は優しい雰囲気から一変して、厳しいものになった。
「でも、死ぬのは許さない。僕を置いていくなんて絶対にしないで。僕は……、サラがいないとどうやって生きていけばいいのかわからないんだ。その時は後を追うからね。だから、その命には君だけじゃなく僕の……いや、領のみんなの命が掛かっていると思って」
ーーーえ。
私はお兄様の心中発言に驚きを隠せなかった。
いやまさか、脅し……だよね?
お兄様はいつにもなくとても真面目な顔をするものだから真意はわからなかった。
えっと、もしかして、病気が治らないところまできちゃってます?
今更ながらそう思ったサラだった。
学校を作ってからしばらくすると、お父様が領主の仕事を回してくれるようになり、ある程度の権利もいただいたので、速攻でひいた上下水道や機械工場なんかが主だろうか。
機械工場に関してはアイヴァーン商会で運営しようとも思ったが、なるべく平民化してほしかったので、領地のものとして領から仕事先を与える形で設置した。
ここでも大学生たちが大活躍である。
機械大学は設立したてなので、まだまだ今からなのだが、バイトとして頑張ってもらっている。
大学生たちの唯一の悩みである、お金の部分で免除をしてやることでバイトだけでも回っていけるみたいだし。
アイヴァーン商会はすでに領以外でも負けなしなので、今では領内で破格の値段で生活用品を売っている。
もちろん、それでは赤字までとはいかなくても、ギリギリな状態なので、領外にて儲けを得ている。
全体的に発展しているおかげで、どの部門でも他領に遅れはとらない。
むしろ品質だけでも勝負が出来るほど、格差がある。
まぁ、征服するつもりとかないから一部のものに留めているけれど。
ーーー私も最初はここまでする気などなかった。
ここまできたら独立できる。
間違いなく王家や貴族となにかしら争いが起きることだろう。
それでは領民たちの命にかかわるかもしれない。
領主の娘が父の愛した領民たちを殺していいわけがない。
しかし、この世界には王族や貴族たちだけではない、権力を握っている別の存在がいる。
教会……「五聖教」である。
光を信仰し、闇を敵とする彼らはこの世界唯一の宗教である。
この国ではなく、世界なのだ。
まったくもって信じられないことだが、これは事実である。
おかげで強すぎる力を持ち、一つの国としても独立を果たしている。
その強すぎる力……はおいおい話すとして。
とりあえず、そのせいで私は困ったことになった。
これから領内を栄えさせようというのに、それらが邪魔すぎて。
かといって領民のためにも、お父様のためにも栄えさせないという選択肢は選べなかった。
だから、私は戦う道を選んだのだ。
名誉とか言っていられない、大切なものを失うわけにはいかないのだ。
機械工場を作ったのもそのせいだし、うちは公爵家ということで、軍部もある。
それを強化し、新たに武器作ったりもした。
お兄様には一応暗号手紙でそれらを伝えていたのだが、生で見たらまた感動やらなんやらがあったらしく、難しい顔をしている。
私はお兄様にそっと声をかけた。
「大丈夫ですわ、にいに。私がいる限りは絶対に守ってみせるもの。だから心配しないで」
今回の薬作りは下手すれば戦争になるかもしれない。
もちろん全力を尽くして回避しようと思ってはいるが、向こうがこちらに手を出して来ようものなら相手をしなければなるまい。
しかし、お兄様はまったく違うことを心配していた。
「うん、それもそうだけどね。……サァラ、僕は君がいなくなるなんて考えられないよ。どうせ、戦争になったら民より先に出陣するつもりなんだろう?僕は君のその真っ白手が、血に染まるのは嫌だけれども、それは構わない。君が選んだ道ならば、兄として応援しよう。」
「にいに……」
私が感激で呟くとお兄様は優しい雰囲気から一変して、厳しいものになった。
「でも、死ぬのは許さない。僕を置いていくなんて絶対にしないで。僕は……、サラがいないとどうやって生きていけばいいのかわからないんだ。その時は後を追うからね。だから、その命には君だけじゃなく僕の……いや、領のみんなの命が掛かっていると思って」
ーーーえ。
私はお兄様の心中発言に驚きを隠せなかった。
いやまさか、脅し……だよね?
お兄様はいつにもなくとても真面目な顔をするものだから真意はわからなかった。
えっと、もしかして、病気が治らないところまできちゃってます?
今更ながらそう思ったサラだった。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
幼馴染の許嫁は、男勝りな彼女にご執心らしい
和泉鷹央
恋愛
王国でも指折りの名家の跡取り息子にして、高名な剣士がコンスタンスの幼馴染であり許嫁。
そんな彼は数代前に没落した実家にはなかなか戻らず、地元では遊び人として名高くてコンスタンスを困らせていた。
「クレイ様はまたお戻りにならないのですか……」
「ごめんなさいね、コンスタンス。クレイが結婚の時期を遅くさせてしまって」
「いいえおば様。でも、クレイ様……他に好きな方がおられるようですが?」
「えっ……!?」
「どうやら、色町で有名な踊り子と恋をしているようなんです」
しかし、彼はそんな噂はあり得ないと叫び、相手の男勝りな踊り子も否定する。
でも、コンスタンスは見てしまった。
朝方、二人が仲睦まじくホテルから出てくる姿を……
他の投稿サイトにも掲載しています。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる